H25年度税制改正のポイント続き

 事務所通信vol.106

平成25年7月20日

顧問先各位  

平素は格別のご高配を賜りありがとうございます。

安倍政権は、デフレ脱却、経済成長を政策として掲げています。この政策に向け税制においても改正法が創設されています。今回は、平成25年の改正を中心として略述したいと思います。

1.個人所得課税

@少額上場株式等に係る非課税措置の拡充(日本版ISA)

非課税口座を開設することができる機関が、平成26年1月1日から平成35年12月31日までと改正されました。

少額上場株式等に係る非課税措置とは、非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の一定の金額の取引が非課税とされる措置です。

この口座以外の上場株式等の配当等や譲渡益に対する課税は、平成25年12月31日までは、10%の税率ですが平成26年1月1日からは20%の税率が適用されます。(この他別途復興特別税もかかります)

ISA口座内で保有している場合、最大5年間、5年経過後は、ISAの新たな枠を活用して非課税保有を続けるか、通常の口座に移して、継続保有することを選択します。尚、この10年間のISA口座の最大非課税投資総額は、500万円までです。

A金融所得課税の一体化

平成28年1月以降、公社債等に対する課税方式が、上場株式等と同様、税率が20%の申告分離課税方式の課税対象に変更された上で、上場株式等の譲渡益等と損益通算の対象となります。

特定公社債等(国債、地方債、上場公社債、平成27年12月31日以前に発行された公社債等)の利子等については、20%の源泉分離課税の対象から除外され、申告分離課税の対象とされます。

特定公社債等の譲渡所得等については、非課税の対象から除外された上で、申告分離課税の対象とされます。

株式等に係る譲渡所得等の分離課税について、上場株式等に係る譲渡所得等と非上場株式等に係る譲渡所得等を別々の分離課税制度とした上で、「特定公社債等及び上場株式等に係る譲渡所得等の分離課税」と「一般公社債等及び非上場株式等に係る譲渡所得等の分離課税」の区分へと改組されます。(損益通算はこの改組の枠内で行われます)

2.贈与税

@贈与税率の変更

平成27年以降、贈与税率が、一般税率分と軽減税率分に分けられます。

軽減税率適用は、20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合に適用される税率です。なお、同一の年に一般税率と軽減税率の適用を受ける贈与があった場合は、それぞれ案分して、その年の贈与税額を計算します。

A教育資金贈与

平成25年4月1日から平成27年12月31日までの間に、受贈者(教育資金管理契約を締結する日において30歳未満の者に限ります。)が、

1)直系尊属と信託会社との間の教育資金管理契約に基づき信託受益権を取得した場合、2)直系尊属からの書面による贈与により取得した金銭を教育資金管理契約に基づき銀行等の営業所等において預貯金として預入をした場合、3)教育資金管理契約に基づきその直系尊属からの書面による贈与により取得した金銭等で金融商品取引業者の営業所等において有価証券を購入した場合には、その信託受益権、金銭又は金銭等の価額のうち1,500万円までの金額に相当する部分の価額については、贈与税の課税価格に算入しないこととされました。

B相続税・贈与税の課税対象の拡大

日本国内に住所を有しない個人で日本国籍を有しないものが、日本国内に住所を有する者から相続若しくは遺贈又は贈与により取得した国外財産を、相続又は贈与税の課税対象に加えることとされました。(H25.4.1以降)