給与の住民税特別徴収について 事務所通信 vol.136 平成30年5月20日 顧問先各位 毎々、格別のご高配を賜りありがとうございます。顧問先の皆様におかれましては益々ご清祥のことと存じます。大阪府等では本年より給与所得にかかる住民税の取扱いを本来の手続きである特別徴収とすることとされました。以下給与所得の住民税の特別徴収事務について説明をします。 1.給料の住民税の特別徴収 (1) これまでの経緯 給与事務を行う際事業者は、源泉所得税や社会保険料を控除して控除後の金額を従業員へ支払う事とされています。 これらは法律により、給料支払者がこの事務を行う事が義務付けられています。(源泉徴収義務) 給与所得にかかる住民税の徴収・納付も行う事とされています。 しかしながら従前は、小規模事業所ではこの事務負担を軽減する為や、従業員が退職した場合の手続きが煩雑となる等から、市区町村では弾力的取り扱いとして、普通徴収を希望する場合は、事業者に特別徴収住民税の納付書を送付せず、従業員本人に市民税の納付書を送付していました。 近年、この弾力的取扱いが市区町村の相当な事務負担となっている事や、従業員が給与の住民税を滞納し、結果として給料を差し押さえる等の必要が出てきた等、弊害が大きくなって来た為、法律通りの取り扱いを実施する事としたようです。 (2) 徴収事務 大阪府等では平成30年6月分以降の給料事務で、市区町村から特別徴収住民税の納付書が送付されて来た場合、支給する給料から控除すべき金額は、源泉所得税、社会保険等と合わせて特別徴収住民税も控除する必要があります。 また給料から控除した特別徴収住民税は、徴収した月の翌月の10日までに、最寄りの金融機関で納付する必要があります。 (3) 納期の特例 少人数の事業所は、源泉所得税の納期の特例と同様に特別徴収住民税の納期の特例を届け出る事により、半年分をまとめて納付する事が出来ます。ただし注意しなければならないのは、源泉所得税の納期の特例の納期限が、7月10日と1月20日の半年ごとであるのに対し、住民税の納期の特例の納期限は、12月10日と6月10日で源泉税の納期限と同一ではありません。 また源泉所得税の納付書は国税であるため一枚ですが、住民税は従業員の住所の各市区町村の納付書になります。 なお支払回数は減少させる事が可能ですが、徴収する回数は給料を支払う都度徴収する必要があります。(源泉税と同様) (4) 退職者の事務 特別徴収住民税の事務では、従業員に異動がない場合は、給与支払い時に住民税を控除し、市区町村から送付されて来た納付書で翌月10日までに納付するだけでいいのですが、該当する従業員が退職した場合は、通知されて来ている特別徴収住民税を一括徴収(残りの分を一括で徴収納付する)及び納付等が必要となり(退職する月により取扱い変わる)、また市区町村に給与所得者異動届出書を提出しなければなりません。 (5) まとめ 以上のように従業員の住民税の取り扱いが、本来の規則どおりの取扱いへ変更されることに伴い、事業所での事務負担は増加します。また退職者がいる場合は、特別徴収住民税の納付書の納付金額の訂正も必要になります。 従前は事業所の要望に応じて、取扱いを市区町村が弾力的に行う事もありましたが、今後は、規定通りの取扱いのみとなっていくものと思われます。 この様に一度法律が制定・施行されると取扱いを変更するのは相当困難です。関与先の皆さまも普段から国会の改正法の動向等を注意し、法改正に際し意見を表明する事も必要ではないかと思います。 消費税の軽減税率についても、税理士会では事業者の事務負担が大きくなる事等から反対意見を申し上げています。税理士会は、会員からの税法改正に対する要望をあつめ、主税局等関係方面へ意見を具申しています。 |