たまには休日を……超外伝 さくらの何でもない日々(更衣室の会話編)


Written by 小島



この作品はJANIS/ivoryより発売されているとらいあんぐるハートシリーズを元ネタとしております。
・この作品は、ネタばれを含んでいます。
・この作品における方言はかなり適当です、こんなの関西弁(鹿児島弁)じゃないという方がいてもおおめに見ていただ
けると嬉しいです。
・この作品は、「たまには休日を……外伝 真一郎&さくらのショッピングデート<さくらサイド>」の後日談です。





 日曜日に先輩とデートしてから4日経ち、両親との約束で週の前半は実家に帰らなければならないが、週の後半の木
曜日、つまり今日からまた、先輩の部屋に泊まることができる。
 両親、特にお父様は先輩の事を随分気に入っていて、私達の半同棲生活に必要な物を色々用意してくれている。
本やTV、そして先輩とお付き合いしてから広がった交友関係から入る情報を総合して考えるとこの反応は随分珍しい
みたいだ。
 でも、反対されるよりよっぽど良いと思う。
 そんな事を考えながら通学路を歩いていると、後ろから声がかかる。
「綺堂さん、おはよう!!」
 井上さんだ。今日も元気いっぱいの笑顔を私に見せてくれる。私の数少ない大切な友人の1人だ。
「おはようございます、今日は朝練はなかったんですか?」
 彼女は護身道と言う武術のクラブに入っている。県下最強の呼び声も高いクラブなので当然練習も厳しく、朝練も当
たり前のようにある。
「今年から朝練は1日おきなのよ。言った事なかったっけ?」
 井上さんはちょっと首をかしげる。
「はい、初耳です」
「そっか、朝練があるのは月・水・金曜日だから」
「覚えておきますね」
 そうして、2人で登校する。以前の私からは考える事のできない生活、これは全て先輩が私にくれたもの。私は先輩
への想いがまた強くなるのを感じた。先輩、愛しています。



 校門を過ぎた所で、井上さんが思い出したように話しかけてくる。
「そうだ、綺堂さん、今日から体育の授業プールだったよね。水着持って来た?」
「ハイ、ちゃんと持ってきましたよ」
「良かった、忘れると大変だもんね……そう言えば綺堂さんサイズ大きくなったんだよね?」
 井上さんは、話の後半は小さく私にささやいて聞いてきたので、私も声を潜め彼女だけに聞こえるように返事をする。

「ええ、それがどうかしましたか?」
「うん、ちゃんと水着も新調した?」
 どうやら、心配してくれたみたいですね。もちろんちゃんと新しい水着を購買で購入してあるので、彼女を安心させる。
「大丈夫です。昨日新しい水着が届きましたから」
 井上さんは、ホッとした表情で肯いてくれた。



