令和4年度税制改正大綱について

              事務所通信 vol.163
              
令和4年1月20日

顧問先各位 

平素は格別のご高配を賜りありがとうございます。顧問先の皆さまにおかれましては益々ご清祥のことと存じます。さて今回は昨年12月に発表されました与党税制改正大綱について、中小企業者を中心として少し紹介したいと思います。(現時点で法律として成立したものではありません。)

1.法人版事業承継税制の改正

法人版事業承継税制の適用をうけるための特例承継計画の提出期限は、令和5年3月末までとされていた、感染症の影響により計画策定に時間を要する場合もあるため、提出期限を令和6年3月末まで1年間延長する。なお、先代経営者から事業承継の株贈与・相続の時期については当初どおり令和9年12月末までの適用期限については今後とも延長を行わない。

2.電子取引の改正

令和4年1月1日より電子データの保存が義務化されますが、令和5年12月31日までの電子取引の取引情報に係る電子データについて、保存要件に従い保存ができなかったやむを得ない事情があり、かつ、税務調査で出力書面の提出等に応じる場合にはその出力画面での保存を認められる。

3.中小企業の交際費課税の特例

中小企業における交際費等の損金不算入制度について、見直しを行うことなく2年間適用期限を延長する。

4.所得拡大促進税制の改正

@所得拡大促進税制を拡充し、適用期間を令和6年3月末まで1年延長し、令和4年4月1日から令和6年3月31日までの間に開始する各事業年度において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、継続雇用者給与等支給額の継続雇用者比較給与等支給額に対する増加割合が3%以上であるときは、控除対象雇用者給与等支給額増加額の15%の税額控除ができる制度とする。この場合において増加割合が4%以上であるときは、控除率に10%を加算し、教育訓練費の額の比較教育訓練費の額に対する増加割合が20%以上であるときは、税額控除率に5%を加算する。(最大30%)ただし控除税額は、当期の法人税額の20%を上限とする(所得税についても同様とする。)。  

A中小企業の所得拡大税制の見直し

税額控除率の上乗せ措置を次のとおりとする見直しを行った上、その適用期限を1年延長する(所得税についても同様とする。)。 雇用者給与等支給額の比較雇用者給与等支給額に対する増加割合が2.5%以上である場合には、税額控除率に15%を加算する。教育訓練費の額の比較教育訓練費の額に対する増加割合が10%以上である場合には10%を加算する。(最大40%、ただし当期法人税額の20%が上限)

5.住宅ローン控除の特例の延長(個人)

住宅ローン控除をについて、4年間延長する。消費税率引き上げに伴う反動減対策としての借入限度額の上乗せ措置は終了し、住宅性能に応じた上乗せ措置を講ずる。 控除期間については、新築の認定住宅等について13年間とする上乗せ措置を講ずる。床面積要件については、令和5年以前に建築確認を受けた新築住宅において、合計所得金額、1,000万円以下の者に限り、40uに緩和する。 控除率を0.7%とするとともに、住宅ローン控除の適用対象者の所得要件は、2,000万円に引き下げる。

6.住宅取得等資金の贈与の非課税措置(個人)

適用期限を令和5年12月31日まで2年間延長する。 

耐震、省エネ又はバリアフリー住宅用家屋                1,000万円

上記以外の住宅用家屋  500万円

上記の改正は、令和4年1月1日以後に贈与により取得する住宅取得等資金に係る贈与税について適用する。

7.適格請求書発行事業者の登録見直し

@免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に適格請求書発行事業者の登録を受ける場合には、その登録日から適格請求書発行事業者となることができることとする。

A上記@の適用を受けて登録日から課税事業者となる適格請求書発行事業者(その登録日が令和5年10月1日の属する課税期間中である者を除く。)のその登録日の属する課税期間の翌課税期間からその登録日以後2年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間については、事業者免税点制度を適用しない。

8.財産債務調書制度の見直し(個人)

 その年の12月31日において有する財産の価額の合計額が10億円以上である居住者を提出義務者とする。 上記の改正は、令和5年分以後の財産債務調書について適用する。 また提出期限については、その年の翌年6月30日とする。国外財産調書についても同様とする(現行:その年の翌年の3月15日)