たまには休日を……外伝 真一郎&さくらのショッピングデート<さくらサイド>


Written by 小島


この作品はJANIS/ivoryより発売されているとらいあんぐるハートシリーズを元ネタとしております。
この作品は、ネタばれを含んでいます。
この作品における方言はかなり適当です、こんなの関西弁(鹿児島弁)じゃないという方がいてもおおめに見ていただ
けると嬉しいです。




 ちゅんちゅん……。
 PiPiPiPiPiPiPi……カチッ!
「ふぁーーーあ」
 うん、五月蝿いのが止まった。おやすみなさい……。
  先輩……大好きです……。
  一瞬頬に柔らかく暖かい感触がしましたけど、まだ眠いです……もう少し寝させてください………。




 うん、なんだか美味しそうないいにおい…………ああ、また先輩に朝御飯作らせちゃった……いつも明日こそは早く
起きて先輩に朝御飯作ってあげようと思ってるのに……どうして朝になるとそれを忘れちゃうんだろう。先輩も私を起し
てくれれば良いのに……。
 いつも思うけど先輩は優しい。必要な時は厳しくなるけど、そうじゃない限り私のことを甘やかしてくれる……私も先輩
に甘やかしてくれるのが嬉しいからついつい我侭を言ってしまう。本当は我侭を言って先輩を困らせたくないのに……
 時々姪にからかわれるがどうやら私はSの気が少しあるらしい。だからなのか、先輩が困ったような嬉しいような表情
が大好きでついつい困らせてしまう。でも困らせた後その事を反省するといった悪循環を繰り返している、困ったもので
す。
 そんな事を考えているとフライパンで何かを焼く音が聞こえてくる。どうやらそろそろ本当に起きないと……。
 私はベッドから上半身を起す。身体にかかっていたタオルケットが落ちる、その下から私の裸の胸があらわれる……
 どうやら昨日の夜先輩との行為の後そのまま寝てしまったらしい。いつもなら先輩が眠った後下着くらいはつけるの
に……昨日は激しかったから……(真赤)。
 日の光を浴びて白く浮かび上がる自分の身体を見る。相変らず成長不良の華奢で小さい身体、でも先輩に女にされ
た日から考えると少し成長してきたようだ。
 身長は1cm伸びたぐらいだけど、女性としてのラインを作り出す部分が随分と女らしくなってきた。以前より細く長くな
った脚、段々張り出すようになってきたヒップ、細く縊れてきたウェスト、そしてもっとも顕著にそれが表れているのが最
近急激にサイズアップしているバスト。
 特にバストは、まだ女の子だった頃Aカップだったものが今ではBカップがきつくなってきている。これは私が今まで絶
っていた夜の一族が生きるのに必要な人の血液を定期的に先輩から分けてもらうようになった事が一番の要因だけ
ど、胸に関しては先輩が夜の生活において頻繁に触れていたことも関係あるような気がする。
 そんな事を考えながら昨晩つけていた下着を着けようとして手に取る……私は下着をあきらめ寝巻き代わりにしてい
る先輩のシャツを素肌の上にそのまま身に着けた。
 どうして下着をあきらめたかなんて野暮な事なんて言いませんからね!!


 とりあえずシャツを着けた後再びベッドへ戻り上半身を起した後タオルケットをお腹まで掛ける。その…下着を着けて
ない所為で妙にスースーするので(真赤)。
 でも、私がベッドに戻ってすぐ先輩が私を起しに来た。
「おはよう、さくら」
「おはようございます、先輩」
「朝御飯できたよ、さあ、起きて」
「いや」
 このまま起きるのはなんとなく寂しいので、この前鷹城先輩に見せてもらった少女漫画のシーンを思い出しそれを実
行する。
 まず、私はベッドに倒れこんで目を閉じた…でも先輩がわからないみたいだから目を開けて、私はアイコンタクトで先
輩にどうして欲しいか伝えた後もう1度目を閉じる。
 私の唇に柔らかい感触。嬉しい、わかってくれたんだ!!


