私は山田花子(仮名)16歳(ちょっと嘘☆)。
シュミは読書(男×男)と絵書き(やっぱり男×男)。充実したマイライフを送ってるの!
この人格ちょっと疲れてきてからやめたいんだけど、ノリ的に続けるわね☆
そんなワタシの昨今の興味はちょっといつもと違って、峠に行くことなの。
今実はワタシ、走り屋さんのお追っ掛けをしているの。
車にも興味あるのかって? そうね〜ないでもないけっどお。車ってよりはドライバーの方に興味あるってカンジぃ〜?
走り屋なんてダッサイ男しかいないと思うじゃん? 車にばっか金かけて『俺の○○〜』とか車に擦り寄ってそうなヘンタイ臭いの。でもそれが全然違うのがいるんだよね〜。しかもペアで!!
それが二人ともも〜ちょ〜カッコいいんだ〜。おまけに医者の息子とか言うじゃん? バックボーンもばっちり。当然車の為にバイト〜なんてしてない医大生と大学生。その上走りまでカッコよくってさ〜。良くわかんないワタシでもシビれちゃうくらい! 一気に峠の世界にのめり込んじゃった。
で、その二人ってのがコレが兄弟なんだ。だから似てるって言えば似てるんだけど印象はゼンゼン違うんだよね〜。お兄さんの方が医大生ってヤツで、いかにも知能派? そんなカンジ。いつも落ちついた顔と態度で走り屋のチームのリーダーなの。いかにも容姿端麗って言葉が当て嵌まっちゃうカンジ?
弟クンの方はやんちゃ坊主がそのまんまおっきくなったってカンジなんだけどまたカッコいいんだよね〜。煙草吸う姿とか無茶苦茶サマになってるし! 二人ともすらっと背も高くってタレントかモデル顔負けってトコ? もう信じらんな〜いっってカンジでさ〜。当然女の子ファンも多いワケ。
男どもは『走り屋は顔じゃない』とかゆってるけどさ〜。走りだって彼らに勝てるヤツだ〜れもいないんだもん。ヒガミだよねカッコワルう〜。
今では追っ掛け仲間もできて楽しくやってるの! でも私達彼らに話しかけたりとか何か無理やり渡したりとかそんな強引なことはしないんだよ? タレントならそれも仕事なんだろうけどさ、私達はちゃんと弁えてるの☆ そんな抜け駆けするヤツいたら私達がこっそり制裁しちゃう♪ だから迷惑はかけてないの。
その分色々自由に想像はさせてもらってるんだ。
だって彼らって……同人オトメをくすぐるくらい仲がいいんだよね。だって二人とももう二十歳も超えた男兄弟なんだよ〜? それがシュミが一緒とは言え良く一緒にいるし〜。ちょっと情報に詳しい子に聞くと本当に仲いいみたいなんだよね。お兄さんが忙しいから最近弟クンだけが峠いることもあるけどお、そじゃない時は一緒みたいだしい。あれだけカッコいいのに彼女もいなみたいなんだよね〜。
これって妄想するなって方がヘンでしょ? え? 兄弟なのにって? そんなこと関係ないよ〜。イイオトコが二人いて仲よけりゃ〜。生まれてからの仲ってなんとなくもえない?
でも今はちょっとした疑問があってちょっとした論争になってるワケ……。
で、私としてはあ、この際がーんと一発疑問は疑問で解消しちゃおうってワケ。
* * * *
赤城。
週末の今日は久方ぶりにレッドサンズの走行会が開催されていた。
この日は久しぶりにチームリーダーの高橋涼介が来るということで、メンバーもほぼ全員が集合していた。その場に遅れていたのは珍しいことに、レッドサンズのNo2の啓介だ。
「今日はどうしたんだ……啓介は?」
史浩の問いに、無表情にデータを見ていた涼介が一瞬だけ顔をあげる。
浮かんだ笑みは質が宜しくない。
「今頃洗剤類と格闘してるだろうな……」
「は!? 洗剤?」
「顔に大きく『僕は悪い子です』と油性マジックで書かれたまま峠にはこられないだろ……?」
「……………………、お前の仕業か?」
「いいや? どっかから啓介の部屋に侵入した通りすがりのラキガキ魔だろ?」
しれっとした顔でどう聞いても嘘っぱちを宣う。が、その風情があんまりにもしらっとしているので史浩以外なら思わず信じてしまったかもしれない。
「通りすがりのらくがき魔ってお前な……。大体通りすがりで家まで侵入するのか……?」
「自らの欲求の発散の為には周囲には不可解としか思えない程に労力を費やすのが人間という生き物の悲しい性だろ?」
「……。どうでもいいがまたなにかしでかしたのか……あいつか?」
「―――首を突っ込みたいか?」
「いいや!! 全然!!」
「なら黙ってろ」
(また怒らせたのか啓介……。お前には学習能力というものがないのか……?)
