適格請求書適用後の記帳等について
事務所通信 vol.160 令和3年8月20日 顧問先各位 1.発行事業者の登録 消費税の改正により、令和5年10月1日以降は適格請求書保存方式が開始されます。適格請求書等保存方式の下では、税務署長に申請して登録を受けた課税事業者である「適格請求書発行事業者」が交付する「適格請求書」等の保存が仕入税額控除の要件となります。 2.インボイス適用後の記帳について 1)課税売上 課税売上に関しては、消費税に関する記帳方法は区分記載請求書保存方式の時と相違ありません。なお免税事業者は、税抜き処理は出来ません。 2)課税仕入 課税仕入れに関しては、区分記載請求書保存方式の時と相当相違します。 仕入先等から受け取った請求書が、「適格請求書」でない場合、原則課税仕入れに係る消費税額を消費税の計算で控除することが出来ません。 ◎仕入れに係る消費税額 区分記載請求書保存方式では、免税事業者からの仕入れでもその内容が課税仕入れに該当する仕入れであれば、課税売上に係る消費税額から控除することが出来ました。しかし令和5年10月1日の適格請求書保存方式への改正後は、同じ内容の仕入れであっても登録事業者の発行する適格請求書がなければ、仕入れ税額控除の対象ではなくなります。 このため消費税の記帳では必ず、請求書・領収書の消費税に関する記載事項を確認し記帳することとなります。 適格請求書の発行を免除される場合とは、@3万円未満の公共交通機関(船舶、バス又は鉄道)による旅客の運送、A出荷者等が卸売市場において行う生鮮食料品等の販売、生産者が農業協同組合、漁業協同組合又は森林組合等に委託して行う農林水産物の販売、B3万円未満の自動販売機及び自動サービス機により行われる商品の販売等、C郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限ります。)等です。 今までは、免税事業者(適格請求書発行事業者以外)からの仕入れと課税事業者(適格請求書発行事業者)を区別せず記帳していたと思われますが、令和5年10月1日以降は、適格請求書の記載を確認して、課税対象額(課税・非課税・消費税対象外の区分)・消費税額(10%・軽減・旧税率)を正確に区分して記帳する必要があります。 税抜き処理していた場合は、適格請求書による税額の記載がなければ税抜き処理が出来ませんので注意が必要です。 これまで原則課税を採用していた事業者も、これらの適格請求書への記帳対応が十分に出来ない場合は、課税売上額にもよりますが、簡易課税への移行も検討事項になるかと思われます。 消費税の適格請求書保存方式への改正に向け、それぞれ自社の事前準備をよろしくお願いします。 |