 今日の朝食もとても美味しかった。先輩の作ってくれる料理は私にとって1番の御馳走だ。でもきっとその逆もそうな
のかなと思うから、今夜は私が先輩に何か作ってあげようと考えた。うん、それがいい!!
 そんな事を考えていると先輩が声をかけてくる。
「さくら、シャワーを浴びておいでよ」
 本当は先輩のお手伝いをしようかと思ったけど、これからデート兼ショッピングに出かける事を思い出し素直にシャワ
ーを浴びる事にした。
 まずは私用の箪笥から下着を選び出す。今日は綺麗に晴れているし、このブルーのにしましょう。それからタオルと
バスタオルを共用のタオル置き場から取り出す。
 それから昨晩着けていた下着をネットに入れてから脱衣所に行く。まずは昨日の下着をバケツに張ったぬるま湯につ
けておく。
それから籠にブルーの下着とバスタオルを入れると、シャツを脱ぐと浴室に入る。
丁寧に身体を洗い、次に髪を洗い始める。実は最近髪を伸ばそうかと考えている、理由は先輩に髪をなでられるその
感覚が好きだから、自分でも単純だと思うけどね。
 一通り洗い終わったらよくシャワーを浴びて身体を温めてから浴室を出てバスタオルで全身についた水滴を拭取って
から用意して置いた下着を着けて脱衣所から出る。

 私がシャワーから上がってくると先輩はもう後かたずけを済ませて着替えを始めていた。私は鏡台の前に座り先輩が
着替えるのを鏡越しに見る。インディゴブルーのシャツと黒いスラックス。うん、よく似合ってる。あっ、あのベルト私が選
んであげたやつだ、嬉しい使ってくれてるんだ。
 先輩が着替え終わるのを待ってから声をかける。
「先輩、髪乾かすの手伝ってください」
「いいよ」
 先輩が丁寧にタオルで髪を拭く。充分に水分をとってから(人狼の耳の中も)、軽くドライヤーをあててもらい、最後に
髪を梳かしてもらう。先輩の手が優しく私の髪を整えてくれる、この髪を梳かしてもらうという行為は最近の私のお気に
入りです。
「ありがとうございます、すぐ着替えますから少し待ってくださいね」
 そう言うと私は今日の服装をどうしようか考えながら箪笥の前に行く。この箪笥はお父様が私が先輩の部屋で暮らし
ても不自由しないように特注で取り寄せてくれた古代の夜の一族のが作ったもので、見た目より収納スペースが多い。
 どうやら空間を軽く歪曲させて収納スペースを増やしているようだと教えてくれたのは姪の忍だ。
 先輩の今日の服装が落ち着いた色使いだったから、たまには明るい色使いのものを着てみようかな。
 そう考えた私は白いロングスカートに、レモン色のブラウスを選んだ。
 私の着替えが終わったら、すぐに出かける事になりました。


 駅前のALCOの目的の売り場の近くについてから私はようやく何を買うつもりなのか先輩に教える。

「先輩、今日は下着を買いに来たんです。最近大きくなったんで1つ上のサイズの物をいくつか揃えようかと思うんで
す、実際今着けているのもきつくて苦しいくらいなんですよ。」
 そう言うと、先輩が話しかけてこないうちに商品のほうへ向かう。
 先輩はランジェリー売り場と他の服の売り場の境目で真赤な顔をしてうろうろしている。
 フフフフ、困ってる、困ってる。可愛い。
 やがて意を決したようにこちらにこちらに声をかけてくる。。
「さ、さくら」
「なんですか、先輩?」
 私は真剣な表情で下着を選んでい振りをしながら先輩に返事をする。
 先輩は顔を真赤にしながら私の隣まで来ると、早口で要件を口にした。
「さ、さくら、俺はちょっと欲しい本があるから本屋に行くよ、そこで待ってるから」
「だめです」
「えっ!」
 ちょっと意地悪かもしれないけど、先輩に責任を取ってもらわないとね。
「だめです、先輩」
「な、何で?」
 泣きそうな顔で私に聞き返してくる先輩があんまりにも可愛かったから思わず頬にキスしてしまいました。
「だって、先輩が大きくしたんですよ、責任とってちゃんと選んでくださいね」
 先程から、先輩の事をちらちら見ていた視線が、一気に増える。
「……あんなに可愛い子でもする事はしてるのねぇ」
「…クスクス、可愛い真っ赤になっちゃって、彼女の尻に敷かれてるのね」
 そういった言葉がそこかしこから聞こえてくる。ちょっと恥かしかったけど我慢して先輩を逃がさないように手を繋い
で、言葉を続ける。
「それに、先輩に見せる物ですから先輩の好みに合った物にしたいんです」
 私がそう言ったら、先輩が抱き付いて唇を重ねてきた、突然のキス、しかも衆人環視の中で、嬉しさと恥かしさから私
の頬が赤くなるのが実感できました。
 回りからは黄色い悲鳴が聞こえてくる。まったく先輩大胆なんですね。今井上さんがいたのも見えましたから、明日学
校で注目の的ですよ、お互い。