深刻じゃないレベルなら結構始終なような……。史浩ならとても恐くて涼介を怒らせるなどできない。考えるだけで震え上がりそうだ。
怒っている時の涼介、というのは顔こそいつものポーカーフェイスだが、纏う雰囲気が違うのだ。はっきりゆ〜とコワイ。ただでさえレッドサンズ内では絶対者だけにメンバーも遠巻きだ。涼介の半径3メートルくらいだけ綺麗に史浩以外の人口がいない地帯が創生されている。
が―――ふと。
涼介と史浩の二人は自分達の前に唐突にたった人影に気づいた。
顔をあげると―――そこには見知らぬ女がたっている。歳は恐らく20台半ば。至極真面目で知的な印象のそこそこには美人だった。
しかもカノジョは妙に思い詰めた顔をしている。
史浩と涼介が同時に互いに『知り合いか?』という視線を送った。
彼女はただ拳を握り締めて―――涼介を見つめている。もしかして峠でいきなり告白か!?と厄介な自体に史浩が焦りかけた時―――彼女はすっと品よく赤く彩られた唇を開いた。
そして思い詰めた顔のまま、峠上に響き渡りそうな声で、彼女は叫ぶ。
「貴方と弟さん、どっちが上ですか?!」
「―――」
「―――」
「―――」
し―――――――――ん。
峠中が静まり帰る。
どっかで遠くから猫のにゃーおという声までがやたらと静寂の中に響いた。
「………………」
ずっと周囲も含めて硬直しきっていたが―――ふと。
ずっと無表情だった涼介がふっと微笑む。
そしてそれは素晴らしい笑顔で言い切った。
「俺が弟の下になるワケはないでしょう?」
どっかからキャーとかいう声が聞こえたのは気の所為ではないだろう。
彼女も不意にガッツポーズを作ると、何処へともなく高速で消えた。
「――――――」
呆然とするのは展開についていけない周囲。
そんな中涼介は全く何事もなかったかのように、再度パソコンのキーをかたかたいじり出す。
「お……おい;涼介……?」
「なんだ?」
呆然と問いかける史浩に対する涼介の声は平静そのものだ。
「な……なんだったんた今の……?」
「最近増えてるらしい特殊な団体に属するメンバーの一人だと推察される」
パソコン画面から顔もあげずに涼介。
「特殊な団体?」
「どっちにしろ適当にいい加減なことを言って撹乱しておいた方が反って真相は藪の中だ」
「か……撹乱てお前な……。良かったのか……?」
「この場合被害を受けるのは啓介だから一行に構わない」
構わないのか!? いいのかそれで!? そう思ったが涼しい顔の涼介に何を言っても無駄だろう。
そうして一部団体だけ妙にハイテンションを保ったヘンな空気のまま、走行会は進み―――
「アニキ!!!」
―――走行会半ばにしてようやく到着した啓介は、なんだか妙にげっそりしていた。やっぱり真空地帯の中央にいた兄のところに一直線で向かってくると叫ぶ。
「どうした?」
「ひでえじゃねえか俺の顔に油性マジックであんなこと書いて!!!」
「ひどいのはお前の方だろう……? 人が寝てしてる間に何をした……?」
「あ〜〜えっと……」
途端に啓介の視線がさまよう。
「だってこうつい手が勝手に……。起こさねえように気をつけたじゃん」
「人の身体に無断で跡をつけるな」
「断ったら嫌がるじゃねえか!」
「……お前俺の言うことが聞けないのか……?」
「いて……っつねるなよ!! ……ってどっかで何かキャーとかいってねえ?」
「良くあることだろ?」
「いやそ〜だけど……、なんか今日妙に……」
「どうした?」
考え込む啓介にしらっとした顔で涼介。
「良くわかんねえんだけど女達の態度がなんかこう……、なんで俺が『啓ちゃんカワイ〜!!』とか言われねえといけねえんだ? 俺みてえな男前に何処に目をつけてるんだよ?」
「……。まあ色々なところだろうな……」
「アニキ??」
「啓介」
ふっと必殺の笑みを涼介は浮かべる。
そして啓介の頬に手をおいたまま宣った。
「お前はなんにも気にしなくていいぞ?」
「そ……そうなのか?」
「ああ……」
「まあアニキがいうなら……でもなんかこう引っ掛かるんだけど……」
「気の所為だ」
「アニキがそう言うならそうか〜……」
「……」
「(でもやっぱなんか引っ掛かる……)」
* * * *
「だからゆったじゃない〜。涼介様は絶対受けなんかやるタイプじゃないって!」
「え〜。けっどお〜。年下攻めもいいかな〜と思ったのに〜」
「アニキの前だけではカワイイよね啓ちゃん〜。ふふふっ。これで思う存分妄想に浸れるよっ!」
「啓ちゃんに着せるならやっぱり黄色いドレスかな〜」
「きゃ〜っ!! それで『俺アニキの嫁さんになりたい……』とか潤んだ目で言っちゃうんだね!!」
「かわい〜〜〜!!」
「アニキ……。なんだか良くわからね〜けどさっきから寒気が……」
「気の所為だ」
「そ、そ〜かな……?」
こうして赤城峠で公認になったのは涼啓だったとな。
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