Written by 小島
>さざなみ寮 真雪の部屋
真雪は、自室で漫画を書いていた。
「ほら!!そこベタがはみ出してる!!まったく役に立たない奴!!」
ちなみにアシスタントは、知佳に改造された二人の男である。
「す、すいません」
ベタを塗っているのは、謎の男、真雪に卑屈な笑顔を向けている。
トーンを貼っているのは、遊だ。
遊は流れるような流麗な手つきでトーンを丁寧に貼りつけている。
何しろ改造され始めてから毎日の様に手伝わされていれば上手くもなる。
今では真雪のチーフアシスタントとして、なくてはならない戦力に成長していた。
「いいか!!次のイベント用の入稿日が近いんだから素早く、かつミスのないようにな!!」
そう、真雪は漫画家は漫画家でも、同人漫画家だったのだ。
ちなみに進行状況としては修羅場モード一歩手前という所だろうか、なんにせよ余裕はないようだ。
その頃、耕介達は時間が時間なのですでに帰宅しているが、耕介が瞳、薫、ゆうひの3人にたっぷりと冷や汗をかか
されたのは言うまでもない。
しまいには瞳がどこからともなく包丁を持ってきて
「耕ちゃんを殺して私も死ぬ!!」
と大暴れしたのはさすがのゆうひもヤバイと思ったのか、2号さん宣言を取り消さなかったものの、耕介の婚約者であ
る瞳を立てる形で幕を閉じたのだが、瞳の昔を知っている耕介はいつ刺されるかと生きた心地がしなかったらしい(合 掌)。
>綺堂邸 食堂
「先輩、もう一杯いかがですか?」
「えっと、うん!!もりゃおうきゃな」
さくらと真一郎は、二人で一緒に料理をしてから食堂に移動して、一通り作ったものを食べ終えたところだ。
ちなみに今夜のメニューは、ソーセージとレタスのコンソメスープと、チキンソテーのマスタードソース、トマトとほうれん
草とアスパラガスのサラダ、ツナと茄子のピリ辛トマトソーススパゲティの5品で、真一郎がスープとサラダを作り、さくら が残り三品を作った。
そうしてできた料理を食べる直前に食前酒としてシェリー酒を出してきたさくらが、食事中も、そして食事が終わってか
らも、こうして真一郎にお酌をしてくれた所為で、お酒にたいして強くない真一郎はすでに正体をなくしかけていた。
ちなみに真一郎が断ろうとすると、さくらが例の潤んだ瞳の上目遣いをして真一郎の反論を封じていたのがここまで
飲む事になった本当の理由なのだが……。
憎からず思っている少女の、儚げで、どこか色っぽいその眼差しは真一郎の正常な判断を阻害するのに十分な効果
を発揮して、真一郎を酔いつぶれる1歩手前にまで追いやっていたのだった(ちなみにさくらは真一郎の倍は飲んでい るがまったく平然としている)。
そして、さくらが注いだ新しい一杯がとどめをさしたようだ、飲み始めて二口で真一郎は、そのままテーブルに倒れこ
み(運良くシェリー酒をこぼす事はなかった)、眠ってしまっていた。
さくらは真一郎をひょいとばかりに軽々と抱きかかえると、自室に向かうのだった。
(先輩、今日を二人の大切な記念日にしましょうね(ハート))
真一郎大ピーーーンチ、このままさくらに既成事実を作られてしまうのか?
