令和3年度税制改正大綱について

 事務所通信 vol.155
         令和3年1月20日

顧問先各位

平素は格別のご高配を賜りありがとうございます。顧問先の皆さまにおかれましては益々ご清祥のことと存じます。固定資産税の軽減の提出期限がせまっております、対象になる場合は失念の無いようご提出お願いします。
 さて今回は昨年12月に発表されました与党税制改正大綱について、中小企業者として注目する点を少し紹介したいと思います。(現時点で法律として成立したものではありません。)

1.固定資産税

 感染症により社会経済活動や国民生活全般を取り巻く状況が大きく変化したことを踏まえ、納税者の負担感配慮する観点から、令和3年度に限り、負担調整措置等により税額が増加する土地について前年度の税額に据え置く特別な措置を講じられます。

2.税務関係書類における押印義務の見直し

 提出者等の押印をしなければならないこととされている税務関係書類について、以下の税務関係書類を除き、押印を要しないこととするほか、所要の措置が講じられます。
 1)担保提供関係書類及び物納手続関係書類のうち、実印の押印及び印鑑証明書の添付を求めている書類
 2)相続税及び贈与税の特例における添付書類のうち財産の分割の協議に関する書類 (注)令和3年4月1日以後に提出する税務関係書類について適用する。
上記の改正の趣旨を踏まえ、押印を要しないこととする税務関係書類については、施行日前においても、運用上、押印がなくとも改めて求めないこととする。

3.中小企業技術基盤強化税制の見直し(法人)
 1)試験研究費の額の総額の一定割合の金額を法人税額から控除する制度(研究開発税制)で、令和3年4月1日から令和5年3月31日までの間に開始する各事業年度のうち基準年度比売上金額減少割合が2%以上であり、かつ、試験研究費の額が基準年度試験研究費の額を超える事業年度試験研究費の額を超える事業年度の控除税額の上限に当期の法人税額の5%を上乗せされます。

 2)増減試験研究費割合が8%を超える場合の特例を増減試験研究費割合が9.4%を超える場合に見直され、適用期限が2023年3月31日までの間に開始する事業年度まで延長されます。

 3)試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合に税額控除率を割り増す措置は2年延長。

 4.中小企業投資促進税制の適用期限延長(法人)

 中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度について、特定経営力向上設備等の対象に計画終了年度に修正ROA又は有形固定資産回転率が一定以上上昇する経営力向上計画を実施するために必要不可欠な設備を加えた上、適用期限が2023年3月31日まで2年間延長されます。

5.所得拡大促進税制の見直し

継続雇用者給与等支給額の継続雇用者比較給与等支給額に対する増加割合が1.5%以上であることの要件が、雇用者給与等支給額の比較雇用者給与等に対する増加割合が1.5%以上であることの要件に見直し適用期限が2年延長されます。

6.消費税率の引上げに伴う需要変動の平準化に向けた住宅ローン控除の特例の延長(個人)

住宅ローン控除を受ける場合(消費税等の税率が10%である場合の住宅の取得等に限る)で、新築の場合は2020年10月1日から2021年9月30日まで、それ以外は、2020年12月から2021年11月30日までの間に契約した場合、2022年12月31日までにその者の居住の用に供した場合について、既存の制度に加えて適用年の11年目から13年目までの各年について、一定の住宅借入金等特別税額控除の適用が受けられることに特例措置が延長されます。
 また、取得等をした床面積が40u以上50u未満である住宅の用に供する家屋についても適用できることとされます。(その年分の所得税に係る合計所得金額が1,000万円を超える年については適用されません。)

7.消費税

 消費税の仕入控除税額の計算について、課税売上割合に準ずる割合を用いようとする課税期間の末日までに承認申請書を提出し、同日の翌日以後1月を経過する日までに税務署長の承認を受けた場合には、当該承認申請書を提出した日の属する課税期間から課税売上割合に準ずる割合を用いることができることとされます。