役員給与の具体的取り扱いについて

 事務所通信vol.67

平成19年2月20日

顧問先各位 

毎々、格別のご高配を賜りありがとうございます。顧問先の皆様におかれましては益々ご健勝のことと存じます。

 さて1月の「電子申告のお願い」にも記載しましたように、当事務所では今後作成する申告書を電子申告へ順次切り替えていきたいと思いますので、宜しくお願いします。また電子申告開始届けを提出しますと、関与先の皆様のところへ国税庁から利用者識別番号とCD−Rの入った封筒が送付されてきますので、中にある「利用者識別番号等の通知書」のコピーを事務所までご提出お願いします。 

昨年4月1日から法人に関しては役員報酬・賞与について大きく取り扱いが変わりました。これを受けて12月に改正された役員給与に関する質問応答事例が国税庁より発表されました。定期同額給与や事前確定給与についての疑問点などに対し一部の回答が当局より発表されましたのでご報告します。 

平成18年4月1日以降役員給与は税法上原則損金不算入となりました。ただし、以下の定期同額給与・事前確定給与に該当する場合は損金算入されます。 

T.定期同額給与 

@期首から3ヶ月以内に開催された定時株主総会で改定し、改訂後同額支給している給与

これ以外の次期に増額・減額を行った場合、定期同額給与に該当しないため損金に算入できません。なおこの場合の損金不算入となる額は、増額の場合は改訂後の上乗せ部分、例えば改定前30万円、改訂後40万円の場合、差額の10万円部分が不参入となります。また減額の場合は、改定前40万円、改訂後30万円の場合、差額の10万円が期首から損金不参入となります。

A役員の分掌変更に伴う増額改定

期中に取締役が代表取締役に就任した場合等、役員報酬の増額が定期同額給与として認められるか注目されていましたが、回答では代表者の死亡による改選というやむを得ない事情による場合は参入されると回答されました。ただし回答のケースは非常に限定されたものとなっていますので死亡以外の理由による代表者の変更は該当しないとして取り扱っておいた方が無難と思われます。

U.事前確定給与

    定時株主総会の日までに、事前確定給与の支給対象となる者の氏名・役職、支給時期・支給金額、事前確定届出給与と事前確定届出給与以外の給与の支給時期・支給金額、直前の会計期間における事前確定届出給与対象者にたいする支給時期・支給金額他を所轄税務署へ届け出た場合の給与は損金算入されます。

一見便利なこの制度を使用するのに注意しなければならない点は、提出日までの日数がない事と、届け出た内容と実際の支給状況(支給日・支給金額)が一部でも相違すると、届け出た金額全体が損金不算入となる事です。

 

V.特殊支配同族会社の役員給与 

  特殊支配同族会社で一定額以上の所得がある場合、役員給与の給与所得相当額が法人税の所得に加算されることとなりましたが、使用人兼務役員が「常務に従事する役員」に該当するかどうかの判定にその者にたいする役員給与額が使用人給与額を超える場合は該当するものとして取り扱うこととされました。

なお3月以降に、これら関する通達の発表が予定されておりますので、わかり次第次号以降の事務所だよりでお知らせしたいと思っております。