H27年度税制改正大綱について 事務所通信 vol.115 平成27年1月20日 顧問先各位 毎々、格別のご高配を賜りありがとうございます。顧問先の皆様におかれましては益々ご清祥のことと存じます。 昨年同様、本年も宜しくお願いいたします。 さて今回は昨年末に発表されました与党税制改正大綱について、注目する点を少し説明したいと思います。(注意:以下は現時点で法律として決定したものではありません。) 今回の改正大綱では、競争力・資本力のある企業の活性化と個人富裕層の資産を家族へ移転するという2つの柱があります。 1.法人税率の引き下げ(法人) 平成27年4月1日以後に開始する事業年度の法人税の税率が23.9%(現行25.5%)に引き下げられます。 なお中小法人の軽減税率の特例(所得の金額のうち年800万円以下の部分に対する税率)は現行の15%のままで、適用期限が2年延長されています。 ただ、この特例は中小企業課税全体の見直しの中で検討するとも記述されていますので、中小企業は今後増税となって行く可能性があります。 2.子ども版NISAの創設(個人) 平成28年から平成35年までの期間に20歳未満の者が、口座を開設し投資することが出来ます。非課税口座は毎年80万円を上限に、開設後5年間で最大400万円を限度に、上場株式等を非課税管理勘定に受けいれる事ができ、売却益や配当所得が非課税となります。投資可能期間終了後も平成36年から平成40年まで口座で保有する株式等は、売却益や配当が非課税となります。(非課税期間は投資を始めた年を含めて5年間です。)またこの他、NISAについては、平成28年分以降の非課税限度額が120万円に引き上げられます。(現行100万円) 3.雇用者給与等の支給額が増加した場合の税額控除(法人) 所得拡大税制で雇用者給与支給額が増加した場合の税額控除制度における雇用者給与等支給増加割合の要件について、条件が緩和されます。 ・中小企業者又は中小連結親法人及びその連結子法人 平成28年4月1日以後に開始する適用年度について、3%以上(現行5%以上)とされます。 ・上記以外の法人 平成28年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する適用年度について、4%以上(現行5%以上)とされます。 4.住宅取得等資金の贈与の非課税限度額の引き上げ(個人) 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置が引き上げられることとなります。 ・住宅の消費税等の税率が10%である場合 住宅取得の契約締結期間 平成28年10月〜平成29年9月 良質な住宅用家屋 3,000万円 それ以外 2,500万円 ・住宅の消費税等の税率が10%以外の場合 住宅取得の契約締結期間 〜平成27年12月 良質な住宅用家屋 1,500万円 それ以外 1,000万円 5.結婚・子育て資金の一括贈与(個人) 個人(20歳以上50歳未満の者に限る。)の結婚・子育て資金の支払に充てるためにその直系尊属が金銭等を拠出し、金融機関に信託等をした場合には、信託受益権の価額又は拠出された金銭等の額のうち受贈者1人につき1,000万円(結婚に際して支出する費用については300万円を限度とする。)までの金額に相当する部分の価額については、平成27年4月1日から平成31年3月31日までの間に拠出されるものに限り、贈与税を課さないこととされます。 納税地の税務署へ贈与税の非課税申告書を、金融機関を経由して提出しなければなりません。 6.ふるさと納税のワンストップ特例制度の創設(個人) 個人住民税における寄付金控除限度額が住民税所得割額の2割(現行1割)に引き上げられます。また、給与所得者等がふるさと納税の寄付を行う場合は、寄付を行う際、寄付先の地方公共団体が、寄付者に代わって寄付の控除申請を行う事が出来るよう要請できるようになります。(平成27年4月1日以後に行われる寄付から、5団体を超える場合を除く) |