プロローグ 赤毛の冒険者故郷に帰る(改訂版)


Written by 小島


この作品はFalcomより発売されているイースシリーズ(1・2・3)を元ネタとしております。
・この作品は、ネタばれを含んでいます。
・この作品には、いくつかのオリジナル設定を導入しています、イースというゲームの世界観を壊すから、オリジナルは
駄目と言う方はご遠慮ください。


「アドル、そういえば、俺の故郷におまえを連れていったけどよ、おまえの故郷の事はぜんぜん聞いた事がないぞ」
 その言葉が、俺を生まれ故郷の村へ向かう事を決めさせた一言だった。

 そうそう、まずは自己紹介をしよう。
 俺の名前はアドル・クリスティン、職業は冒険者だ。
 まあ、冒険者と言っても、大抵は、旅の目的地や方向が一緒の商隊の護衛や荷運びをやっている事が多いけどね。
 トレードマークは父親譲りのルビーのように真紅の髪と、クレリアという魔法の金属で作られた剣、盾、鎧を身につけ
ていること。
 そして、俺の目の前で大声をあげながら飲んだくれているのが、ドギだ。
 藍色の髪と黒い瞳をした筋骨隆々の偉丈夫で、職業はやっぱり冒険者、つまり俺の先輩にあたるというわけだ。
 彼には俺の初めての冒険であるエステリアでの冒険の始めに船が難破して海岸に打ち上げられている所を助けても
らってから、ピンチの時に助けてくれたり、重要な情報を教えてくれたりと、御世話になりっぱなしだ。
 エステリアとそれに続く天空の島イースでの冒険、さらにセルセタの少女が助けを求めて送り出した、瓶詰めの手紙
を拾った事をきっかけとしたセルセタの樹海での冒険が終わった後、成り行きで一緒に旅をする事となった彼に誘われ
て、彼の故郷であるフェルガナ地方のレドモントの町へ行く事になった。
 そのレドモントの街においても新たな事件が起こる。見事事件を解決した俺達は、船に乗ってフェルガナ地方を後に
した。
 そして、アフロカ大陸の砂漠地帯で、幻の都ケヴィンをめぐる冒険を繰り広げ、見事に成功させた後、俺は1人で旅立
つ事となった。この冒険の間にエフィという恋人を見つけたドギと別れる事になったからだ。
 その後5年ほどの間に、「海に沈みしグランシール」「水晶の神殿クレア・フレイ」「ディリタスの竜穴」等大小様々な冒
険を繰り広げてきた。

 一方ドギはと言うと、エフィの故郷の町の復興のを手伝うために2年ほどアフロカ大陸に留まっていたそうだが、冒険
を求める心抑え難く、終にエフィを連れて冒険に出る事になったらしい。
 そのエフィは、故郷の町の様子を見にアフロカ大陸に戻っているそうだ。
 という訳で、御互い旅から旅の暮らしをしていたみたいだけど、たまたま街道が交わるこの街の入り口でばったりと再
会することになったというわけさ。
 で、再会を祝してこうして酒場で酒盛りを始めて、ある程度酒に酔ってきた頃急に言い出したのが冒頭の台詞という
訳だ。
 まあ、気が付けば俺ももうすぐ20台半ばになる。故郷を出てからおよそ十年が経とうとしている。それに幸いな事に
故郷の村はそれ程遠くないしな。ちょうどいい、以前彼の故郷へ案内してもらった御礼に俺の故郷の村へ案内してみよ
うかな。


「あー、よく寝た、よく寝た」
「おはよう、ドギ。と言ってももうお昼の時間だけどね。」
 さて、翌日の昼過ぎ。呑み過ぎでその頃になってようやく起きてきたドギに話を持ちかけてみる。
「ところでドギ、昨日俺の故郷のこと言ってたの覚えてるかい?」
「ああ、そんな話したような気がするな」
 ほとんど覚えていないのだろうか?首を捻りつつ答えるドギ。
「ああ、あったんだよ、そういう話が。で、まあ実はこの街から俺の故郷ってのが近いんだ。だからちょっと骨休めがてら
行ってみないか?」
「お、いいねぇ、それでどれくらい時間がかかるんだ?」
「この街から南に向かう街道に沿って12日程歩いて、その後は間道を東に向かって、3日程歩けばいいはずだよ」
 つまり、大体2週間というところだ。
「ちなみに、小さな村だからあまり期待しないでくれよ」
「いいって、いいって、そんな事は関係ないからな。で、その村の名前はなんていうんだ?」
「フレアロスっていうんだ」


