消費税増税に向けた対応について

事務所通信 vol.137

         平成30年7月20日

顧問先各位

毎々、格別のご高配を賜りありがとうございます。顧問先の皆様におかれましては益々ご清祥のことと存じます。さて今回は来年10月1日より実施される予定である消費税増税について、再確認の為記述したいと思います。

1.請求書・領収書の変更

消費税の標準税率が10%に引き上げられ、また軽減税率が創設された後は、消費税の課税事業者は、請求書や領収書に10%対象金額と8%対象金額を記載し、対象額に係る消費税額を記載しなければなりません。

また、前回の増税時同様今回も増税に対する経過措置が設定されますが、経過措置の指定日は平成31年3月31日となっており、同日までに契約されたものが対象となります。

2.記帳方法の変更

これも前回の増税時と同様、増税前の8%対象のものと、増税後の10%対象のものを区別して記載する必要があります。

また、今回の増税では一部のものは軽減税率8%の対象となりますが、標準税率である10%対象のもの及び旧税率の8%のものと区別して記帳する必要があります。

この8%は、増税前と後が8%と同一となっていますが、国税部分と地方税部分の割合が相違していますので、これを分けて記帳しておく必要があります。

従って増税が行われる平成31年10月1日を含む事業年度以降は、消費税の記帳は、旧8%、新10%、新8%を区分して記録・集計する必要があります。

3.売上に係る消費税の処理

消費税額が引き上げられた場合、標準税率を8%から10%に変更しなければなりません。また、飲食料品販売事業者等は、標準税率以外に、軽減税率の対象となる課税売上が発生します。

軽減税率の適用される売上の内容等が、国税庁HPでQ&Aで掲載されていますので、増税時期までによく目を通して理解しておく必要があります。

軽減税率では同じ内容の商品でも、売り方(店内・持ち帰り)等により適用される税率が変わる場合もあり、標準・軽減の判断には十分な注意と知識の習得が必要となります。

4.仕入れに係る消費税額

次に仕入れに係る消費税額ですが、基本的には請求書・領収書に記載された消費税額となります。

但し前回と相違して、今回は10月1日以降すべてが10%の単一税率が適用されるわけではありませんので、軽減税率の8%適用分と標準税率適用分を区別して記帳する必要があります。

課税仕入について、簡易課税を選択していない事業者は、旧8%、新10%、新8%の区別を各取引に記帳し集計する必要があります。

なお増税後の課税仕入の消費税額を控除するには、請求書・領収書が区分記載請求書等である必要があります。

区分記載請求書等とは、現行の請求書等に@軽減税率の対象品目である旨と、A税率ごとに合計した対価の額を追加記載した書類です。

簡易課税選択していない課税事業者が、仕入税額控除を行う場合はこの区分記載請求書等と帳簿を保存していなければ控除が出来ません。(受領者による@Aの追記も可)

5.まとめ

複数税率が適用となる場合、該当企業は軽減税率の適用となる範囲等をよく確認し、レジ係の担当者等に研修を行う必要があります。また改正法に適用出来るレジの購入・ソフトの更新等が必要です。

また、増税後は記帳においても、原則標準税率・軽減税率に分けて記載する方法へ変更が必要となります。

簡易課税選択事業以外は、課税仕入れの計算で軽減税率の対象仕入が発生しますので、軽減税率適用の課税仕入について十分な理解が必要となります。

課税売上に軽減税率の適用となる予定である事業者は、来年10月の消費税率引き上げられた時点から、直ちに以上の記帳方法の変更、請求書、領収書、対応レジ等が必要となりますので、早めに改正法への準備を行う必要があります。(なお免税事業者の方も区分記載請求書等の交付請求される場合があります。)