業務上のケガ等が発生した場合について

 

                        事務所通信  vol.56

                        平成17年4月20日

顧問先各位

 平素は、格別のご高配を賜りありがとうございます。確定申告も終わり、日々暖かくなってまいりました。顧問先の皆様におかれましては益々ご健勝のことと存じます。今回は、就業中に怪我等が発生した場合の手続きについて記述したいと思います。

 @業務上の怪我等の治療は労災保険の対象

顧問先の皆様は、会社で就業中に、棚の上の箱をとるのに、脚立を使用し誤って踏み外して足を捻挫した場合、近所の医院に健康保険を使って治療していませんか?

健康保険の適用は、事業外の傷病が対象となっています。上記の場合は、業務上の事故に係る怪我ですから、労災保険の適用が正しいこととなります。

このような、業務上の怪我や業務遂行が原因の疾病は、労働者災害補償保険の対象となり、かかりつけの医院が、労災保険指定医療機関で無い場合、一旦治療費の全額を医療機関に支払う必要があります。

ほとんどの医療機関は健康保険(国民健康保険・政府管掌健康保険等)の対象となっていますが、一方労災保険指定医療機関は、健康保険適用医療機関ほど多くはありませんので、ご自分がかかった医療機関が必ずしも、労災保険を使える医療機関とはかぎりません。

その為、先ほど述べましたように労災保険指定医療機関でなかった場合は、自費による診療となり全額支払う必要があります。

 A労災保険の請求手続き

イ)療養補償給付たる療養の給付

健康保険の適用では、医療機関に保険証を提出するだけで、あとは自己負担額を支払えばいいだけですが、労災保険の適用を受けるには、労災保険指定医療機関に「療養補償給付たる療養の給付請求書」を提出する必要があります。また最近は、薬剤の支給が別となっていますが、同様に薬局にも先の請求用紙を提出する必要があります。

この請求書には、事業所の労働保険番号や事業所及び療養を受ける本人の名称、所在地(住所)、災害の原因や状況等の記載と押印が必要です。

ロ)療養補償給付たる療養費の請求

かかっていた医療機関が労災保険指定医療機関でない場合は、領収書等を必ずもらっておいて、事業所の管轄する労働基準監督署へ「療養補償給付たる療養の費用請求書」を提出する必要があります。この請求書も、事業所の労働保険番号や事業所及び療養を受ける本人の名称、所在地(住所)、災害の原因や状況等の記載と押印が必要で、さらにかかった医療機関の証明も必要となります。

ハ)休業補償給付

 業務上による負傷、疾病が原因で、療養するため4日以上休業した場合、「休業補償給付請求書」を作成し労働基準監督署へ請求します。

記載内容は、療養の費用請求書と同様、事業主、被災者の名称、住所等の記載と医療機関の証明及び押印が必要です。さらに、平均賃金の内訳を別紙として提出します。休業が長期にわたる場合は、通常1か月ごとに請求書を提出することとなります。

また休業補償給付請求書を作成する場合、1回目の請求書には死傷病報告書の提出日の記載が必要で、また死傷病報告書の写しを添付する必要がありますので、必ず「死傷病報告書」を作成し労働基準監督署へ提出する必要があります。

B第三者行為による災害

 自動車事故で怪我をさせられたような場合、その加害者に損害賠償の責任があります。このような場合、労災適用した政府は、その額を限度として受給者の損害賠償請求権を取得して、加害者に請求します。また、加害者から被害者に損害賠償が行われた場合は、政府はその額に対応する保険給付を、行わないことが出来ます。上記のような第三者行為による災害をうけた場合は、遅滞なく「第三者行為災害届」を労働基準監督署に提出しなければなりません