 結局、ALCOのランジェリーショップで青、白、黒、ベージュ等色とりどりの下着を10数組購入した後外に出る。クス、
今夜が楽しみです。
「さくら、まだお昼までには時間があるけどどうする?」
 どうやらようやく助かったと思ったのか、先輩が明るく声をかけてくる。
「何言ってるんですか?日用品ですよもう少し買わないといざという時困ります、……特に例の時期とか」
 その言葉に、またあんな目にあうのかとか、なんで一回で済ませないのかと言う非難の視線を感じたのできちんと説
明する。
「ああいう所のは高いんですよ、だから例の時期とかに使い潰しちゃうような下着は安いので充分なんですよ」
 自分で言うのもなんだけど私の実家は伝統とお金を持つハイソサエティの筆頭に立つ一族である。
 つまり私はいわばお嬢様とか言われる人種である。
 だけど最近こういう経済観念も身についてきたみたいですね……いい事なんでしょうけど先輩から初々しさがなくなっ
たとか思われないか心配です。
 そういう訳で、私達は商店街にある、衣料品などを安売りしているスーパーに入る。私も自分が先輩の感想をまとも
に聞けない安物の下着までも先輩に選んでもらう気はないので、先輩には自分の欲しい物を見てくるか外で待っていて
もらう事にした。

 先輩と分れた後、下着売り場に行くと、そこには先程見かけた井上さんと学年が上がってから一緒のクラスになった
稲原真琴さんの姿があった。
「こんにちは」
 私が挨拶をすると先程キスシーンを見た後猛スピードで姿を消した井上さんが驚いたように声を返す。
「き、き、綺堂さんこんにちは」
「さくらちゃんこんにちは」
 そうそう丁度よかった、あの事を学校で話さないように頼まないと、私はともかく先輩に迷惑がかかってしまいます。
「あの、井上さん?」
「な、何?綺堂さん」
 どうやら井上さんはさっき見たシーンがショックだったみたいだ。自分だって端島さんという恋人がいるんだからあそこ
までびっくりしなくても良いのに。
「ALCOで見た事は内緒ですよ、先輩に迷惑がかかってしまいます」
「あっ、そうだね、うん内緒にしとくね」
 話が見えてこない稲原さんは、ちょっと不思議そうな顔をしながら黙って様子を見ていてくれる。彼女の飾らないまっ
すぐな優しさは少し先輩と似ていて、その所為か井上さんと同様に学校でよく話す大切な友人に短期間でなれた。
「まあ、何があったか知らないけどさ、さくらちゃんも下着を買いに来たの?」
「はい、どうやらようやく胸が大きくなり始めたみたいでワンサイズ上のものが必要になったので、買いに来たんです
よ。」
 それを聞いた稲原さんは嬉しそうに微笑んだ。
「体育の着替えの時とかさ、さくらちゃんいつも高そうなの着けてるからさ、こういう所じゃあ買わないかと思ってたけど、
そんな事ないんだ」
「それは私もそう思ってた、綺堂さんの着けてるのっていつも凄く高そうなのばっかりだったから」
「高いのが多いのは確かですけど、そういったものの他にこういう安いのだって必要でしょ?」
 私の言葉に肯く2人。
「丁度今ななかちゃんと一緒に買い物しようかって話していたところなんだ。さくらちゃんも一緒にどう?」
「ごめんなさい、この下着売り場だけなら良いんですけど、人を待たせていますから他はちょっと」
 私がすまなそうに言うと、稲原さんはちょっと残念そうだったけど、ここだけでもいいからと言う事になって3人でお互い
に下着を選びあいました。

