平成17年の主な税法改正について

 

事務所通信  vol.57

                        平成17年6月20日

顧問先各位

 

 毎々、格別のご高配を賜りありがとうございます。顧問先の皆様におかれましては益々ご健勝のことと存じます。 近年大企業の一部の業績が回復してきたり、石油関連材料の値上がりとか言った兆候が現れているそうですが、中小企業においては依然経営環境の厳しさは変わっていないように思われます。さて、今回は平成17年度の主な税法の改正について説明します。

 

1.所得税定率減税の縮小

所得税・個人住民税の税額控除の定率減税が、平成18年から2分の1に縮減されます。平成19年以降についても最終的には廃止される可能性があります。

 

改正前

改正後

定率減税額

所得税額の20%相当額

所得税の10%相当額

上限額

25万円

12万5,000円

上記金額のいずれか少ない額が控除される額となります。

 ※ この改正は平成18年1月以後の源泉徴収分から実施されます。これに伴ってH18年の1月分給与から源泉徴収税額表も変更されます。  

 

2.既存住宅の範囲緩和

住宅ローン控除や特定の居住用財産の買換え特例などにおける既存住宅の築後年数要件が緩和されました。また、一定の耐震基準に適合した住宅は、築後年数に関係なく対象となることになりました。

居住期間

平成17年1月1日〜平成17年3月31日居住

平成17年4月1日〜平成17年12月31日居住

対象期間

対象金額

 

特別税額控除額

 

・控除期間………………………10年

・住宅借入金等の年末残高……4,000万円以下の部分

・適用年、控除率1年目から8年目まで……1%

9年目および10年目……0.5%

 

 

適用対象となる家屋

 

 

床面積50u以上

既存住宅は、築20年以内(耐火建築物は築25年以内)

床面積50u以上

既存住宅は、築20年以内(耐火建築物は築25年以内)又は一定の耐震基準を満たす住宅

増改築要件

工事費が100万円を超える大規模修繕等

所得金額要件

その年の合計所得金額3,000万円以下

借入金等の要件

 

賦払期間、償還期間が10年以上の一定の要件を満たすもの

3.特定口座の受入延長

平成16年12月31日で一旦期限切れとなった、タンス株の証券会社などの特定口座への受入れが、平成17年4月1日から平成21年5月31日までの間、再度認められることとなりました。また、特定口座で管理されていた株式が発行会社の清算等で無価値になった場合の救済措置も講じられました。

 

4.リース節税の規制強化

民法組合を利用したリース等の損失を通算するといった節税策に対し、個人の所得税の計算上、不動産所得の損失がなかったものとみなすこととされました。また、法人についても損金算入額に規制がなされるほか、構成員が非居住者や外国法人である場合にも国内源泉所得として課税されます。

平成18年分以後の所得税から適用されます。法人は平成17年4月1日以後に締結される組合契約および同日以後に組合契約の承継を受ける場合から適用されます。但し、航空機については平成19年4月1日以後に締結されるものから適用されます。

 

5.教育訓練促進税制の創設

過去の教育訓練費の平均を上回った場合に税額控除が認められる制度が創設されました。さらに中小企業については、税額控除額の計算の特例が認められています。青色申告書を提出する法人がその年度に損金の額に算入した教育訓練費の額が、その直前2年間の教育訓練費の額の平均額を超える場合に、超える額の25%相当額(その年度の法人税額の10%が上限)の税額控除を行うことが出来ます。

本制度は、法人税及び所得税で適用があります。法人については平成17年4月1日から平成20年3月31日までの間に開始する事業年度、個人については平成18年から平成20年までの3年分について適用されます。

 

6.LLP税制の創設

有限責任事業組合(LLP)という制度が会社法の改正で新たに創設されます。LLPとは組合のような組織なので、課税上は民法上の組合と同様に構成員に対する課税が行われることとなります。

出資者が受ける利益の分配は、出資者自身の収入として課税対象となります。法人が出資している場合にはその法人の益金となり、個人が出資している場合はその個人の収入となります。