平成30年度税制改正大綱について

事務所通信 vol.134

              平成30年1月20日

顧問先各位

 平素は格別のご高配を賜りありがとうございます。本年もよろしくお願いします。

本年より各市区町村が、特徴住民税の取り扱いを原則通り取り扱うと周知しております。源泉税徴収時に特別徴収住民税もあわせて徴収、納付する事が必要となります。

さて今回は昨年12月に発表されました与党税制改正大綱について、中小企業者として注目する点を少し記述したいと思います。(注意:以下は現時点で法律として決定したものではありません。)

1.基礎控除の増額(個人)

 基礎控除の額が、38万円から48万円へ10万円増額されます。但し高額所得者が有利とならない様、合計所得金額に応じて基礎控除額が逓減します。

 ※ 平成32年分以降の所得税から適用されます。(以下5まで同じ)

2.給与所得控除の減額(個人)

 給与所得控除の最低額が、10万円減額され55万円となります。また給与所得控除額の上限が引き下げられます。

3.公的年金控除の減額(個人)

 公的年金控除の最低額が、10万円減額され65歳未満の場合は60万円、65歳以上は110万円となります。また公的年金控除額の上限も引き下げられます。

4.青色申告特別控除の減額(個人)

 青色申告特別控除額が55万円に10万円減額されます。但し電子帳簿の備付け及び保存を行っている場合やe-taxで確定申告を行っている場合は、減額されません。

5.特別障がい者や特定扶養者がいる場合の取り扱い(個人)

 上記1から3までの控除額の減額は、扶養者や本人が特別障がい者に該当する場合や特定扶養親族がいる場合や、一定の給与所得と年金所得がある場合は調整控除により過度の控除額の減少とならないよう調整します。

 今回の改正で、納税者本人の所得金額や扶養者の状況により各控除額が変わると言う複雑な改正となります。また配偶者控除に関しても納税者の合計所得金額により配偶者控除額が変化する事や、源泉徴収事務においても源泉控除対象配偶者に該当する場合のみ扶養親族の数としてカウントする事とになるので注意が必要です。

6.事業承継税制の特例の創設等(個人)

 特例認定承継会社(仮称)の特例承認計画(仮称)に記載された特例後継者(仮称)が、平成30年4月1日から平成35年3月31日までの間に特例承継計画を都道府県に提出し、特例認定承継会社の代表権を有していた者から、贈与又は相続若しくは遺贈により非上場株式を取得した場合には、その取得した全ての非上場株式に係る課税価格に対応する贈与税又は相続税の全額について、特例後継者の死亡等までその納税を猶予する制度が創設されます。但し適用後一定の条件がクリア出来ない場合は、猶予が打ち切られます。

7.所得拡大促進税制の改組(法人・個人)

(中小企業者等)

 青色申告の中小企業者が、平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する事業年度において雇用者給与等支払額が増加した場合で、平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額のその比較平均給与等支給額に対する割合が1.5%以上である場合における控除税額を、雇用者給与等支給増加額の15%の税額控除ができることとされます。また、以下の要件を満たすときは、給与等支給増加額の25%の税額控除ができることとされます。(当期の法人税額等の20%が上限)

(1)平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額のその比較平均給与等支給額に対する割合が2.5%以上である場合

(2)次のいずれかの要件を満たすこと

イ)教育訓練費の額の前期教育訓練費の額に対する増加額割合が10%以上であること。

ロ)事業年度終了の日までに中小企業経営強化法の経営力向上計画の認定を受けたもので、その経営力向上計画に従って経営力向上が確実に行われたものとして証明されたこと。

8.償却資産税の課税標準の特例措置(法人・個人)

 中小企業経営強化法の軽減措置は適用期限をもって廃止され、代わりに労働生産性を年平均3%以上向上させるものして認定を受けた中小企業者等の先端設備等導入計画(仮称)に記載された一定の機械装置等を平成33年3月31日までの間に取得した場合、その課税標準価格を3年間1/2以下(各地方自治体の条例で定める割合)とする措置が新設されます。(※ 現行同様、計画の提出は原則資産取得前と思われます。)