たまには休日を……超外伝 さくらの何でもない日々(漢の浪漫編その1)


Written by 小島



この作品はJANIS/ivoryより発売されているとらいあんぐるハートシリーズを元ネタとしております。
・この作品は、ネタばれを含んでいます。
・この作品における方言はかなり適当です、こんなの関西弁(鹿児島弁)じゃないという方がいてもおおめに見ていただ
けると嬉しいです。
・この作品は、「たまには休日を……外伝 真一郎&さくらのショッピングデート<さくらサイド>」の後日談です。



 日曜日の朝、肌寒さを感じて目を覚ますと、先輩が窓を開けて外を見ていた。
 可愛らしい顔がちょっと困ったように曇っています。
「おはようございます、先輩。何が見えますか?」
 私が声をかけると、ちょっと驚いたような顔をしてから笑顔を見せてくれた。
「おはよう、さくら。ごめん、起こしちゃったみたいだね」
 そう言うと先輩は窓を閉め、さらにカーテンを閉めた。
「実は天気を見ていたんだけど、雨が降っているんだ」
 その言葉で、先程の先輩の表情の意味がわかりました。
 今日は私の姪の忍を連れて綺堂家が管理している山へピクニックに行く予定をたてていたのですが、雨が降っている
なら諦めなくてはなりません。
 忍がことのほか楽しみにしていたのを先輩は知っていますから、忍にどう言えば良いのか考えていたのでしょう。
「先輩、忍には後で私が電話します。だから心配しないでください。」
 私の言葉にちょっと憂鬱そうに肯いてから、ベッドに座っている私の隣に座り、私の頭を優しくなぜてくれました。
「さくら、まだ早い時間だしもう少し眠ってていいよ」
「いいえ、もう目が覚めてしまいましたから、シャワーを浴びたら今日の朝食は私が作りますね」
 そう、ずっとしたかった。先輩の朝食を作ってあげる事。その願いが今日こそかないます。
 そして、私はベットから出ると軽く伸びをしました。これってなんか気持ちいいんですよね。最近朝起きると必ず伸びを
するようになりました。以前はそれほどでもなかったのですが、先輩が毎朝しているのを見ているうちになんとなく真似
するようになってしまいました。
 もっとも、最大の目的は伸びをしている私を熱っぽく見つめてくれる先輩の視線を浴びる事かもしれませんけど。ちな
みに私の格好は先輩のお下がりのYシャツとショーツだけです。狼の耳も尻尾も出しっぱなしなので、先輩が隠し持って
いた雑誌から得た知識によると、これは随分とマニアックな格好だそうです。
 私に熱い視線を送っていた先輩が我に返った様に私に声をかけてきます。
「さくら、朝食は俺が作るからシャワーを浴びてきちゃいなよ」
 先輩、やっぱり優しい。でも、今日ぐらいは私にさせてください。いつもは起きることができないんですから。
「先輩、今日は私が作ります。ずっとやってみたかったんです。先輩の朝食を作るの……だから先輩こそもう1度寝てて
いいですよ」
 私の言葉に先輩は嬉しそうに微笑むとベットに入っていきました。今の先輩の笑顔、可愛かった。写真に撮りたかっ
たな。


 急いでシャワーを浴びて、バスタオル1枚の姿で軽く髪を乾かす。
 それからおもむろにバスタオルを外し、一糸纏わぬ姿でキッチンまで行き、そこにあるエプロンを着ける。裸エプロン
と言うみたいです。これも先輩の秘蔵の本に載っていたものです。
 なんだか後方がスースーして気持ち悪いですね。
 なんでも、先ほどの素肌にYシャツやこの裸エプロンと言うのは漢の浪漫だという事で、男性が非常に大喜びするみ
たいです。
 だから恥ずかしいけど、先輩が喜んでくれると嬉しいから我慢しなくちゃ。

