H21年度 改正税法について2

 事務所通信vol.82

平成21年8月20日

顧問先各位  

毎々、格別のご高配を賜りありがとうございます。顧問先の皆様におかれましては益々ご健勝のことと存じます。

 世界的な不況のため、例年になく迅速な税法の改正が行われています。今回は78号で説明した改正のおさらいとその後発表された追加経済対策について記述します。

 

○所得税関係

@住宅ローン減税制度の拡充

認定長期優良住宅の場合、10年間で最大600万円の控除がうけられることとなりました。また、個人住民税についても、所得税の住宅ローン控除制度において所得税から控除し切れない額を税額控除する制度が創設されました。

 

A認定長期優良住宅・バリアフリー改修や耐震改修などの場合、借り入れしなかった場合でも一定額が控除される制度が創設・改正されました。

 

○相続税

@取引相場のない株式等の10%の評価減

H21.4.1以後の相続、贈与については廃止

 

A特定同族株式の贈与の特例

 H21.1.1以後の贈与については廃止

 

B非上場株式に係る相続税の納税猶予制度の創設

 前回にも記述したように、昨年10月1日以降中小企業における承継の円滑化に関する法律に基づき後継者へ株式を相続・贈与した場合、手続きを行う事により後継者の相続税・贈与税の一定額まで納税を猶予する制度が創設されました。

  後継者の相続税額のうち、該当会社の発行済株式総数の2/3に達するまでにかかる相続税額の80%の納税を猶予する制度です。

  上記の適用をうけるには、いくつかの条件が必要です。

 

 (1)相続前に経済産業大臣の事業承継の計画的取組が行われたことについて、確認を受けていることが必要です。(後継者が相続前に過半数の株式を単独で有していた場合、また公正証書遺言により過半数を有する場合には確認の必要なし)

 (2)上記(1)の確認をうけたうえで、相続開始後8ヶ月以内に経産局へ認定申請を受ける必要があります。

 (3)経産局の認定が受けられれば認定書を相続税の申告書に添付して、80%の株式にかかる納税猶予をうけることができます。

 (4)相続税申告後1年経過日から5年間は1年ごとに経産局に事業継続状況の報告を提出し、経産局の確認書を5ヶ月以内に税務署へ提出する必要があります。

 (5)相続税申告後6年目日からは3年間ごとに税務署へ届出が必要となります。

 

 以上のように、相続税の納税の猶予ですので、担保の提供や事後の届出が猶予を受けてる間は続ける必要があります。

 また、贈与税に関しても同様の納税猶予制度が創設されています。

この様に、非上場株式に係る相続税の納税猶予制度を受けるには、相続開始前に経産局の確認を受けておく必要がありますので注意が必要です。

 

○譲渡税

@H21年及びH22年に取得した土地を、5年超保有し、売却した場合は、譲渡所得から1,000万円を控除できます。

 ※ 法人についても同様の措置あり。

 

AH21年及びH22年に土地を先行取得し、課税の特例を受ける旨の届出書を提出している場合は、取得の日を含む事業年度終了の日後10年以内に、所有するその他の土地を譲渡したときの譲渡益の8割(先行取得がH22年の場合は6割)相当額の課税を繰り延べる制度が創設されました。

 ここで気を付けなければならないのは、@は1,000万円の非課税制度でAは課税の繰延べ

(圧縮記帳)でH21・22年の取得土地の簿価が圧縮されることと8割であっても簿価の方が少なければ簿価までしか繰り延べられないと言う点です。(個人事業者も同様の措置あり)

 

○省エネ・新エネ設備等の即時償却制度

 @エネルギー需給構造改革税制の拡充

H21.4.1からH23.3.31までの間に取得するエネルギー需給構造改革設備については、取得価額の全額を償却できる。(太陽光発電設備等)

 

A資源清算向上促進税制

  一定の認定計画に基づいて自社の資源生産性を向上させる設備等や省エネ性能の高い家電製品の生産設備について取得価額の全額を償却できる。(省エネ冷蔵庫等生産設備・太陽熱利用設備等)