平成25年の改正税法他について

 事務所通信vol.98

平成24年5月20日

顧問先各位  

6月末までの国会会期中に、消費税増税法案が提出されています。消費税の増税は国家財政の面からは仕方の無い事かも知れませんが、多くの中小・零細企業ではすんなりと転嫁する事が困難であろうと予想され、一方電気代等のコストは当然に増加して来るため企業経営は厳しいものとならざるを得ません。

 消費税以外の一部改正税法は既に法案が成立したものもあり、平成25年1月から施行されます。

 昨年は震災等の為、税法の改正に大きな混迷をきたしましたが、本年も引き続き政局が不安定な為、先を読む事は困難な状況となっています。

 今回は既に成立している改正税法について、若干の説明を行いたいと思います。  

1.復興財源確保法

・平成25年より震災等の復興財源に資するため、復興特別法人税と復興特別所得税が増税されます。

・上記の改正により、所得税の源泉徴収義務者は25年間にわたり、復興特別所得税の源泉徴収義務を負う事となり、源泉税を徴収する際、本来の税率に2.1%を上乗せして徴収・納付する事となります。

 また同様の理由により、平成25年1月の給料より給与所得の源泉徴収表が改定されます。

・復興特別法人税は平成24年4月1日以降開始事業年度から3年間(事業年度が1年でない場合は4年度に渡る場合あり)基準法人税額に10%を乗じた額が法人税に加算して申告・納付する必要があります。

2.役員退職金課税

・勤続年数5年以下の役員等の退職所得の2分の1課税が廃止されます。

 当初、昨年の改正税法案で平成24年から実施する予定でしたが、震災等の為、一年延びて平成25年1月1日以降に支払われるべき退職金から実施されます。

3.給与所得者の特定支出

・給与所得者が給与所得控除にかえて特定支出額で控除する場合の、特定支出の対象となるものの図書や衣服について、「書籍、新聞、雑誌その他の定期刊行物、不特定多数の者に販売することを目的として発行される図書」「制服、事務服、作業服、勤務場所において着用することが必要とされる衣類」と示されました。

 また、適用要件とされている、支出の区分に応じた証明に関する事項が政令で明らかにされました。(平成25年分以降適用)

4.消費税の仕入税額控除

その課税期間における課税売上高が5億円を超える事業者については、課税売上割合が95%以上であっても、仕入控除税額の計算に当たっては、個別対応方式か一括比例配分方式のいずれかの方法で計算する必要がある事とされました。(平成24年4月1日以後開始事業年度から適用)

  この改正により、該当する者は課税仕入れを個別対応方式が有利か不利かを計算する必要があり、課税仕入を取引ごとに、課税売上対応課税仕入れ、非課税売上対応課税仕入れ、課税売上・非課税売上共通課税仕入れに区分して記帳する必要があります。

5.事業用資産の買替

 ・事業用資産の買替の改正で、一番適用が多かった16号買替(国内にある土地等、建物又は構築物で、取得された所有期間が10年を超えるもの)は平成23年12月31日で廃止されていますが、その他の特定事業用資産の買替えの場合等の譲渡所得の課税の特例は、一部対象資産の範囲が変更され適用期限が3年延長となっています。(平成24年分以後開始事業年度から適用)

6.住宅取得資金贈与の特例

 ・直系尊属からの住宅取得資金贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、適用期限が3年延長され、適用対象となる住宅用家屋の床面積が240u以下と上限が定められました。(平成24年分以後開始事業年度から適用)

7.200%定率法

 ・平成24年4月1日以後に取得される減価償却資産で定率法により償却する減価償却資産は200%定率法により償却する必要があります。