>さざなみ寮 リビングルーム
夕飯も食べ終わり、地球上での情報収集も一通りの目処がたったこともあり、政務を取仕切る宰相であるマユーキと
軍務を司る近衛将軍カオルーそして、正規軍元帥ミオーの代理のジロー将軍、祭祀を司る大神官ユーヒの4名が集ま っていた。
なお、クィーン・アーイは昼間の騒ぎで疲れたらしく、今回は不参加である。
「知っての通り地球上での情報収集活動はほぼ終了となった。でだ、少なくとも一国を乗っ取るつもりでいないと、この
星にあたしらが住む所は無いという事が明確になったわけだ」
議長役のマユーキの言葉に、表情は違えど、一同が肯く。
「実は、こちらから何度か受け入れ要求を各国へ送っていたのだがな、返答は全て無し、無視されたという事だ」
再びのマユーキの言葉に、ユーヒは悲しそうな表情で肯いた。
「わかってます。平和的に解決できんなら、神殿の方も実力行使に反対できません」
「ユーヒ様、我々が実力を示せばいいだけの事です。すぐにどこかの国から受け入れを申し出てくれるはずです」
カオルーは、そんな事はほぼ無いだろうと思いながらも、ユーヒにそう言った。
「さて、作戦のほうだが…ジロー将軍頼めるか?」
「わかった。明日の夕方、人が多い時間を狙って駅前商店街を襲う」
マユーキがジローにそう言うと、何の躊躇もなく答えるジロー。
「それじゃあ、うちは巡察官が来たら歌を歌うな」
そう言うと、ユーヒは不適な笑みを浮かべた。
>風芽丘学園 校門
真っ青な雲1つない快晴。
今日はそんな気持ちの良い朝を迎えた風芽丘学園の校門にそれとは相容れない二人の影があった。
1人は真一郎、虚ろな目をしながらブツブツと
「やっちまった…やっちまったよ俺…」
等と延々と呟きつづけている。
真一郎が壊れかけている理由は、昨晩の夕食の途中からの記憶がない真一郎は、今朝方強烈な頭痛と咽喉の乾き
に目覚めた真一郎は、水を飲もうとたちあがろうとしたが、左腕が動かないという違和感を覚える事で、急速に覚醒す る事になった。
そして、完全に目を覚ました真一郎は、さくらの部屋のさくらのベットで一糸纏わぬまま、同様に一糸纏わぬさくらに抱
き付かれているという状況に思考をフリーズさせるのだった。
そしてもう1人は、昨日小鳥を拉致って逃走した大輔である。
どうやらその後、追撃してきた唯子といづみに捕まったらしく、原型を留めないほど殴られた顔を晒し、なぜか関節が
増えている手足を校門に縛り付けられた状態で放置されている。
御丁寧にもその隣には立て看板が立て掛けてあり、そこには『危険真性ロリコン』とか『幼女誘拐犯』とか書かれてい
る。
他の生徒達はこの二人を避けるように校内に入っていく、そこにある意味この爽やかな朝に合わない二人の人物が
登場した。
耕介と瞳である。
真一郎と大輔を見ないようにしていた生徒達もこの二人には注目した、何せ2年生で1・2を争う人気の美少女がクラ
ス担任の巨人教師の腕に抱きつきながら登校してきたからである。
もとよりこの2人が親同士の決めた許婚である事は結構知られていたのだが、今まではあくまで教師と生徒の枠をは
み出る事はなかったこともあり、それほど話題になることはなかったが(せいぜい瞳ファンの生徒が耕介に正義の鉄槌 をと叫ぶくらい)、このシーンはさすがに生徒達の興味を引いたのだ。
(うう、まずい!!まず過ぎる!!今日の職員会議で何言われるかわかったもんじゃない!!)
耕介はそうは思っても、この状況から脱出する素振を取らなかった。なぜならこれは、瞳が昨日の出来事で耕介を許
すための条件だったからである。
(まあ、とにかくこれ以上敵を増やさないようにしないとね。反撃はそれからゆっくりとね……)
「耕ちゃん?」
「なんだ?瞳」
「愛しているわ……CHU!!」
耕介に声をかけた瞳は耕介が顔を瞳に向けたのを見計らって、背伸びをして素早く耕介の唇を奪うと、手を離して校
舎へ向かう。
(ああ、本当にまず過ぎるーーーーー!!)
