60歳以降の従業員の雇用について

 事務所通信vol.99

平成24年7月20日

顧問先各位  

高年齢者雇用安定法により、平成25年4月1日からは65歳まで雇用を延長する方向となっております。現行法では全従業員が雇用延長の対象とはされていませんが、今後法改正により65歳まで雇用継続が義務化される可能性も出てきております。

 今回は60歳になった従業員に必要な手続きについて、若干の説明を行いたいと思います。

1.60歳時の手続き

従業員が60歳となり、その後も雇用継続を行う場合は、

@  所轄のハローワークに、60歳到達時賃金証明書を提出するのが原則です

提出期限:60歳に達した日の翌日から10日以内

確認書類:出勤簿(タイムカード)、賃金台帳、連絡を確認できる書類の写し

但し、60歳以降も賃金が下がらない場合は、特に提出する必要はありません。

A社会保険については、60歳で定年になり、嘱託等の再雇用された場合で、賃金等が大きく変る場合は、喪失手続き及び再雇用となるので資格取得届の提出が必要になります。(標準報酬額が変更されます)

なお60歳以降も賃金が変らないようでしたら、60歳の時点では特に必要ありません。

B 従業員が、老齢年金を貰える年齢に達している場合は裁定請求を行う必要があります。最寄の年金事務所に必要書類等の提出が必要です。(従業員自身が行う。)

※上記の60歳賃金証明額から大きく賃金が低下した場合は、高齢者雇用継続給付金をハローワークで受ける事ができます。

この高年齢雇用継続給付金の最初の申請は、最初の支給対象の月の初日から数えて4ヶ月以内に申請することになっております。

高年齢雇用継続給付

1.60歳から64歳の雇用保険の被保険者で、被保険者であった機関が5年以上の者である事

. 60歳以降、基本手当を受給していない事。

3.60歳到達時賃金に比べて75%未満の賃金で就労している。

4ヶ月を超えてしまった場合は、遅延理由書が必要となります。

また、この高年齢雇用継続給付金は2か月ごとに賃金台帳等をハローワークに提出して請求事務を行う必要があります。

本来、従業員が行う請求事務ですが、ハローワークの方では、事業者に従業員の委任状を付けて、ハローワークの指定する月に請求事務を行うように指導されます。

2.在職老齢年金

上記に記載した様に、該当する従業員が在職厚生老齢年金が貰える年

齢(年金定期便に記載されています)になっている場合は、ハローワークの高年齢雇用継続給付の手続きを済ませた上、年金事務所へ裁定手続きを行う事となります。(先に年金事務所へ行った場合、ハローワークの手続きを行うよう指導される場合があります。)

@  65歳になるまでの在職老齢年金

65歳未満で在職し厚生年金の被保険者となっている場合、総報酬月額相当額に応じて年金額が支給停止となる場合があります。

(1)在職中であっても、総報酬月額相当額と老齢厚生年金の月額の合計額が28万円に達するまでは、年金の全額を支給する

(2)総報酬月額相当額と老齢厚生年金の月額の合計額が28万円を上回る場合は、総報酬月額相当額の増加2に対し、年金額1を停止する

(3)総報酬月額相当額が46万円を超える場合は、さらに総報酬月額相当額が増加した分だけ年金を支給停止する

A  65歳以上の在職老齢年金

従業員が65歳以上になった場合は、在職厚生年金の額が増えます。ただし、この場合でも総報酬月額相当額が46万円を超える場合は支給停止額が発生します。また、70歳まで、社会保険料を負担する必要もあります。