中小企業の会計に関する指針他について

 

事務所通信  vol.59

                        平成17年10月20日

顧問先各位  

 平素は、格別のご高配を賜りありがとうございます。平成17年もあますところ2か月強となりました。顧問先の皆様におかれましては益々ご健勝のことと存じます。  

来年4月より会社法の大改正が行われます、また商法・税法等の国際化が近年除々に進んできております。  

 顧問先の皆様も、もう既に取引先の金融機関からお聞きになった事もあるかも知れませんが、中小会社会計基準を採用して決算した場合や書面添付制度を採用して税務申告を行った場合、金融機関によっては融資条件が改善されたり、また融資の条件とされる場合などがでてきております。中小企業の会計に関する指針は、会計参与が財務諸表を作成するさいによるべき指針とされています。  

 そこで今回は、中小企業の会計に関する指針を採用すると現行の決算をどのように変更する必要があるのか、また書面添付とはどういった制度かと言うことのついて説明したいと思います。  

T.中小企業の会社に関する指針について  

証券取引法の規定の適用を受けない中小会社に対して、中小会社の経営実態を明らかにし、かつ会社債権者や取引先をはじめとする計算書類の利用者にとって必要十分な情報開示を行うことを目的とし、商法上の計算書類を作成するに際して準拠すべき事項を定めることとしています。  

 現在、当事務所が行っている税法を中心とした決算と指針の主な相違点は、@キャッシュフロー計算書の作成A貸倒引当金・賞与引当金等の計上等、一層の厳正化B退職給付・退職給与引当金等の適正基準による計上等、これまで以上の一層の会計処理の適正化・厳格化が必要となります。  

 また、中小会社会計基準を適用して決算し、チェックリストを作成した場合、このチェックリストを融資先に提出する事により先に述べた融資が受けられる条件となります。(中小会社会計基準は、現在は廃止されています。)

U.新書面添付制度の導入  

 税理士が税務申告書を作成するにあたり、その申告書の作成に関して、計算し、整理し、又は相談に応じた事項を記載した書面を、当該申告書に添付することができる制度です。

 この書面を添付することで、申告書作成時の税理士が行った処理の適正や透明性が担保されることとなり、客観性・正確性が確保され適正申告が行われるることを目的としています。

 また記載すべき内容は、定型のフォームに各項目について記述しますが、記載する内容は、一般的に言えば税務調査のときによく問題となるような事項について記述をします。税務署では上記書面の記載内容から、調査前に事情聴取を税理士に行い処理の適正性・客観性等を確認します。その結果、問題がなければ調査が省略されたり、簡略化される場合があります。  

 通常の税務申告書類作成では、代表者の自己証明等による確認作業が中心に進められますが、書面添付制度ではこれに加えて、作成税理士がどのように申告書作成時に当該会社の問題点に着目し、確認・処理したかを記載します。

中小企業の会計に関する指針の採用と同様、より一層の税務処理の適正化・厳格化が必要となります。  

 以上のように、上記2つの制度の活用は、決算・税務申告の一層の厳正化・適正化を図ることにより、決算の客観性や税務申告の正確性が担保され、その結果、税務調査の簡略化や融資条件の緩和と言ったメリットが受けられます。  

 しかし反面、先にも述べましたように、今まで以上に決算・税務処理の透明性や適正化・厳格化が必要となるため、その採用・導入には財務諸表に対する責任や労力及びコスト等がかかることとなります。  

 当事務所では中小企業の会計に関する指針の採用や書面添付制度の適用に順次対応していく予定です。これらの制度をご利用になりたいとお考えの顧問先様は、お手数ですが事務所までお申し出下さい。