有期雇用者の無期転換ルールの特例について

事務所通信 vol.123

              平成28年3月20日

顧問先各位 

 平素は格別のご高配を賜りありがとうございます。

有期雇用者に対する契約期間の更新は、通算で5年を超える場合は、無期労働契約に転換されます。この原則が適用されない特例が有期雇用特別措置法において定められています。今回は、この有期雇用特別措置法について若干の説明を行いたいと思います。 

 

1.有期契約から無期労働契約への転換

 同一の使用者との間で、有期労働契約が通算で5年を超えて繰り返し更新された場合に、労働者の申込みにより、無期労働契約に転換します。

(注)通算契約期間のアカウントは、平成25年4月1日以後に開始する(更新する場合を含みます)有期労働契約が対象となります。

 平成25年3月31日以前に開始した有期労働契約は、通算契約期間に含まれません。

 最短平成25年4月1日に有期契約開始し、その後継続して平成30年4月以降も契約更新した場合は、期間満了による雇止めが原則出来なくなると言う事です。

 

2.継続雇用の高齢者

 上記1の取り扱いは、定年後65歳まで継続雇用している継続雇用高年齢者も同様の取り扱いとなります。平成25年4月1日以後に開始する(更新する場合を含みます)有期労働契約が5年を超えて更新した場合は、3に記載する特例の適用を申請・認定していない場合は、無期転換申込権が発生して 本人が希望する場合は、雇止めが出来なくなります。

 

3.継続雇用の高齢者の特例

 継続雇用の高齢者は、2に記載したとおり、原則平成25年4月1日以後に開始する(更新する場合を含みます)有期労働契約が通算で5年を超えて繰り返し更新した場合は、労働者の申し込みにより無期労働契約に転換します。つまり契約期間満了による雇止めが出来なくなります。

 上記の原則に対し、平成27年4月1日から施行されている有期雇用特別措置法では、上記の継続雇用の高齢者及び専門的知識等を有する有期雇用労働者について、その特性に応じた雇用管理に関する特別の措置を講じた場合に限り、無期転換申込権発生までの期間に関する特例が適用されることとなっております。

  事業所が有期雇用契約の無期転換ルールの「特例」の適用をうけていれば、上記5年を超える雇用期間のケースでも、契約期間の満了により雇用契約を終了させることが出来ます。(引き続いて雇用される期間は無期転換申込権が発生しません)

 

4.有期雇用の「特例」の適用申請

@  業主が、雇用管理措置の計画を作成し、都道府県労働局長の認定を受ける事。

A  画認定申請書には、特例の対象者に行うべき適切な雇用管理上の措置を記載する事。

B  画認定申請書の添付書類として、雇用管理に関する措置の実施することが分かる資料として、労働契約書や就業規則等の改正又は作成。

 

  モデル労働条件通知書は、厚生労働省HPに公表されています。

C都道府県労働局は、事業主から申請された計画が適切であれば、認定を行います。

 D認定を受けた事業主に雇用される特例の対象労働者について、無期転換ルールに関する「特例」が適用されます。

 

5.特例に関する労働条件の明示

 有期雇用特別措置法による「特例」の適用に当たっては、紛争防止の観点から、事業主は労働契約の締結・更新時に、特例の対象となる労働者に対して無期転換申込権が発生しない期間を書面で明示する事、また高度専門職に対しては、特例の対象となるプロジェクトの具体的な範囲書面で明示する事が必要です。

 

(引用)厚生労働省「高度専門職・継続雇用の高齢者に関する無期転換ルールの特例について」パンフレットより