耕介は、声にならない叫びをあげた。
>さざなみ駅前商店街
瞳は考え事をしながら、商店街で買い物をしていた。
(やっぱり、耕ちゃんてもてるわね)
そう耕介は昔からもてた。ひとめぼれされる事はなかったが、そこそこのルックスに高身長で頼り甲斐があるように見
えるし、頭も結構よくて学校の成績は常に上位に位置していた。
さらにその上、弱者には優しく、いじめなどの行為には完全と立ち向かう正義感と、たとえ暴力で反撃されても返り討
ちにできる実力を兼ね備えているのだ。そのくせ堅苦しくない。これだけ好条件がそろえばもてないはずはなく、常に複 数の女性からそれとなく好意を送られ、実際に何人かと付き合った事があったが長続きはしなかった。
理由はただ一つ、家事においても完璧超人である耕介に女としての自信を失わされてしまったからだ。
(でも、今回はまずいかも)
瞳が薫から入手した「椎名ゆうひ」という女性に関するプロフィールには、スタイル(スリーサイズを含む)、経歴、性
格、家事等に関する技量まできっちりと書かれていた。
(スタイルは負けてないと思う。経歴から考えると知性に関しても互角かな?性格に関しても耕ちゃんが好きそうなタイ
プだし、料理はともかく家事は耕ちゃんばりに何でもできるみたいだし、何よりそんなことに小さなプライドを持ってない っていうのは結構厳しいわね。でも、何より厳しいのは私自身が未だにどこか妹のように思われている事よね)
こんなことを考えながらでも、耕介に教わった通り、見事な目利きで新鮮でおいしい素材を選んでいくのはさすがであ
った。
瞳がそんな風に買い物をしていると、商店街の一角で突如として爆発が起きた。
「くっ、何よ突然!!」
爆発の跡には十数人の人影があった。
校庭での戦いの時にいた、漆黒の鎧を着た男と極彩色に染め上げられたインドのサリーのような衣装を着た美女を
中心に前衛に例のリサイクル怪人を配置し、周囲には獣人兵を配置している。
今回のリサイクル怪人は何だかメカニカルな部品の付いた狼のコスプレをしたような格好をしている。
そしてリサイクル怪人が大声をあげる。
「我々はサザナーミ皇国の地上攻略部隊である。地球侵攻の第一歩としてこの商店街を占拠する!!」
>風芽丘学園 会議室
会議室では耕介が校長と教頭に絞られていた。
「困るねぇ。君が赴任してきた時に、あまり生徒達を刺激しないでくれと言ったはずなんだがねぇ」
校長が10何度目かのこの台詞を言う。
「まったくですね、君は自分が教師であるという自覚はあるのかね?」
教頭がこの台詞を言うのは20回目以上である、というよりも会議が始まってからこの台詞しか口にしていない。
そこにこのままでは会議が進まないと思ったのか、佐伯が声をかける。
「校長先生も教頭先生も、もうそのくらいでいいじゃないですか。確かに不謹慎だったとは思いますけど、正式に婚約し
ているんですし、目撃証言からすると千堂さんの方からのアプローチだったようですからこのくらいで許してあげません か?」
「うむ、まあいいだろう。これからは気をつけるんだよ、槙原君」
「そうですよ、自分が教師である事を決して忘れないようにね」
どうやら打ちきるタイミングを計っていたらしく、あっさりと引き下がる二人、それからようやく会議が始まった。
「佐伯先生、ありがとうございます」
耕介は軽く頭を下げた。
「いえ、いいんですよ。それよりも御二人の仲がどれくらい進んでいるのか興味深いんですけど」
満面の笑顔を耕介に向けながらも、佐伯の目はぜんぜん笑っていなかった。そう昨日の瞳のように。
ここに、新たな耕介争奪戦参加者が現れたのだった。
>マンション料理天国702号室
「ああー!!もう!!どうしてこんな時に攻めてくるのよ!!」
駅前商店街が混乱していた為、下手にそこで変身するわけにもいかず、買い物の荷物を持って自室に戻ってきた瞳
は、理不尽だとわかっていながらもそうわめいた。
頬を膨らませて居もしない相手に上目遣いでブツブツと文句を言う姿は、1歩間違うと危ない人になるが、彼女のその