 その後は、教室までたわいのない会話を続けながら連れ立って歩く。
 教室に入り自分の席へと向かう。私の席は窓際の前から2番目、すぐ後ろには井上さんが座っている。
「おはよう!!」
「おはようございます」
「おはよう」
 私の前の席にすでに座っていた稲原さんと挨拶を交わします。
「ねえ、さくらちゃん。昨日の夜さくらちゃんの愛しい愛しい先輩見かけたよ」
 稲原さん、そんな大きな声で言わないでください。ほら皆こっちを見ているじゃないですか。もう!!そんな事を考えな
がら極力表情に出さないようにしながら返事をする。
「それで、先輩はどうしてました?」
 稲原さんはなんだかニヤニヤとしてます。
「さくらちゃん、冷静なふりしてるけど顔、真赤だよ」
 失敗しました。それよりも昨夜の先輩の動向を知りたいですね。
「顔が赤いのは認めますから、どこで先輩見たんですか?」
「うん、ななかちゃんの彼氏と商店街にある小さなレンタルビデオ屋から出て来たところだったよ」
「ちょ、ちょっと、そんな事大きな声で言わないで」
 井上さんが真赤な顔をしながら稲原さんに注意します。でも無駄ですよ、井上さん。彼女は最初からからかうのが目
的なんですから。
「もー、真琴ちゃんすぐ人をからかうんだから」
 井上さんが軽く怒ると、稲原さんが明るく謝ります。
「アハハハ、ごめんごめん。でも2人とも反応が楽しいからついからかいたくなるのよね」
「でも、珍しいですね、先輩と端島先輩の組み合わせでレンタルビデオなんて。」
「あっ!!そう言えばそうですね、大輔さんと相川先輩の組み合わせだとゲームセンターが定番で、後はファーストフー
ドとか喫茶店で話してるのが普通なんですけど。」
「他に人はいなかったんですか?」
 私よりも、御二人との交友関係が長い井上さんの意見は間違いないでしょうから、もしかしたら他にも誰かいたのか
も。
「ううん、二人だったよ。で、私の見解話して良いかな」
「小声でしたら良いですよ」
 稲原さんの目が悪戯っぽく輝いているのを見て先手を打って釘をさします。
 明らかに、不満そうな顔で小声で話しを始める稲原さん。
「うん、出てきた店が店だからね。あのレンタルビデオ屋って、近所の大きい所と差別化をはかるために、そのアダルト
ビデオの種類が豊富なんだって、これは聞いた話だけど」
 稲原さんが少し顔を赤くしながら話し始めます。いつもからかってくるけどこういう所でこういう反応するのが彼女の可
愛いところですね。
「それで、男の子達ってたまに何人かで集まってアダルトビデオの鑑賞会とかするらしいから、そうなんじゃないかなっ
て思ったのよ」
 それは問題ですね。今夜先輩に直接問いただしてみましょう。
「大輔さん、違いますよね」
 隣で明らかに落ち込んでいる井上さんを見て視線で稲原さんとコンタクトをとる。フォローしますよ。
「ああ、ごめんごめん。ちょっとからかうつもりだったのよ。あの2人に限ってそんな事しないって。だいたいあの相川先
輩がさくらちゃんの機嫌を損ねそうな事すると思う?」
 なんですか、それ。私、先輩を怯えさせるような事はした事ないですよ。
「そうです。今夜先輩に事の真相を確かめてみますけど、きっと違いますよ」
 内心の不機嫌さを隠して井上さんを慰める。稲原さんのお尻を影で軽くつねる。
 一瞬、痛そうな顔をしたのを確かめてすぐに離して、素知らぬふりして、井上さんを慰める。
 稲原さんは、ちょっと責めるような目を向けてきた後、私に同調して井上さんを慰めるのだった。



 授業時間は進み、本日の3・4限目は体育の授業。内容は朝話していた通り水泳です。
 あれから気を取り直した井上さんと稲原さんと連れ立ってプールにある更衣室へと向かいます。
 ちょうど、更衣室の前に来た時、中から3人の少女が出てきました。その中の一人、一番背の低い少女は、顔見知り
の人でした。
「こんにちは、岡本先輩」
 私と井上さんの声が綺麗にハモりました、稲原さんは直接顔を知っている訳ではないので、私達の隣で、軽く頭を下
げてます。
「あ、こんにちは、これから体育?」
「はい!!そうです」
 岡本先輩は、井上さんに向かってそう話しかけます。
「更衣室、もう開いてるよ、私達話してるうちに遅くなっちゃったから」
「あ、ありがとうございます」
 そう言うと、岡本先輩はじゃあねと言って立ち去っていきました、最後の一瞬きつい視線で私を睨みつけて……。
 岡本先輩と私の関係を端的に言うと、「恋愛における勝者と敗者」「恋敵」「敵」と言うところでしようか?
 それにしても、昨年末先輩にきちんと振られたらしいのに、まだ諦めてないみたいですね。
 5月頃、それを確認する機会がありましたが、その時よりもさらに強い思いが感じられました。
 でも、先輩は渡しません。それだけは絶対にできません。そう、絶対に……。


