事前確定届出給与の届出について

 事務所通信 vol.64

平成18年7月20日

毎々、格別のご高配を賜りありがとうございます。顧問先の皆様におかれましては益々ご健勝のことと存じます。

 会社法の施行をうけ、本年法人税法が大幅に改正されております。なかでも役員報酬の取り扱いが、大きく変更されております。

以前は定期の給与か臨時の給与かで、役員賞与は利益から支給されるとの見地から、損金不算入とされておりました。

今回会社法では、原則役員賞与は利益処分ではなく費用の支払いとして取り扱う事となったため、税法においても一定の届け出があった役員賞与については、損金算入を認めることとしたものです。  

 ここで注意しなければならないのは、役員報酬の取り扱いが改正前の定期定額給与から定期同額給与へ変更され、定期総会の際に役員報酬を改訂(会計期間終了後3ヶ月以内)した場合を除いて、変更することが認められなくなったことです。定期同額給与は、原則一会計期間を通じて一定の金額しか認められないこととなりました。(平成18年4月1日開始事業年度以降)  

 つぎに、役員賞与についてですが、届け出した役員賞与は、損金に算入されることとなりました。しかしこの適用を受けるには、要件が厳格ですので適格に事前に届け出を行う必要があります。  

以下事前確定届出給与に関する届出書の注意点について説明します。 

1.提出期限

事前確定届出給与に関する届出書の提出期限は、対象となる役員ごとに、職務を執行を開始する日(通常定時総会の開催日)か、当該事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3月を経過する日とのいずれか早い日までに、所轄税務署へ提出する必要があります。厳密に言うと、定時株主総会の当日中に届出書を提出する必要があります。ただし実務上は、職務の執行開始日を総会の翌月初とした場合は総会の日から月末までの間に提出すれば良いこととなります。

例えば、6月決算法人が、8月25日に定時株主総会を開催し、翌月の9月1日から開始する職務に対して役員給与を定める場合、9月1日から開始する役員の職務に対する給与であることを明示した「所定の時期に確定額を支給する旨の定め」を定め、8月末までに届け出た場合は事前確定届出給与に該当することになります。このように届け出の期間は非常に余裕のないものとなっていますので適用を受けようと考えている方は事前に十分な検討と準備が必要です。

2.付表1(事前確定届出給与の状況)

事前確定届出給与に関する届出には、付表1の提出が必要ですが、これには、対象役員ごとに直前会計期間・該当会計期間・翌会計期間のそれぞれ事前確定届出給与の届出額及び実際支給額と事前確定届出給与以外の実際支給額及び支給予定額を記載します。

3.付表2(事前確定届出給与対象者以外の役員に対する給与の状況)

事前確定届出給与に関する届出には、付表2の提出も必要です。事前確定届出給与対象者以外の役員に対する給与の状況を記載し提出することが必要です。

4.その他

事前確定届出給与に関する届出を行う場合、上記期限までに毎年事前確定届出給与に関する届出を提出する必要があります。

また、改正前の年俸による年1回払い給与や隔月払いの報酬等は改正後は事前確定届出給与に関する届出の提出が必要となり、毎期税務署へ忘れずに提出する必要があるので注意しなければなりません

※ 事前確定届出給与に関する届出を行った場合、災害発生などやむを得ない場合を除き、支給額及び支給時期の変更はみとめられず、届け出以外の金額による支給を行った場合は、その全額を損金算入とするができませんので特に注意が必要です。

このほか、役員給与に関するQ&Aが国税局ホームページに掲載されていますのでご覧下さい。

 

役員給与に関するQ&Aのアドレス

http://www.nta.go.jp/category/tutatu/sonota/houzin/5126/5126.pdf

 

事前確定届出給与に関する届出のアドレス

http://www.nta.go.jp/category/yousiki/houjin/annai/5104.htm

 

顧問先の方で、事前確定届出給与に関する届出書を提出しようと思われる方は事務所までご連絡下さい。