美しい容姿が幸いして可愛らしく見える。
いつもは大人びた雰囲気のある彼女がこの時ばかりは歳相応の、いや歳よりもずっと幼く見える。
ちなみに彼女が荒れている理由はというと、耕介を巡るライバルが増えた事に脅威を感じた彼女は現在の通い妻に
も似た状態を利用して、改めて自分の健気さをアピールしようと耕介に練習を重ねた新作の手料理を食べてもらおうと していたのだ。
手間のかかる料理の為、事件が長引けば今日は作る事ができないだろう。もちろん明日作ればいいなんていう突っ
込みは無しだ。ゆうひという女性が強敵である事がわかっている彼女はできるだけ早くかつ強力に自分をプッシュする 必要があると考えていたからである。
「まったくもう。今日は無視しちゃおうかしら」
などと物騒な事を呟きつつも買った材料を一通り片付けると、耕介に連絡をとろうとするが…この時間は職員会議だと
思いだし携帯に暗号メールをいれると変身の為のキーワードを呟いた。
「着装」
次の瞬間白い光球に包まれた彼女は駅前商店街を目指し飛んでいった。
>風芽丘学園 会議室
瞳が携帯に暗号を送った時、職員会議は既に終わっていた。
前半は耕介に対する注意に終始していたが、後半は間近に迫った球技大会の事に関しての確認と追加事項のみだ
ったからだ。
だから耕介は罰である会議室の後片付けの最中になった携帯を取り、暗号メールを見ると会議室の片付けを手早く
終わらせ、職員室に戻り、帰宅する事を告げたのち人目に付かない旧校舎に入りキーワードを唱えた。
「着装!!」
>海鳴駅前商店街
商店街では遊が我が世の春とばかりに絶好調で暴れまわっていた。
「消えろ!!不細工な男ども!!」
その声と共に骨折しているのか片腕を包帯で吊り下げたバーコード頭の親父(どうやら昨日唯子に投げ飛ばされた
親父らしい)が蹴り飛ばされる。
「ええい、似合ってもいない格好をするんじゃない!!」
同様に、額にバンソウコウを貼ったガングロ女子高生がジャブの連打にKOされる。
「ハハハハハハハハハハハハ……」
「なぁ、ちょおやりすぎちゃうか、あれ?」
「はぁ」
馬鹿笑いを続ける遊を尻目に、幹部の2人はちょっと引いてしまっていた。
「送り狼、やり過ぎだ!!もう少し押さえろ!!」
さすがにまずいと思ったかジロー将軍が声をかけて注意するが、どうやら日頃のストレスを晴らすため調子に乗って
暴れているうちにトリップして精神がどこかにぶっ飛んでしまったらしく、ジロー将軍の声が届かなかった遊もとい送り狼 は更に暴走した。
「ハハハハハハ……ガキは嫌いだ失せろ!!」
逃げる途中で転んでしまった子供が泣いているのを見つけた遊が、その子供を踏みつけようとした時、白い光の玉が
送り狼を弾き飛ばし子供を離れた場所へと連れていくと、商店街にあるビルの屋上まで飛びあがった。
「宇宙刑事スワン、華麗に推参」
スワンが現れてすぐに、ジロー将軍はユーヒの護衛として自分が残ると、獣人兵をスワンへと差し向けた。
そしてユーヒは高らかに歌をうたい始めた。
その歌声はやがて強力な力へと変わり、周囲に重なるようにこの世界とは別の法則が支配する世界を作り上げ、そ
こに敵味方問わず閉じ込める。
これがサザナーミ皇国の国教である「槙原神教」が伝える歌と音楽の力における奥義『メロディ・オブ・ザ・ワールド』で
ある。
その効果は、現実世界と切り離された世界を作りそこで戦闘を行うため、実際の世界にはいっさいの被害が及ばな
い事、術者の任意対象の筋力、反射神経、持久力を大幅にパワーアップできる事、美しい歌声が堪能できる事であ る。
スワンはあせっていた、間抜けな性格と反比例して送り狼が強かったからだ。
ちなみに、獣人兵は『メロディ・オブ・ザ・ワールド』が完成するまでの間に全滅している(よ、弱)
最初の不意打ちであれほど簡単に吹き飛んだ事が嘘のように、こちらの攻撃をかわす。例え当ってもたいしたダメー
ジを受けた様子もなく、軽々と反撃してくる。
「フハハハハハハ、小娘、その程度か?」
(くぅ、こいつにバカにされると他の人間にバカにされる300倍も悔しい!!)
