令和2年度税制改正大綱について

 事務所通信 vol.149

         令和2年6月20日

平素は格別のご高配を賜りありがとうございます。

新型コロナウイルスにより、大幅な景気低迷が起こっております。

さて今回は昨年12月に発表されました与党税制改正大綱について、中小企業者として注目する点を少し紹介したいと思います。

 ※ 法人版贈与税・相続税の事業承継税制による納税猶予の特例を受けようと考えておられる方は、特例承継計画の提出期限が令和5年3月31日までとなっております。期限内に手続きをされますようご注意下さい。

1.法人税

 1)投資減税措置の創設

 事業会社による一定のベンチャー企業への出資(中小企業者は1,000万円以上)に対して、出資の25%相当額の所得控除を認める措置が設けられます。

対象法人:青色申告書を提出する法人で特定事業活動を行うもの 

適用要件:令和2年4月1日から令和4年3月31日までの間に特定 株式を取得すること等

 損金算入:その事業年度の所得の金額を上限に、その経理した金額の合計額を損金算入することができます。 

2)5G導入促進税制の創設

 対象法人:青色申告書を提出する法人で一定のシステム導入を行う特定高度情報通信等システムの普及の促進に関する法律の認定特定高度情報通信等システム導入事業者に該当するもの

 対象期間:同法施行の日から令和4年3月31日まで

 適用要件:特定高度情報通信認定等設備の取得等をして、国内にある事業の用に供した場合等

 特別償却の場合:その取得価格の3割
 又は
 税額控除 :その取得価格の15%        (当期の法人税額の2割が限度)

 3)交際費等の損金不算入制度の特例

 適用期限が2年延長、中小法人に係る損金算入の特例の適用期限も2年延長。 

2.個人課税

 1)非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置の整備

 新NISAは2階建概念となり、少額からの積立・分散投資を促進する方向の見直しが行われ継続されます。(適用R6.1.1から)

2)未婚のひとり親に対する措置及び寡婦(夫)控除の見直し

 居住者が、現に婚姻をしていない者のうち次に掲げる要件を満たすもの(寡婦又は寡夫である者をのぞく)である場合には、その者のその年分の総所得金額から35万円を控除されることになります。

@その者と生計を一にする子(総所得金額等の合計額が48万円以下であるものに限る)を有すること。

A合計所得金額が500万円以下

B次に掲げる要件のいずれかを満たすこと

イ.その者が住民票に世帯主と記載されている者である場合には、その者と同一の世帯に属する者に係る住民票に世帯主との続柄として未届の妻又は未届の夫その他これらと同一の内容である旨の記載がされた者がいないこと。

ロ.その者が住民票に世帯主と記載されていない者である場合には、その者の住民票に世帯主との続柄として未届の妻又は未届の夫その他これらと同一の内容である旨の記載がされていないこと。 

また寡婦控除で生計を一にする子を有する寡婦の要件に、合計所得金額が500万円以下であることが加えられます。 

上記は令和2年分以後の所得税で適用されます。

 3)低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除の創設

 取引価額が低額の一定の土地について譲渡所得から100万円の特別控除制度が創設されます。 

適用要件:都市計画区域内にある低未利用土地又はその上に存する権利であることについての市区町村の長の確認がされたもの

 1月1日において所有期間が5年を超える低未利用土地の譲渡をしたこと

 譲渡後の低未利用土地等の利用についての市区町村の長の確認がされたもの 

適用期間:土地基本法等の一部を改正する法律(仮称)の施行の日又は令和2年7月1日のいずれか遅い日から令和4年12月31日まで