配当金・証券税制の

改正について2

事務所通信   vol.46

平成15年 9月20日

顧問先各位

 

 平素は、格別のご高配を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。冷夏のあと残暑が厳しく、体調を崩された方も多かったかと思いますが、顧問先の皆様におかれましては如何お過ごしでしょうか。

 さて昨年より証券税制が大幅に改正され、本年より申告分離課税が原則となっております。また、配当金の課税につきましても従来の課税方式とは一部変更があります。

 今回は、配当金及び上場株式の譲渡に係る税について略述させて頂きたいと思います。 

@配当金の課税 

 1.源泉分離選択課税の廃止 

 株式等に係る配当所得の35%の税率による源泉分離選択課税の特例が、平成15年3月31日で廃止されました。 

 2.上場株式等の配当等に係る源泉徴収税率等の特例の創設 

 平成15年4月1日以降に支払を受ける一定の上場株式等の配当等について、所得税の源泉徴収税率を本来は20%であるものが、15%(地方税0%)に軽減する特例が創設されました。

 なお、平成15年4月1日以後5年間に支払を受ける当該一定の上場株式等の配当等に係る所得税の源泉徴収税率については、平成15年4月1日から同年12月31日までは10%(地方税0%)、平成16年1月1日から平成20年3月31日までは7%(地方税3%)、平成20年4月1日からは15%(地方税5%)の税率を適用することとされました。 

 3.確定申告を要しない配当所得の改正 

 従前は1回に支払を受ける配当等の金額が5万円(配当等の計算期間が1年以上のものは、10万円)である少額配当は、申告が不要となる特例がありましたが、平成15年4月1日以後に支払を受ける一定の上場株式等の配当等については、1回に支払を受ける配当等の金額の適用上限額が廃止されました。このため、一定の上場株式等の配当等については源泉徴収のみで課税関係を済ませることが可能と成りました。 

A上場株式の課税 

 本年より源泉分離課税の廃止に伴い、原則株式の譲渡は確定申告が必要となりましたが、上場株式を特定口座で保管譲渡した場合で、課税所得に対し源泉徴収を選択した口座の場合は確定申告が不要となります。 

 1.長期所有上場株式等の100万円特別控除の特例が廃止されました。 

 2.税率の特例の改正 

 長期所有上場株式等の暫定税率の特例を廃止し、上場株式等の軽減税率の適用がある上場株式等の譲渡について、平成15年1月1日から平成19年12月31日までの5年間の時限措置として、税率を7%(住民税3%)に軽減することとされました。 

 3.特定口座制度の改正 

 イ)平成15年4月1日から平成16年12月31日までの間の特定口座への上場株式等の保管の委託に関する経過措置の創設

 タンス株を特定口座の特定保管勘定に受入が可能となりました。 

 ロ)特定口座株式の譲渡所得に対する源泉徴収等の特例の改正

 特定口座の源泉徴収税率について、平成16年1月1日から平成19年12月31日までの4年間は7%(住民税3%)とする特例が設けられました。 

この他上場株式の譲渡計算には平成13年9月30日以前に取得した上場株式等の取得費の特例、上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除、購入価額1,000万円までの非課税の特例と言った特例があり複雑な制度となっております。