H26年度税制改正大綱について

事務所通信vol.110

平成26年1月20日

顧問先各位  

毎々、格別のご高配を賜りありがとうございます。顧問先の皆様におかれましては益々ご清祥のことと存じます。
昨年同様、本年も宜しくお願いいたします。

さて今回は昨年に発表されました与党税制改正大綱について、中小企業者が注目する点を少し説明したいと思います。(以下は法律として決定したものではありません。)

1.給与所得控除の減額(個人)

平成28年分より、給与等の収入金額が1,200万円を超える場合の給与所得控除の上限を230万円とし、平成29年より、給与等の収入金額が1,000万円を超える場合の給与所得控除の上限を220万円とされます。

この改正により該当する給与所得者の税額が増加するため、給与所得控除によらず確定申告による給与所得者の特定支出控除の適用者が増加するかも知れません。

何れにしても、該当すると思われる給与所得者は、特定支出に関する資料を事前に準備し検討する必要があります。

2.雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除(法人)

雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除の適用を受ける要件が以下のように年々見直されます。  

平成27年4月1日前に開始する適用事業年度 支給増加割合2%以上

平成28年4月1日前に開始する適用事業年度 支給増加割合3%以上

平成30年4月1日前に開始する適用事業年度 支給増加割合5%以上

3.相続財産に係る譲渡所得税の課税の特例(個人)

今までは相続財産である土地等を譲渡した場合の特例について、当該土地等を譲渡した場合に譲渡所得の金額の計算上、取得費に加算する金額を、その相続した全ての土地等に対応する相続税相当額でしたが、改正後はその譲渡した土地等に対する相続税相当額のみを控除額とするよう改正されます。

4.損益通算できない生活に通常必要でない資産の範囲の追加(個人)

損益通算できない生活に通常必要でない資産の範囲に、主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する不動産以外の資産(ゴルフ会員権等)が加えられます。(H26.4.1以降の譲渡から)

従来は、その他の所得との損益通算が可能でしたので、売却損が出る方で売却をしようと考えている方は、3月末までに売却すれば損益通算が可能です。

5.復興特別法人税の1年前倒し廃止(法人)

復興特別法人税の課税期間が、当初は3年間の適用とされていたものを、1年間前倒しして2年間で終了することとされます。

6.交際費損金不算入の見直し(法人)

交際費等の額のうち、飲食のために支出する費用の額の50%が損金の額に算入されることになります。

なお中小法人に係る損金算入の特例については、上記との選択適用とされます。

何れにしましても、交際費の処理が飲食交際費とその他の交際費と区分して経理しておく必要があります。(H26.4.1以降開始事業年度)

 

7.簡易課税のみなし仕入率の見直し(消費税)

消費税の簡易課税制度のみなし仕入率に下の引き下げが行なわれます

金融業及び保険業 第5種 みなし仕入率50%(現行60%)

不動産業     第6種 みなし仕入率40%(現行50%)

(H27.4.1以降開始事業年度から)

8.NISAの口座開設の見直し(個人)

非課税口座を開設している、又は開設していた者が、一定の手続きを行えば、非課税管理勘定の年分の属する勘定設定期間と同一の勘定設定期間内に、非課税口座の再開設又は非課税管理勘定の再設定をすることができるようになります。(H27.1.1以後届出書が提出されるものから)