ある時、私は考えていた。漫画やそれから派生したイラストレーションの世界では何故に美少女しかいないのか。それはそれらの技術が美少女を描くことに特化して記号化されて来たからではないだろうか。
事実、ブスとして設定されたキャラクターをみてみると人間とは分からないようなデザインで描かれることがある。つまり、技術自体が美しいものを書くために特化されているため美しくないものを表現しようとしたときに困難が生じているのである。
あまり美少女美少年ばかりを登場させるわけにもいかないので、美しさの一段階低いキャラクターを描く必要が出てくる。この困難を乗り越えるため漫画家が取る手段はいくつかある。例えば走り書きのようなラフな線で描く手段。これは必要以上の作業をしないという点で作業効率も上がる性質がある。あるいは眼鏡、そばかすなどのパーツを追加し完全性を失わせる手法。この手法ではランクを落とすという目的を果たしつつ、なおキャラクターの魅力を必要以上に下げないと言う性質がある。実際、これらのパーツが追加されたキャラクターを好む人もいる。
さて、今回私が天才児に与えた課題とは以下のものである。
完璧に描かれた美少女を+10、怪物のような姿で描かれたブスを−10として、0〜+3の範囲で女の子を描きなさい。
この、現実にいそうな感じたるやどうだ。しかもだ、それでいて目が大きいとか、ソバカスなどの漫画的記号を残している。不思議なイラストである。
さて、私が懸念していた問題とは「記号の複雑化が進めば現実の混沌に還り得るか。」ということであった。実験台となった天砕寺氏は見事に答えを導き出してくれた。なぜならば、ほら、胸元にブ(以下略)