 そして、俺たちは準備をしてからフレアロスの村へと出発した。村で待っている新たな冒険の事も知らずに……。

TO BE CONTINUED



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イース登場人物・用語解説 第1回(カッコ内は原作ゲームでの登場作品)

アドル・クリスティン(ALL)
本編及び、原作ゲームの主人公。
冒険を求めて旅に出た、の少年、この小説の中ではすでに立派な青年となっている。
エステリアでの冒険(イースT)を皮切りに、天空に浮かぶ島イース(イースU)、セルセタの樹海(イースW)、フェルガ
ナ地方の魔王復活事件(イースV)、アフロカ大陸砂漠地帯の幻の都ケフィン(イースX)と、冒険を繰り広げる冒険
者。
エステリアの冒険の際に、トレードマークの真紅の髪から「赤毛の勇者」と呼ばれるようになった。
明るく快活、さらに正義感が強いという、熱血型の性格だが、見た目が非常にカッコイイ為、「暑苦しい」と言われること
はない。
ちなみに、よくあるように恋愛関係に関してはニブチンである。
・装備品データ
クレリア・ソード・シールド・アーマー:強力な魔力を秘めた金属クレリアで作られた剣・盾・鎧。
さらに、イースの双子の女神と6神官の加護が込められており、強力な浄化の力を持っている。
ちなみに、クレリアという金属は魔物の発生原因ともなるので、現在は双子の女神が全て持ち去ってしまっている、つま
り、この三品が地上に残された最後のクレリア製品である。

ドギ(ALL)
本編及び、原作ゲームにおける主人公の相棒である、先輩冒険者。
筋骨隆々の偉丈夫で、豪快な性格をしているが、以外と面倒見の良い所もあって、アドルの冒険を色々とサポートして
くれる。
アドルの影で、目立たないが、剣技も素手での格闘戦でも強い1流の冒険者であるが、酒好き・女好きの面のほうが目
立ってしまっている。
本編では、イースXのゲーム中に知り合った、エフィと結婚して彼女と冒険生活を送っていたが、用事があって帰省す
ることとなった彼女と入れ違いに再会したアドルとアドルの故郷へ旅立つ事となる、作者のお気に入りキャラです。

フィーナ(T・U)
記念すべき第1作であるイースTのヒロインの1人。
本編での登場は未定。
蒼銀色の腰を超えるほど長いストレートの髪、青い瞳、細身で中背だが出るところは出て、引っ込むところは引っ込ん
でいる理想的体形をしている。
エステリアのバキュ・バテッドという岸壁の上に立つ神殿の秘密の地下迷宮の奥に捕らえられていた記憶喪失の美少
女で、作者がイースヒロインズのなかで1番好きなキャラ。。
御淑やかで、どこか気品のある、心優しい少女で、自分を助けてくれたアドルに想いを寄せるようになる。
冒険を続けていくうちに記憶を取り戻す事となるが、それが二人の別れの始まりとなる。
彼女の正体は、イースを建国した双子の女神の片割れだったのだ。
記憶を取り戻した後、アドルの冒険を側面から援助してくれ、イースTのエンディングにおいてアドルを天空の島イース
へと導く。
イースUにおいても物語り終盤になって登場し、アドルに魔王ダームを倒すように依頼する。
イースUのエンディングで、地上世界を人間の手に委ね全てのクレリアを持って天界へ帰還する、アドルへの思いを残
したまま。

レア(T・U)
フィーナと同じくイースTのヒロインの1人。
やっぱり本編での登場は未定。
ミネアの村にいる吟遊詩人で、銀のハーモニカを何者かに盗まれ困っている所で、アドルと出会う。
明るく、快活、行動的な美少女。
その正体は、イースの双子の女神の1人。
その為、二人の姿は驚くほど似ている。
記憶を封じられていたフィーナと違って、自ら力を封じて人間に混じって生活をしていた。
どんな些細な事にも、全力であたるアドルを見て心引かれるようになる。
イースのエンディング間近からイースUのエンディングまでは基本的に登場場面はフィーナと一緒。
その後もフィーナと一緒に天界に帰った。

