平成28年度税制改正大綱について

事務所通信 vol.122

                  平成28年1月20日

顧問先各位

 平素は格別のご高配を賜りありがとうございます。本年もよろしくお願いします。本年よりマイナンバーが実施されています。昨年は株価が乱高下し、世界経済は不安定な状況になっております。また与党の公約であった消費税増税時の食料品の軽減税率適用が、対象品目の決定で右往左往した状況となりました。(新聞も軽減税率とか)

さて今回は昨年末に発表されました与党税制改正大綱について、注目する点を少し説明したいと思います。(注意:以下は現時点で法律として決定したものではありません。消費税の改正を除く。)

1.法人税率の引き下げ(法人)

 平成28年4月1日以後に開始する事業年度の法人税の税率が23.4%(現行23.9%)に引き下げられます。平成30年4月1日以後に開始する事業年度の法人税の税率が23.2に引き下げられます。

2.先端設備の即時償却(法人・個人)

 生産性向上設備を取得した場合の特別償却又は税額控除制度は、適用期限をもって廃止となります。 生産性向上設備投資促進税制の即時償却及び税額控除率の上乗せ措置は、平成28年3月31日までとなります。(中小企業の機械の特別償却の上乗せ措置は平成29年3月31日まで)  

3.雇用促進税制の重複適用(法人・個人)  

 雇用者の数が増加した場合の税額控除制度のうち地方活力向上地域特定業務施設整備計画に係る措置について、雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除制度と重複して適用できることとされます。ただし、重複して適用する場合には、雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除制度の適用の基礎となる雇用者給与等支給額から、雇用促進税制の適用の基礎となった増加雇用者に対する給与等支給額として一定の方法により計算した金額を控除します。  

4.空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例の創設(個人)

 相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋(昭和56年5月31日以前に建築された家屋で、相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた者がいなかったものに限る)及び当該相続の開始の直前において当該被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地等を当該相続により取得をした個人が、平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間に、一定の要件に該当する譲渡をした場合には、譲渡所得の金額について居住用財産の譲渡所得の3,000万円特別控除を適用することができるとされます。

5.自主服薬の医療費控除の創設(個人)  

 健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人が、平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間に、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る一定のスイッチOTC医薬品の購入の対価を支払った場合において、その年中に支払ったその対価の額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補填される部分の金額を除く。)の合計額が1万2千円を超えるときは、その超える部分の金額(その金額が8万8千円を超える場合には、8万8千円)について、その年分の総所得金額等から控除することとされます。

 ただし本特例の適用を受ける場合には、現行の医療費控除の適用を受けることはできません。

6.その他

(法人)

 ・交際費等の損金不算入制度について、その適用期限を2年延長するとともに、接待飲食費に係る損金算入の特例及び中小法人に係る損金算入の特例の適用期限を2年延長します。(800万円定額控除)  

(法人・個人)

 ・中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例について、対象となる法人から常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人を除外した上、その適用期限を2年延長します。  

 ・調査を行う旨、調査対象税目及び調査対象期間の通知以後、かつ、その調査があることにより更生又は決定があるべきことを予知する前にされた修正申告に基づく過少申告加算税の割合については5%とし、期限後申告又は修正申告に基づく無申告加算税の割合については10%とされます。