欠損金の繰戻し還付他について

 事務所通信vol.80

平成21年5月11日

顧問先各位  

毎々、格別のご高配を賜りありがとうございます。顧問先の皆様におかれましては益々ご健勝のことと存じます。

 昨年秋より中小企業では、益々経営環境が厳しくなってまいりました。そんな状況下ですが、平成21年度の税制改正他で中小企業に関係のあるものについて説明します。

T.欠損金の繰戻し還付について

 3月に法人税法の改正が行われ、中小企業では平成21年2月1日以降終了事業年度より、欠損金の繰戻しによる還付制度が適用されることとなっております。

 欠損金の繰戻しによる還付制度とは、平成21年2月1日以降終了事業年度の決算が赤字となり、直前期の決算が黒字で法人税を納付している場合、黒字の事業年度の所得と欠損事業年度の欠損金額の割合に応じて納付した法人税額(事業税、法人府・市民税は対象外)を還付する制度です。ただし適用申請した場合、以下の問題点もあります。

 1.税務調査の実施について

 今回の改正税法の規定では、記載はされておりませんが、従来の欠損金の繰戻しによる還付制度においては、更正の請求時と同様、還付前に税務調査が行われるケースが多くみうけられました。即ち、税務調査があることを念頭に申請する必要があると思われます。

 

U.経営計画等の作定の必要性について

世界的不況期となり、中小企業の経営は益々厳しさが増していると思われます。このような時期に事業目標や事業計画・資金計画もなく経営を行っていくことには非常に問題があると思われます。

事業運営の計画性や具体的行動指針、資金繰りをいち早く策定し、実態に応じて変更していかなければ、この厳しい経営局面を乗り切ることは困難であると思われます。

 計画の基礎となるのは、日々の財務データーですので、このような時期にこそ適切に遅滞なく処理していく必要があります。

V.財務諸表の公開について

株式会社では、定款で定めた方法により、確定した貸借対照表(大会社は財務諸表)を公告しなければなりません。

この公告の方法はHP上で行うこともできます。(公開期間5年間必要)