 私達は、更衣室に入って3人で並んだロッカーを選んで着替え始めます。
 私は、まず着替えに必要な物をバックから取り出して準備しておきます。
 学年色である黄色のラインの入った学校指定の水着、サポーター、ゴーグル、バスタオル、下着を入れる袋、う
ん!!これで良いですね。
 私が、そうやって確認しおわって、実際に着替え始めようとする頃には、更衣室には結構な人数の女生徒が入ってき
ていた。
「あれ、綺堂さん、まだ着替え始めてないの?」
「ハイ、これから着替えます」
 隣にいた井上さんが話しかけてきたので、そちらに顔を向けるとすでに制服の上下を脱ぎ、下着姿のまま制服をたた
んでロッカーにしまっている井上さんがいた。
「その下着、この間買ったやつですね」
 井上さんの下着はパステルピンクの地に白のストライプが入ったショーツと縫目の所にフリルのついたパステルピン
クのスポーツブラだ。
 いつも元気で、健康的な魅力を持つ彼女によく似合っている。
「えへへ、どうかな、似合うかな?」
「よく似合ってますよ」
「うん、よく似合ってるよ」
 私が返事をすると、井上さんの反対側の隣にいた稲原さんも声をかけてきます。
「良かった。ちょっと可愛すぎちゃって似合わないんじゃないかって、心配だったんだ」
 井上さんが嬉しそうに笑っている。なんだか私も嬉しいので想わず笑顔になる。
「ところで、実は私も着てきたんだ。こないだ買ったやつ」
 稲原さんの声につられて稲原さんのほうに顔を向けると、彼女もすでに下着姿になっていた。
 彼女が着けているのは、レモン色のシンプルなショーツとブラですが、明るく、大人っぽさと子供っぽさが同居している
表情をする事が多い彼女によく似合ってます。
「稲原さんも、よく似合ってますよ」
「うんうん、それにその下着可愛いね」
 私達の言葉に嬉しそうに微笑んでいた稲原さんが、ふと、表情を変えて私を見ます。
「私達が見せたんだからさくらちゃんも見せてくれるよね?」

「いいですよ」
 私はそう言うと、手早く制服を脱ぎます、脱いだ制服をたたむと私はちょっと後ろに下がり、二人が見易いようにする。
 今、私が着けているのはこの間先輩に選んでもらったもので、総レース作りのブラとショーツの上下セットで、色は極
薄い紫色です。
 ちなみに尻尾や耳に関してはちょっと魔力を使って隠しています。
「ふーん、やっぱり大人っぽいの着けてるよね、さくらちゃんて」
「うん、でも…似合ってるからこれで良いんだと思うよ」
 良かった。一人だけあの時買った下着じゃないの着けてたから、ちょっと不安だったけど、おおむね好評みたい。


