平成31年度税制改正大綱について 事務所通信 vol.143 令和元年6月20日 顧問先各位 平素は格別のご高配を賜りありがとうございます。顧問先の皆さまにおかれましては益々ご清祥のことと存じます。社会保険未適用法人の加入要請が強化されています、法人の場合は従事者が一人の場合でも加入の必要がありますので、納付する事が必要となります。 さて今回は昨年12月に発表されました与党税制改正大綱について、中小企業者として注目する点を少し記述したいと思います。 1.個人事業者の事業用資産に係る相続税の納税猶予制度の創設(資産税) 事業承継税制の個人事業者版が創設されます。(10年間の時限措置) 対象者 :認定相続人 適用期間:2019年1月1日から2028年12月31日までの間の相続又は遺贈 適用要件:2019年4月1日から2024年3月31日までの5年間に都道府県に「承継計画」を提出し、認定を受ける事。 相続又は遺贈により特定事業用資産(注1)を取得し、事業を継続していく事。被相続人及び認定相続人が青色申告の承認を受ける事。 (注1)一定の事業用土地・建物、固定資産税等の課税対象となる機械・器具備品、車両・運搬具、生物、無形償却資産等 相続税の申告期限から3年毎に継続届出書を税務署長に提出する事等その他の要件も満たす必要があります。 納税猶予対象額 :認定相続人が納付すべき相続税額のうち、相続等により取得した特定事業用資産の課税価格に対応する相続税額。 ※ この制度を選択した場合、事業用小規模宅地特例は受けられません。 2.個人事業者の事業用資産に係る贈与税の納税猶予制度の創設(資産税) 1.の相続等の場合だけでなく、一定の要件を満たす贈与の場合も納税猶予の適用が受けられます。 なお、贈与者がその後死亡した場合は、特定事業用資産(既に納付した猶予税額に対応する部分を除く)を贈与者から相続等により取得したものとみなし、他の相続財産と合算して相続税を計算します。その際、都道府県の確認を受けた場合には、1.の相続税の納税猶予の適用を受けることができます。 3.中小企業技術基盤強化税制の見直し(法人) 試験研究費の額の総額の一定割合の金額を法人税額から控除する制度(研究開発税制)の増加試験研究費割合が5%を超える場合の特例だったのが、8%を超える場合の特例に見直され、適用期限が2021年3月31日までの間に開始する事業年度まで延長されます。また、試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合に税額控除率を割り増す措置が講じられます。 4.中小企業投資促進税制の適用期限延長(法人) 中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除の適用期限が2021年3月31日まで2年間延長されます。 5.ふるさと納税の見直し(個人) 寄付金税額控除の対象となるふるさと納税は、都道府県等で返礼品を送付する場合には、以下のいずれにも満たす場合に限定されます。 1.返礼品の返礼割合を3割以下とすること 2.返礼品を地場産品とすること ※ 2019年6月1日以後に支出された寄付金について適用 6.消費税率の引上げに伴う需要変動の平準化に向けた住宅ローン控除の特例の創設(個人) 住宅ローン控除を受ける場合(消費税等の税率が10%である場合の住宅の取得等に限る)で、2019年10月1日から2020年12月31日までの間にその者の居住の用に供した場合について、既存の制度に加えて適用年の11年目から13年目までの各年について、一定の住宅借入金等特別税額控除の適用が受けられます。 7.民法改正に伴う措置 民法の成年者の改正により相続税の未成年者控除の対象の年齢が18歳未満に引き下げられます。2022年4月1日以後の相続又は遺贈に適用。同様にNISA、相続時精算課税等の適用年齢も改正されます。 |