電子帳簿保存法の改正について

              事務所通信 vol.161
              
令和3年9月20日

顧問先各位 

毎々、格別のご高配を賜りありがとうございます。顧問先の皆様におかれましては益々ご清祥のことと存じます。 さて本年3月に電子帳簿保存法の改正が行われました。当初、会計帳簿を電子帳簿で作成しない場合には関係が無いものと考えておりましたが、国税庁の資料をみておりますと、「電子メールにより取引情報を授受する取引(添付ファイルによる場合を含みます。)を行った場合についても電子取引に該当する」とあり、令和4年1月1日より殆ど全ての事業者で今回の改正が対象になるのではと考えております。 以下、国税庁の「電子帳簿保存法一問一答」の内容につき、特に注目すべきもの(電子取引関係)を紹介します。

問4 対象取引 (1) 電子メールにより請求書や領収書のデータ(PDFファイル等)を受領 (2) HPからダウンロードした請求書や領収書等のデータを利用 (3) 電子請求書や電子領収書の授受に係るクラウドサービスを利用 (6) ペーパーレス化されたFAX機能を持つ複合機を利用

回答
 いずれも「電子取引」の該当する…データを保存しなければなりません…データを出力した書面は、保存書類として取り扱わないこととされました。 (1)及び(2)については、データの訂正削除が可能と考えられますので、タイムスタンプの付与が行われていない場合には、受領者側でタイムスタンプを付与すること又は事務処理規程に基づき、適切にデータを管理することが必要です。…メールソフト上で閲覧できるだけでは十分とは言えません。

問12 電子メールにPDF請求書添付  一般的なパソコンを使用、特別な請求書等保存ソフトは使用していません。

回答
  例えば、以下のような方法で保存すれば要件を満たしていることとなります。 1.請求書データのファイル名に、規則性をもって内容を表示する。 例)2022年10月31日に株式会社国税商事から受領した110,000円の請求書→「2022_(株)国税商事_110,000」 2.「取引の相手先」や「各月」など任意のフォルダに収納して保存する。 3.「事務処理規程」を作成し備え付ける。 又は 索引簿をエクセル等で作成し、索引簿を使用して請求書等のデータを検索する方法によることも可能です。

問24 事務処理規程 正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理の規程

回答
 ・保存する取引関係情報の内容について、訂正及び削除をすることは原則禁止とする。 ・業務処理上やむを得ない理由によって保存する取引関係情報を訂正又は削除する場合は、事後に訂正・削除履歴の確認作業が行えるよう整然とした形で、当該取引関係情報の保存期間に合わせて保存することをもって当該取引情報の訂正及び削除を行う。

問31 検索機能 電磁的記録の保存にあたり、検索機能で注意すべき点はありますか。

回答
 (1)取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先を検索の条件として設定することができること。 (2)日付又は金額に係る記録項目については、その範囲を指定して条件を設定することができること。 (3)二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定することができること。

問33 データ保存システムがない場合  システムはありませんが、どのような方法をとれば要件を満たすこととなりますか。

回答
 例えば、エクセル等の表計算ソフトにより、取引データに係る取引年月日その他の日付、取引金額、取引先の」情報を入力して一覧表を作成することにより、当該エクセル等の機能により、入力された項目間で範囲指定、二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件設定をすることが可能な状態であれば、検索機能の確保の要件を満たすものと考えられます。

※ 具体的な記載例は、国税庁HPの「電子帳簿保存法一問一答」をご覧ください。