「でも綺堂さん、本当にスタイル良くなったよね」
 下着の見せ合いが終わって、今度こそ着替えようとすると、再び井上さんが話しかけてくる。またそちらに目を向ける
と、私が元の位置に戻ってブラのホックを外している間に、井上さんは下着の上下を脱いで、一糸纏わぬ姿になってい
た。
「そ、そうですか?」
 自分でも、確かに以前よりはスタイルが良くなったと思うけど、まだまだスタイルが良いと言われる程ではないと思うん
ですけど。
「それよりも、井上さん、少しは隠したほうが良いと思いますけど」
 大きすぎず、小さすぎずちょうどいい大きさくらいの双丘も、綺麗に整えられている下肢の翳りも丸見えですよ。
「アハハ、運動系のクラブに入ってるとさ、部活の後皆でシャワー浴びたりするから、女の子だけの所だと、あんまり羞
恥心湧かないんだよね」
 そう言って、井上さんが笑います。そうですね、毎日の様にある事ですから、いつまでも恥かしがっているとかえって変
かもしれませんね。
「それに別段クラブをしてなくたって、女の子同士だから見られたって、困るわけじゃないでしょ?」
 後ろの方から、稲原さんがそう声をかけてきます。
 私が後ろを向くと……稲原さんも一糸纏わぬ姿で、立っていました。
「私なんか、胸も小さいし、幼児体形だし、それにあそこはすっごい密林だけどこうやって見せているでしょ?」
 稲原さんはそう言っているけど、幼児体形というのは間違いだと思います。
 確かに稲原さんは小柄ですが、スラッとした手足はバランス良く伸びており、腰もきちんと括れを持っています。
 まあ、彼女の言うように胸の双丘は小ぶりですが、形は綺麗で、その先はつんっと上を向いています。
 そして、下肢の翳りは確かに彼女の言う通り、小柄な姿からすると意外な程濃く、範囲も広いみたいですね、以前言
っていましたが、綺麗に形を整えるために安全カミソリを使って、鏡を見ながら剃るそうですが、その姿が客観的に見る
と、非常にエッチに見えるか、非常に間抜けに見えるのがいやだそうです。
「まあ、そうですね」
 ちょっとはしたないかなと、思わないでもないですけど、二人の言う通り女の子同士なら実害はありませんしね。
「うん、わかればよろしい……と言う事で御開帳!!」
 ちょっと、偉そうな芝居をしながら話していた、稲原さんが声をちょっと切った後ニヤリと笑って、ホックを外したままか
ろうじて胸を隠していたブラを素早く脱がし、それに呼応するように井上さんが背後から私のショーツを引き摺り下して
きました。
「まったく、二人掛かりで脱がせてくれなくても、ちゃんと脱ぎましたよ」
 私はちょっときつい視線で二人を睨みながら言いましたが、2人にはまったく通用しません、まあ、本気で怒っている
わけではありませんから、いいですけど。
 私は1つ溜息を吐くと先ほどと同じように二人が見易いように少し後ろに下がります。
「さくらちゃん、ほんと綺麗だね」
「うん、でもブラのサイズが追い越されるとは思ってなかったから追い越された時はちょっとショックだったな」
 稲原さんが、なぜかニコニコ笑いながら誉めてくれた後、井上さんが私の胸を見ながら羨ましそうにそう言った。
「そうですね、私にも遅れ馳せながら成長期が来たみたいなんですよ」
 井上さんも、稲原さんも私の本当の事を知っているから別段、血を吸ったらちゃんと成長するようになった、と言っても
大丈夫でしょうが、今は周りに人が大勢いるから、そう言ってごまかしました。
「あーあ、裏切者め、1人でどんどん大きくなって…」
 そう言うと、稲原さんはなんだかおかしなポーズを取りながら、声を上げ始める。
「私のこの手が光って唸る、さくらの胸揉めと輝き叫ぶ、必殺!!シャイニング胸揉み!!」
 そう言うと、稲原さんはいきなり両手で私の胸を揉み始める。
「キャッ!!ちょっと稲原さん!!」
 稲原さんに抗議するが、まったくやめる様子はない。
「うーん、この両手に余る大きさ。柔らかくそれでいて張りを失っていない上に手に吸いつくような肌、紛れもなく一級品
の胸だね、これは」
「もうっ!!いつまでも馬鹿やってないの!!」
 私はそう言うと、手の甲を朝やったよりも強く抓ってあげました。
「いたーい!!さくらちゃん、ごめん!!悪ふざけが過ぎました!!お願い許して!!」
 稲原さんが、謝ってくれたので手を離す。それから三人で顔を見合わせ、けらけらと声を立てて笑い合う。


 そうして、ちょっとの間3人とも一糸纏わぬ姿のままで笑い合っていましたが、時間がかなり危なくなってきたので、着
替える事にしました。それにしても更衣室とはいえ裸のままで会話しているのはちょっとはしたなかったかもしれません
が、楽しかったから、これはこれでありかな?と考えてしまいました。
 その後、無事に体育の授業も終わり、御昼を先輩達と食べたり、休み時間に今度三人で遊びに行く計画をたてたりし
て1日を過ごしました。



 夜、今夜は私が先輩のために夕食を作りました。実は最近実家にいる日にお母様やメイドさん達に料理を習っている
んです。
 今夜のメニューは、お母様直伝の手作りハンバーグ、付合せに人参のグラッセとマッシュポテト、茹でインゲン。
 それと、玉葱とベーコンのコンソメスープと炊き立ての白い御飯。うん、上手くできました。

 そして、今夜も先輩の腕の中で眠りにつきます。先輩おやすみなさい。



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あとがき

皆さんこんにちは、この作品を書いた小島です、また会えて光栄です。
さて、「たまには休日を……超外伝 さくらのなんでもない日々(更衣室編)」はいかがだったでしょうか?
楽しんでもらえたなら幸いです。
今回超外伝と銘打って出したのは、このシリーズ外伝のさらに外伝だからなんですよね(苦笑)。
ここまで来ると「たまには……」の本編とぜんぜん関係ない状態なので、どうタイトルつけようか悩みましたが、結局こう
いう風に落ち着きました。
単なる外伝の方が記念HIT物にしようと決めてしまったので、反対に超外伝の方はネタができしだい書いていこうと思っ
てます。

さて、今回も私の駄文をHPに掲載し続けてくださった管理人様に深い感謝の念を捧げつつ終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。

それでは、またお会いしましょう、アディオス。

メールアドレス:mk_kojima2@yahoo.co.jp




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