リリア(イースU・W)
イースUのヒロイン、原作が始めて発売された当時としては最高に近い技術を導入して描かれた彼女の姿に一目惚れ
した男が多数いるほど人気のあるキャラクターだった。
今の所登場予定はなし。
天空に浮かぶ島イースにあるランスの村に母親のバノアと二人で住んでいる美少女。
赤に近い茶色の髪を背中の中ほどにまで伸ばしている、大きな瞳は澄んだ水色、小柄で細身のため、スタイルでは双
子の女神に負ける。
地上から、イースの地へと導かれてきたアドルを最初に見つけたのは彼女だった。
そして、異国から訪れた端正で凛々しい顔をした少年に一目惚れしてしまったのだ。
このリリア、普段の生活にはぜんぜん現れてないが、実際は重度の持病を抱えており、いつ死んでもおかしくなかった
のだが、アドルの活躍により無事に全快する。
その後も、ヒロインの名に恥じず、浚われたり、石化したりとピンチの連続であった。
イースUのエンディングで双子の女神が天界へと帰還したため、恋のレースでは1歩抜きに出ている状態である。
イースWに登場した時は、看護婦さんになっていたが、アドル恋しさにセルセタの地に出向いてきて、また浚われる事と
なる。
明るく、優しく、一途な少女。

エレナ(V)
ドギの幼馴染で、フェルガナ地方のレドモントの街に住んでいる美少女。
イースVのヒロイン。
今の所登場予定はないが、もしこのシリーズ完結後、人気があるようなら、他の話しのメインヒロインとして登場するか
も。
首筋あたりでばっさりと切られた金色の髪、青い瞳、小柄だが非常にグラマラスな体形をしている、ちなみに教会で育
てられたためシスターの格好をしている。。
魔物騒動と、兄、チェスターの謎の行動に胸を痛めている少女。
そして、新たに親身になって手伝ってくれる紅毛の少年への淡い想い加わる事となる。
イースVエンディング間近に、その兄を失う事となるが、兄の遺志を継いで、故郷の街の復興を誓う。
お淑やかな少女だが、行動的で、魔物が徘徊するダンジョンの中に平気で登場するという快挙を成し遂げている。
エンディングで旅立つアドルを見送るシーンが感動的でした。

イースシリーズ内における時間の流れ
シリーズ番号であらわすと、T>U>W>V>Xとなっている。

エステリア(T・U・W)
イースTの冒険の舞台で、ドゥアール海にある群島で、小トゥテップ島と大トゥテップ島の2島で構成されている。
名産は、銀とそれに関わる工芸品、特に銀製の武具に人気があった、理由は銀には不思議な力があり、魔を払うと言
われていたからだ。
島内には、漁港の村「バルバト」、城壁の村「ミネア」、鉱山の村「ゼピック」がある、他の村はイースTの冒険の際には
すでに滅びていたようだ。
また、この島には幾つもの不思議な地があり、大地の穴と呼ばれる円環状の岩山「バキュ・バテッド」秘密の地下迷宮
を持つと言われる「サルモンの神殿」、海の向こうにあるプロマロックの港からでも見ることができるという、天を突く巨
大な黒い塔「ダームの塔」、島内に2本ある巨大な古代樹は「ロダの木」と呼ばれている。
アドルがエステリアに訪れた時、エステリアは廃鉱となった銀の採掘場から突如として現れた魔物の脅威に脅えてい
た、そして、魔物の出現と時を同じくして、エステリアと行き来する全ての船に巨大な嵐が襲い掛かり沈めてしまうように
なった。
この嵐は「嵐の結界」と呼ばれ、大陸との連絡が途絶えさせる原因となっていた。
アドルも、この嵐の結界によって乗っていた船を沈められた事がある。

イース(ALL)
イースUの冒険の舞台。
そして、同時にシリーズのタイトルともなっているイースというのは、古代エステリアの地にあったとされる幻の王国の
事。
この王国は、双子の女神によって創られ、六神官と呼ばれる特別な力を持った人間に統治されていた。
女神達は、人間に魔法の力など色々な贈り物を与えてくれた為、イースの国は大いに栄えた。
しかし、人間達はしだいに、女神達から受けた恩恵を忘れて、信仰心を失い、欲望のままに争うようになる。
そして、突如として出現した魔物達の軍勢に追いたてられ、サルモンの神殿に追い詰められる事になる。
このままでは、滅びを待つばかりとなったとき、魔物が日の光を嫌うのを知った六神官たちはサルモンの神殿をその大
地ごと空へと逃れさせるのだった。
だが、魔物達は空へ逃れた人間達を追い、巨大な塔を築き始める。
このままでは、追いつかれてしまう事になると、人々が絶望した時、双子の女神がその力を持って、魔物達を地の底に
封じ込め、自ら封印を保つための重石となったのだった。
こうして、イースの国は天空の島となり、アドルが地上からやって来るまで、独自の文化を育む事となる。
ちなみに、アドルがイースを訪れた時には、リリアの住む辺境の村ランスを始め、橋の村バーンドブレス、神官の末裔
の村ラミアの三つしか残っていなかった。

