高齢者雇用安定法の改正について

 事務所通信vol.103

平成25年1月20日

顧問先各位  

 毎々、格別のご高配を賜りありがとうございます。顧問先の皆様におかれましては益々ご清祥のことと存じます。

昨年同様、本年も宜しくお願いいたします。

さて今回は平成25年4月1日より施行される高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の改正について、若干の説明を行いたいと思います。

1.継続雇用対象者の変更

現行法では、年金受給開始年齢の引き上げにより定年を65歳とするか、定年後雇用延長を希望する一定の者に対し行う事となっています。

本年4月1日より施行される、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(以下、高年齢者雇用安定法)の改正で、今まで就業規則等で雇用延長の対象者を一定の者を対象者としていたのが、原則希望する者全員に対し行わなければならなくなります。

2.雇用継続制度改正の指針

 今回の改正で、「継続雇用制度の対象者を限定する仕組みの廃止」における実務面の対応については、雇用継続制度の対象者基準廃止後も円滑な運用ができるように平成24年11月に厚生労働省より指針が発表されております。

@継続雇用制度は、原則希望者全員を対象とすること。

A継続雇用しないことができるケースとしては、心身の故障のため業務に   堪えられないと認められること、又は勤務状況が著しく不良で引き続き   従業員としての職責を果たしえないこと等、就業規則に定める解雇事由または退職事由(年齢に係るものを除く)に該当する場合とすること。

B継続雇用しないことについて、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められること。

3.具体的対応

現在、継続雇用制度を適用している企業の場合は、今回新たに定年年齢を65歳に引き上げるのか、それとも現状のままの定年年齢として継続雇用制度を維持するかの決定をする必要があります。

 次に雇用延長を行う場合で、就業規則に原則希望者全員となっている者から除外される者がある場合は、除外者がある事を明らかにするために就業規則等にその旨の記載を行う必要があります。

@就業規則の解雇事由や退職事由に該当する者

@に該当する者は継続雇用しない旨、就業規則で明示する必要があります。

A就業規則に対象者限定基準の規定の設定

 就業規則に年金受給開始年齢以降の者に限定する基準の適用が定める場合は、経過措置として設けられる者を対象に労使協定の対象者限定基準を適用する規定を設ける事が必要です。

 但し、上記の限定基準を適用するためには、平成25年3月31日までに、労使協定を締結している場合に限られます。

改正前は、就業規則に記載する事で雇用延長対象者を限定出来ましたが、本年4月1日以降は3月31日までに労使協定で定められていない場合は年金受給開始年齢以降の者に限定できません。

なお、既に現在、労使協定により、年金受給開始年齢の者を対象として、限定基準を運用している場合には、労使協定は施行日に向けての特段規定を改定する必要ありません。

高齢者の雇用が原則義務化される事に伴い、無用の労働者との紛争を避けるため就業規則の整備だけでなく、高年齢者の活用方針の検討や賃金制度の改定なども行う労務管理の必要性があると思われます。