マイナンバーの記載について

事務所通信 vol.116

                        平成27年3月20日

顧問先各位

毎々、格別のご高配を賜りありがとうございます。顧問先の皆様におかれましては益々ご清祥のことと存じます。

 さて今回は平成28年1月より実施される予定のマイナンバーの導入について、若干の説明を行いたいと思います。

1.マイナンバー導入の目的

 近年、日本の財政は逼迫した状況が続いており、税制と社会保障を抜本的に改革する必要が生じております。この抜本的改革には、国民一人一人の所得や社会保障の給付を正確に把握する必要があり、国民一人一人に税及び社会保障の統一した番号を導入することとされたものです。

2.導入のスケジュール

 細部については現時点ではまだ決まっておりませんが、平成27年10月から市町村・国税庁から個人番号・法人番号の通知が行われ、平成28年1月から順次、社会保障、税、災害対策分野で利用開始することが予定されています。

 税の分野での利用は、所得税については平成28年分の申告所得税から、法人税については、平成28年1月以降に開始する事業年度に係る申告書から、また法定調書については平成28年1月以降の金銭等の支払等に係るものから、申請書等については平成28年1月以降に提出すべきものから個人番号・法人番号の記載が必要となります。

 また、社会保障の分野では個人番号の導入により、所得の捕捉率が向上する事によって、@所得証明等の添付省略、A住民票の添付省略、B異なる制度間における給付調整の確実性の向上が可能となります。

 また、医療保険分野では高額療養費の決定や、高額医療・高額介護合算制度に関する手続で所得証明等の添付省略が可能となる予定です。

3.個人番号・法人番号の通知

 2に記載したように平成27年10月から個人番号については、市町村長が、住民票コードを変換して得られる番号を指定し、通知カードにより通知します。また法人番号については、国税庁長官が、法務省の有する会社法人等番号等を基礎として指定し、書面により通知する予定です。

4.国税分野での利活用

 国税分野においては、確定申告書、法定調書等の税務関係書類に個人番号・法人番号が記載されることから、法定調書の名寄せや申告書との突合が、個人番号・法人番号を用いて、より正確かつ効率的に行えるようになり、所得把握の正確性が向上し、適正・公平な課税に資するものと考えられています。

 次に、納税者の利便性の向上として、マイナンバーの導入により、@確定申告手続における住民票の添付省略、例えば住宅ローン控除の申告手続きにおける住民票の添付省略、A法定調書の複数の提出先の統一、源泉徴収票・支払報告書の電子的提出先の一本化、Bマイポータルの設置により、自己の過去の税務申告や納付履歴に関する情報や、確定申告を行う際に参考となる情報を掲載する事が検討されています。

5.年末調整時のマイナンバーの記載

 法定調書については、平成28年1月1日以降の金銭等の支払等に係るものからマイナンバーの記載が必要となります。

 事業者は、マイナンバーが通知される平成27年から、マイナンバーの収集を行っていたく方が良いと思われます。(平成27年分の源泉票には、マイナンバーを記載する必要はありませんが、平成28年1月1日以降、途中退社した者の源泉票を作成する場合は、マイナンバーの記載が必要となります。)

 従業員等が所定用紙に記載したマイナンバーが、本人の番号であるかを確認する必要があります。事業者等は原則として@個人番号カード、A通知カードと運転免許証、B個人番号が記載された住民票の写しと運転免許証等により、本人のマイナンバーであるかを確認することとされています。

 マイナンバー導入後は、役所に対し行う手続きに、本人の確認と合わせてマイナンバーの記載が必要となるケースが増えてくるものと思われます。