改正育児介護休業法について

 事務所通信vol.88

平成22年6月20日

顧問先各位  

毎々、格別のご高配を賜りありがとうございます。顧問先の皆様におかれましては益々ご健勝のことと存じます。

 大企業の一部は利益計上できるところも出てきて、世界的な不況と言う状況は変化してきつつあるのかもしれませんが、中小・零細企業においては、業績は上がっているところは少なく、また若者をはじめとする求人もそう増えてはおりません。

ただ、世界一の急速な高齢化が、今後各国でも高齢化が発生すると思われ、日本での経験(介護事業や老人用機器の開発等)が、世界で通用するビジネスモデルとなる可能性もあると思います。

現状の少子高齢化に対応するため、法制度は改正されて来ております。今回は、6月から、施行される育児介護休業法につき概要を説明します。

@改正育児介護休業法

 少子化対策の観点から、仕事と子育ての両立支援を、より一層促進するために男女とも子育てをしながら働き続けることができる雇用環境を整える必要があるためです。なお今年の6月30日から施行されます。

A改正のポイント

 1.子育て期間中の働き方の見直し

 (1)短時間勤務制度の義務化

3歳までの子どもを養育する労働者が請求することにより、会社は所定労働時間を1日6時間とするなど、「時短勤務」を実施することが義務付けられます。

 (2)所定外労働の免除の義務化

3歳までの子どもを養育する労働者が請求することにより、会社は本人の残業を免除することが義務付けられます。

 (3)子の看護休暇の拡充

    今までも、小学校就学前の子がいれば、一律年5日の休暇が取れましたが、改正後は、小学校就学前の子が一人であれば年5日、二人以上であれば、年10日の休暇を取得できることになります。

 2.父親の子育てへの参加できる働き方の実現

 (1)父母がともに育児休業を取得する場合の休業期間の延長

今までは、育児休業を取得できる期間は原則的に1歳までとされていました。改正後は、父母が協力して育児休業を取得する場合、育児休業の取得期間が2人合わせて1歳2ヶ月まで延長できるようになります。

 (2)育児休業の再取得が可能に

    今までは、父親・母親を問わず育児休業の取得は、同一の子について、原則1回までとされていました。改正後は、母親の出産後8週間以内の育児が難しい期間に、父親がスポット的に育児休業を取得した場合には、特例として後日再度の取得が可能になります。

 (3)労使協定による専業主婦(夫)除外規定の廃止

    今までは、労使協定に定めることで、相手方である配偶者が、専業主婦(夫)や育児休業中である場合には、例外的に労働者本人からの育児休業の申出を拒めることになっていましたが、改正後はこれを廃止し、父親(母親)が必要に応じて育児休業を取得できるようになります。

 3.仕事と介護の両立支援

 (1)介護のための短期休暇制度の創設

要介護状態にある家族の通院の付き添いなどに対応できるように、会社は、年5日、対象者が2人以上であれば年10日の介護休暇制度を設けなければなりません。

 

 なお、今回の改正法を実施するには会社にとって大きな負担ですので、業種を問わず、会社全体の労働者数が100名以下であれば、2年後の2012年6月30日まで適用が猶予されることになっています。

今回の改正で、就業規則(育児・介護休業規程)の変更と労使協定の見直しをすることが必要です。就業規則などに上記の改正項目が規定されているか確認して、必要に応じ項目を追加・修正してください。また、現在、労使協定で配偶者の育児休業していることを理由に、労働者本人の育児休業を認めない旨を定めている場合は協定から削除する必要があります。

 また、法違反に対する勧告に従わない場合は、会社名の公表や過料を設けることになっています。それから、育児休業の取得などを理由とした不利益な取扱いは、法律で禁止されているので注意して下さい。