「今度はこちらから行くぞ、ショット・クロー!!」
本物の爪ではなく、手首の辺りから生えた、三本の大きな金属性の爪がスワン目掛けて打ち出される(打ち出された
爪の替わりの爪がすぐに生えてくる)。
近接戦主体のスワンは、送り狼のすぐ傍にいたので突然の事にかわしきれず、左肩に一本の爪が当り、プロテクター
に亀裂が入る。
実際のダメージはたいした事はなかったが、決定的な隙ができる。
「死ね!!ファング・クラッシャぶっ!!」
胸部に浮き彫りされていた狼の口が開き、その牙でスワンを噛み砕こうとしたその時、赤い光の玉が送り狼を吹き飛
ばす。
そして、ビルの屋上に一台のバイクに乗った真紅の影が、白い影を胸に抱きしめた状態で現れる。
「宇宙刑事!!シェフダー!!」
さて、少し時間をさかのぼって、シェフダーがここに現れるまでを見てみよう。
旧校舎を飛び出したシェフダーは駅前商店街に着くが、そこにはすでにユーヒの手によって結界が張られており、結
界内部で戦っているスワンとは連絡もとれなかった。
「ならば、モトシェフリアーーーン!!」
シェフダーが、通信機に向かってモトシェフリアンを呼ぶと、亜空間に待機している超次元戦闘母艦「キッチンコロシア
ム」から、シェフダー専用戦闘バイク「モトシェフリアン」が次元を超えてやってくる。
先端が尖った流線型のカウルと、後輪の両側に着いたエアジェットエンジンの大きな排気管、その排気管に取り付け
られている小さな翼が特徴的なこのバイクは、地上走行だけではなく、空を飛び、海に潜ることができる万能バイクだ。
シェフダーはモトシェフリアンに飛び乗ると周囲に強力なエネルギーフィールドを張って突撃する。シェフリアンダッシャ
ーを使い結界を無理やり破壊すると、今しもやられそうになっていたスワンを助け出したのだった(送り狼はその時つい でに引かれただけ)。
「ユーヒ様?」
「あかん、かなり強力な結界を張っとったのに、破られてもーた」
シェフダーの登場と共に結界が破れたのに気付いたジロー将軍が、ユーヒを見ると、疲れきってフラフラのユーヒがい
た。
しかし、これは無理もないことだ。範囲限定で一時的なものとはいえ、1つの世界を無理やり作り出し、維持している
のだ。その労力は並大抵のものではない。
ユーヒの様子を見たジロー将軍は一時撤退する事を決めた。自分と送り狼だけでは二人の巡察管にかなわないと冷
静に状況を判断したためだ。
「送り狼、後は任せたぞ!!」
そう言うと、周囲に煙幕をまきユーヒを抱きかかえたまま姿をくらますジロー将軍。
「すぐに片をつける。ここで待っていてくれ」
シェフダーは、スワンをモトシェフリアンのシートに横たえると1人大地に立った。
「次は貴様か?この間までの借りを返すぞ!!」
そう言って、シェフダーに躍り掛かる送り狼。
しかし、今日のシェフダーは一味違った。
跳躍から一気に爪を振り下ろす送り狼の一撃を紙一重で交わすと、レーザーブレードを貫うちして両腕を切り落とす。
「ジャイアントスピンキック!!」
そして、両腕をなくしたショックで動きの止まった送り狼の胸元に回し蹴りを叩き込んで吹き飛ばす。
さらに態勢を立て直す暇を与えることなく、レーザーブレードのエネルギーを全開に解放しつつ、ジェットホバーで送り
狼に接近する。
真紅に染まったレーザーブレードを頭上に掲げジャンプする。