「それじゃあ、先輩が待ってるので、失礼しますね」
「うん、綺堂さんまたね」
「さくらちゃんまた明日学校でね」
「はい、それじゃあまた明日」

 そう言ってこれからお昼を食べに行くという2人と別れて先輩が待っているだろう場所に行く。
「先輩、お待たせしました」
 予想通りの場所に先輩はいた。
「いやそうでもないよ」
 そう言ってくれるけど、決して短い時間ではなかったのは確かです。こんなにも優しい先輩、私は先輩を好きになって
本当に良かったと心の底から思いました。
「さくら、何か食べたいものある?」
 時間はもう、お昼を食べても言い時間です。でも私は前から考えていた今日の計画を実効する為にお昼と夜は自分
で作って先輩に食べてもらう気でした。
「ハイ、先輩今日のお昼と夜は私が作りますから、買い物して帰りましょ」
 こう言ってから先輩の手を取る。
「おいおい、まだデートらしいデートをしてないだろ」
「いいんですよ、そんな事、それに……」
 さすがに聞かれると恥かしい台詞を言うつもりなので周囲の人影を探る。うん大丈夫、いないみたい。
「さっき買った下着を付けたところ見たくありませんか?」



 こうして、私達は家に帰った。私の作った料理はまだまだ先輩や野々村先輩には敵いませんがそれでも先輩は喜ん
でくれました、嬉しい。
 私のランジェリーファッションショーも嬉しそうに見てくれた。
 そして夜、私が作った一族の秘伝の精力料理の所為か、激しいと思ってた昨日の夜を遥に越える激しさで先輩は私
を求めてきました(赤面)。
 先輩の腕の中で、私は願う。
 いつまでもこの腕に包まれていたい。その時間ができるだけ長くなる事を。
 先輩、ううん、真一郎さん、私はあなたを愛しています。未来永劫ただあなた一人だけが私の恋人です、たとえ死が2
人を引き離そうとこの思いだけは変わりません。

END
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あとがき

こんにちは、小島です。

管理人様、海鳴堂書房HPの10000HITオーバーおめでとうございます。
記念としてこのSSを贈ります。

真一郎&さくらのショッピングデートさくらサイドいかがでしたか?
企画段階ではもっとさくらの色っぽいシーンがあったのですが、大幅に削らせてもらいました。
ブーイングが聞こえてきそうですがやっぱり真一郎サイドとの兼ね合いもあるのでこうせざるをえませんでした、ごめん
なさい。
さて、真一郎が本編との接点であるリスティとの邂逅をしている頃、さくらもななかと稲原真琴嬢との邂逅をしていまし
た、ところで稲原真琴嬢が誰のシナリオに出てきたか覚えている人いますか?
正解は唯子シナリオです、そう彼女は……の役でちょっとだけ出てきましたね?
今回出すに当って、彼女をどう扱おうと考えましたが、普通の友達に落ち着きました、真一郎とさくらを取り合うのもあり
かな?と思わないでもなかったんですが、さくらが後ろから爪をつきつけて脅すもんだからあきらめました。

さて、本編も終わり、「たまには……」も残すところ外伝だけです。
次の外伝は15000HITの時に出すものですが、十六夜編か、耕介&薫のタンデムツーリングのどちらかになると思い
ます。

それでは最後に、いつも私の駄文を掲載してくださる管理人様に深い感謝の念を捧げつつ終わりたいと思います。
それではまた、アディオス!!

メールアドレス:mk_kojima2@yahoo.co.jp


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