 先輩はどちらかと言うと和食が好きみたいなので、今日の朝食は白米と目玉焼き、それに綺堂の家から持って来た
秘伝のお漬物と若布と豆腐の味噌汁です。
 御飯は昨晩の残りがあるので、これをレンジで暖めればいいでしょう。それじゃあまずは、お味噌汁を作るために鍋
に水をはって火にかけます。
 湯を沸かしている間に生若布を軽く洗い、適度なサイズに切り分けます。
 豆腐は崩れやすいので鍋に入れる直前に切る様にし、今度はフライパンを温めてから油を引き、目玉焼きを作り始
める。
 目玉焼きははじめに中火でさっと焼いた後、弱火にして蓋を閉める。
 鍋の湯が沸いてきたのを見計らってお出汁をとって、お玉に掬った合わせ味噌を鍋にゆっくりと溶かし入れる間も先
輩の視線が私から外れた様子はありません。
 御飯をレンジ用の器に盛ってからあたためのスイッチを入れる。
 目玉焼きのフライパンに水を差し入れた時、背後から視線を感じました。
 先輩が私の事を見ています。何度も見られているとはいえ、やっぱり恥かしいです。
 やだ!!少し潤ってきちゃった。
 若布と掌のうえで切った豆腐を入れてから味噌汁を温めている間に目玉焼きをお皿に盛りつけ、先輩に教わったカリ
カリベーコンを焼いて添える。
 温まった御飯をレンジから取り出す。
 それから先輩を起しに行く・ベッドを見た私は先輩が素早く寝ていた振りをしたのがわかりました。
 だけど知らない振りをしてベットに近づいて先輩の頬にキスをして起してあげました。
「先輩、御飯できましたよ。起きてください。」
 私がそう言うと、先輩は起きあがり、いかにも驚いたような表情を作って騒ぎ出しました。
「さ、さくら、一体その格好はどうしたんだ?」
「これですか?この間部屋を掃除した時、押入れの奥から先輩の秘蔵の本を見つけて、その中にこういう格好をすると
 男性が喜ぶらしいと書いてあったので、先輩に喜んでもらおうと思ってしてみたんですけど、気に入りませんか?」
 ちょっと甘えるように先輩に体を預けながら聞くと、先輩は親指を立てて、誉めてくれました。
「いや、ナイスださくら!!君は美しい。」
 こう言ってくれると、恥かしいのを我慢した甲斐があります。でも、あの本やけに見つかり易い所にあったのは一体ど
うしてでしょうか?もしかしたら先輩の罠に嵌まったのかもしれませんね。



 先輩を起こした後、御飯をよそったりお味噌汁を注いだりしている間も、先輩が私を見ているのがわかります。
 胸の先が硬くなっているのがわかります。やだな、エプロンの上からもきっと見えちゃってる。
 そして、朝食の開始です。
 私は緊張して味がわかりませんでしたが、先輩は美味しい美味しいと言ってくれました。良かった。喜んでもらえて。
 食後、先輩が後かたづけを代わってくれたので忍に電話をかけると、呆れた事にまだ寝ているらしい。最近月村邸の
メイドになったノエルにピクニックの中止を伝えた後、服を着る為に、部屋に戻ると後ろから先輩がやってきてそのまま
ベッドにつれこまれてしまいました。
 結局、その日は1日ベッドの中で先輩と過ごしました。
 そんな雨の日曜日のできごとでした。



 翌日、太陽が黄色いです。
 それに、腰が痛いです。
 漢の浪漫って凄いんですね。
 次は気をつけないといけませんね。



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あとがき

こんにちは、そして始めましての方は、始めまして駆け出しのとらハSS作家小島です。
今回は、裸エプロンを題材に一本書いてみました。
題して漢の浪漫編、皆さんご満足いただけたでしょうか?
小島は別に、裸エプロンがものすごく好きというわけではないのですが、先日やった某ゲームのシーンに裸エプロンが
出てきたので、ちょっと使ってみただけです。
私個人としての嗜好は、普通にエプロンしている方がなんとなく萌えます。
さて、その1とつけた事でわかると思いますが、そのうちまた漢の浪漫編を書くつもりなので皆さんお楽しみに。

それではまた、アディオス!!

メールアドレス:mk_kojima2@yahoo.co.jp



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