「必殺!!シェフダークリムゾンフラーーーーーーーーーッシュ!!」
真っ二つにされた送り狼の背後、少し離れた場所にシェフダーが膝を付いた形で着地すると同時に送り狼が大爆発
を起こす。
そして、シェフダーは、モトシェフリアンのタンデムシートにスワンを載せたまま「キッチンコロシアム」へと帰還するのだ
った。
>マンション料理天国701号室
翌日、耕介が学校から帰ってくると、なぜか701号室の鍵が開いている事に気づいた耕介が瞳でもいるのかと思い
つつ部屋に入るとそこには……。
「ああ、お帰りなさい先生」
「槙原先生、お邪魔してますね」
「耕ちゃん、すぐに御飯になるからね」
ゆうひと佐伯と瞳が仲良く並んで料理をしているところだった。
そう。一目見たぐらいでは仲が良さそうに見えるが、その実三人の周囲には妖気が渦巻いていた。
「あっ、そうそう耕ちゃん後でちゃんとお話しましょうね」
瞳の目は笑っていなかった。
「ハハハ…」
頭の中でどうしてこうなったんだろうとか、ヤバイ、ヤバ過ぎるよとか、とにかく刃物は隠さないとなとか色々と思考が
渦巻いたまま硬直した耕介は虚ろに笑うしかできなかった。
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こんにちは、小島です。
耕介「主役の耕介だ」
瞳「ヒロインの瞳です」
耕介「今回も前編から中編まで時間かかったな」
うん、実は7月はシェフダー強化月間として、四話の前編まで書く予定だったんだけどね、急に仕事が忙しくなっちゃっ
てね。
耕介「それならまあ、しかたないよな」
瞳「耕ちゃん、騙されちゃ駄目よ」
耕介「どういう事だ?」
瞳「このバカ作者は、6月末に発売になった、ゲームソフトを手に入れ損ねたからって、しょっちゅう遠回りして新宿とか
秋葉原に出没してたという事実があるのよ」
うっ、た、確かにそれは事実だけど、その所為というわけじゃないぞ、だいたい30分から1時間位しか帰宅時間に差は
なかったんだし、そもそも月の前半の数日だけの話しじゃないか、それって。
耕介「本当だろうな?」
本当だって、あんまり疑い深いのは良くないぞ。
瞳「まあ、それは嘘じゃなさそうだけど……遅れたのも事実よね」
それは認める。
瞳「まあ、仕事が忙しかったってのも嘘じゃなさそうだし、今日はこれくらいで勘弁してあげるわ、でも次から気をつけな
さいよね」
はい、気をつけます。
耕介「だからって、ただでさえへぼい文章のグレードをこれ以上下げないようにな」
わかっとるわい!!
毎回毎回無礼で態度のでかい奴らだな、まったく。
まあ良い、ここらで予告いくぞ。
瞳「はい!!はい!!お邪魔虫を撃退する話しだと嬉しいんだけど」
露骨だね君は(汗)。
耕介「(小声で)もしかしてこのままハーレムED一直線とか?」(やけに嬉しそうな表情)
うんにゃ、二人共違う、次回は真雪の新アシスタントである謎の男の正体と、仁村知佳ちゃんの本格登場だ。
タイトルは「光翼の天使」だ。
瞳「なんかまんまのタイトルね」
耕介「芸がないな」
やっかましい!!
それではまたお会いしましょう。
3人「ここまで読んでくださってありがとうございました。」
メールアドレス:mk_kojima2@yahoo.co.jp
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