六神官(T・U)
古代イース王国において、人間達の指導者となるように選び出され、特別に永遠に近い生命を授かった6人の人間の
事。
人間達が女神達の為に「サルモンの神殿」を建てた時、女神達がお返しに人間達に贈った黒真珠の力を受けて、強い
力を授かる事となる。
「力」を統べるトバ、「時」を統べるメサ、「光」を統べるダビー、「大地」を統べるハダル、「知恵」を統べるジェンマ、「心」
を統べるファクトの6人。

サルモン(T・U)
人間達の中で、初めて創造するという事を行った人間。
故に「創造者」サルモンと呼ばれる。
サルモンは、女神達を称える為の神殿の設計と建築の総責任者として、彼の名をとった「サルモンの神殿」を建てると
いう偉業を成し遂げた。
また、6神官と同じく、黒真珠から特別な力を授かる事となる。

クレリア(U以降)
イースの地において産出していた、銀にサルモンが力を加えて生成した特別な力を持った金属。
軽く硬いので、特に武器や防具として加工される事が多く、クレリア所為の武器や防具は海の向こうからも注文が届く
ほどであった。
このクレリア製品の貿易によって、古代イース王国は栄える事となる。
しかし、大量に生み出されたクレリアの魔力は、周囲の環境に悪影響を及ぼし、魔物を生み出す事になってしまった。
この事に思い至った、六神官はほとんどのクレリア(自らが武具として使用中の物とかは除く)を地中深く埋めてしまっ
た。
ちなみに、エステリアで産出していた銀は、この地中に埋められたクレリアが、長い年月を経て劣化し、魔力が減衰した
もの。

イースの書(T・U)
イースTにおいて、集める事となるキーアイテム。
イースの六神官の直筆の書物で、それぞれ書いた神官の名前がつけられている。
イースUにおいても、魔法を覚える為に六神官の像にこのイースの書を捧げる事となる。

ダルク・ファクト(T)
イースTのラスボス。
「心」を統べる神官ファクトの直系の末裔だが、欲望のままに、奪い、争う人間に絶望し、人類の抹殺の為に封じられて
いた魔物を解き放ってしまう。
元は、人間の心の病を治す呪術医だった。
青白い肌に、ブロンドの長髪、額から山羊のような捻じ曲がった角を2本生やした、美形の悪役。

ダーム(U)
イースUのラスボス。
古代イース王国時代に現れた、強大な力を持つ魔物で、双子の女神に封じられていたが、ダルク・ファクトの手によっ
て解放されてしまった。
「魔帝」ダームと呼ばれ、六人の魔王を従えていた。
魔物達の真の王であり、黒真珠の魔力を背景に人間達を駆逐し、魔物の帝国を築こうとしていた。


第2回へ続く

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なかがき

こんにちは、小島です。
始めましての方は始めまして、そうじゃない人はまた御会いできて光栄です。
さて、いきなし始める事になりましたイースSS、なぜかと言えば、作者の小島がイースのOVAを見たら懐かしさのあま
り書いてみたくなったから、と言う単純なものです。
色々、オリジナル設定が入ってるけど、怒らないでくださいね。
何せ、私がやった事があるのはイースTとU、そして、Vにあたるワンダーラーズフロムイースの3作品だけで、スーパ
ーファミコンで出たイースWとXはやった事がありません。
まあ、その他もうろ覚えですから。

という事で、今回の話は、設定に関してはいいかげんです。
それで、オリジナルの要素としては、アドルが経験したことのある冒険がいくつか増えていて(本文中書いてあった海に
沈みしグランシールもその1つです)、その時手にいれたアイテムをいくつか持っているという事です。
まあ、あんまりご都合主義なものは持たせませんけど。

今回も管理人様には色々と御手数をおかけして申し訳ありません。
そして、本当にありがとうございます。

それではまたお会いしましょう、アディオス!!

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改訂版なかがき

こんにちは、小島です。
この度、この作品を呼んだ友人からのチェックが入り、間違えている所があるからと、資料を渡されました。
という訳で、改訂版の製作ということになりました。
それと、改訂版の製作に会わせて、イースを知らない人のために人物紹介と用語集を作って、今回その第1回分を載
せておきました、参考にしてくださいね。

それではまたお会いいたしましょう、アディオス。

メールアドレス:mk_kojima2@yahoo.co.jp



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