令和2年からの源泉所得関係改正について

事務所通信 vol.146

         令和2年1月20日

顧問先各位

毎々、格別のご高配を賜りありがとうございます。顧問先の皆様におかれましては益々ご清祥のことと存じます。本年もよろしくお願いします。
 昨年の消費税増税後、会社経理の事務負担は相当増加しております。また、経過措置により旧税率適用取引もあり、初めての軽減税率の導入と、暫くは相当注意して事務処理を行っていく必要があると思われます。
 さて今回は平成30年度の税制改正で源泉所得税等について一部見直しが行われ、本年より適用される改正について説明します。

1. 給与所得控除の引き下げ

給与所得控除が、基礎控除が引き上げられることをふまえて、引き下げられる事となりました。
給与等の収入金額が162.5万円以下の場合、65万円の給与所得控除額でしたが、55万円に引き下げられます。また、1,000万円超の者に対しては220万円の控除となっていましたが、195万円に引き下げられました。

2. 公的年金等控除の見直し

 公的年金等控除についても、一律10万円引き下げ及び上限額が設定されました。また、公的年金等以外の所得の合計額1,000万円超の者は、控除額をさらに10万円又は20万円引き下げることとなりました。

3. 基礎控除の見直し

 基礎控除の額が、38万円であったものが、48万円に引き上げられます。但し、合計所得金額が一定の金額を超える者は、48万円から逓減し、2,500万円を超える場合、基礎控除額はゼロとなります。

4. 所得金額調整控除の創設

今回の改正で、給与等の収入金額が850万円を超える者は、税負担が増える事となります。
但し、同一世帯内に23歳未満の扶養親族又は特別障害者である扶養親族などがいる者については、改正で負担が重くなり過ぎないよう、所得金額を調整する制度が設けられました。

5. 年末調整関係書類の電磁的方法による提供

 生命保険料控除、地震保険料控除及び住宅借入金特別控除に係る年末調整関係書類を電磁的方法により提出できるようになります。
 
6. 源泉徴収税額表等の変更

源泉控除対象配偶者、扶養親族、同一生計配偶者、勤労学生などの所得金額の要件が変わります。
           令和1年   令和2年
源泉控除対象配偶者

                      85万円以下  95万円以下
扶養親族、同一生計配偶者

                     38万円以下  48万円以下
勤労学生

           65万円以下  75万円以下
 
7.青色申告特別控除、家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例
                 令和1年   令和2年
青色申告特別控除   65万円   55万円
家内労働者等の特例 65万円   55万円

8.基礎控除申告書と所得金額調整控除申告書の提出

 基礎控除申告書は、令和2年以降の年末調整で基礎控除の適用を受けるために必要となります。年末調整では、その年の合計所得金額(又はその見積額)を記載して、基礎控除の額を算定します。
 また、給与等の収入金額が850万円を超える者のうちで、年末調整で所得金額調整控除の適用を受けようとする者は、年末調整の時までに「所得金額調整控除申告書」を会社へ提出しなければなりません。

9.源泉控除対象配偶者とは

 給料事務を行う場合の扶養親族等の数にカウントする源泉控除対象配偶者とは、合計所得金額900万円以下の従業員等(納税者)と生計を一にする配偶者のうち、配偶者の合計所得金額が95万円以下の人をいいます。(夫婦のいずれか一方しか適用できません。) 年末調整の控除対象配偶者や配偶者特別控除の対象者とは適用範囲が相違していますので、注意が必要です。