たまには休日を……外伝 真一郎&さくらのショッピングデート<真一郎サイド>


Written by 小島


この作品はJANIS/ivoryより発売されているとらいあんぐるハートシリーズを元ネタとしております。
この作品は、ネタばれを含んでいます。
この作品における方言はかなり適当です、こんなの関西弁(鹿児島弁)じゃないという方がいてもおおめに見ていただ
けると嬉しいです。



 ちゅんちゅん……。
 PiPiPiPiPiPiPi……カチッ!
「ふぁーーーあ」
 朝が来たみたいだな。まだ眠い……昨日がんばりすぎたかな?
 さくらは………起きている訳ないか。
 本当にさくらは朝に弱いからな。ったく、それじゃあ朝御飯でも作ってあげようかな。それに昨日随分と吸われたから、
 しっかり食べないと俺が倒れちゃいそうだしな。
 俺はそう考えると、さくらを起こさないように気をつけてベッドを出る。まだ眠っているさくらの頬にキスをしてからシャワ
ーを浴びに浴室へ向かった。


 シャワーから出ると冷蔵庫の中身を確認する。
 冷蔵庫の中身と相談して考えた今朝の朝食は、昨夜の残りの御飯を温めたものと、卵とほうれん草の味噌汁、カリカ
リに焼いたベーコンとソーセージを添えたチーズ入りスクランブルエッグ。飲み物はコーヒーを淹れる。後、牛乳を飲め
ば完璧。
 御飯はレンジで温めるだけだから最後でいいとして、まずは味噌汁とスクランブルエッグから作ろうか。

 鍋に水を入れ、火にかける。
 卵を数個持ってきて、小さ目のボウルに割り入れ、良く掻き混ぜる。
 卵液の3分の1を御椀に取り分ける。
 ボウルの中の卵液に料理酒、塩コショウ、メープルシロップを入れて再びよく掻き混ぜる。
 ほうれん草を洗って程よい大きさに切る。
 フライパンを良く温めてから油をしく。
 油から軽く湯気が出てきたら、ボウルの中の卵液をフライパンに静かに流し込む。
 フライパンの上の卵液が固まりきらない内に手早く掻き混ぜ、ピザ用の小さく切ってあるチーズをのせる。半熟よりも
少し余計に位固まった所で火を止める。
 鍋のお湯が温まった所でほうれん草を入れて茹で始める。ある程度ほうれん草がしんなりとしてきた所で味噌を溶き
入れる。ちなみに家は赤:白が7:3の合わせ味噌を使っている。
 慎重に灰汁をとりながら、先程とは別のフライパンを温め、油をしく。
 ベーコンをキッチンペーパーではさみ、少し水分を取ってから、フライパンに入れる。
 こうするとカリカリに焼いたベーコンを作りやすい。
 御飯をレンジで温めるための容器に盛り分けて、レンジで温め始める。
 ベーコンが焼きあがる頃には味噌汁もだいぶいい具合になってきたので、御椀に取り分けていた卵液を少しずつ流し
込む。
 ベーコンを御皿に盛り付けた後、今度はウィンナーを炒め、塩コショウで味付けする。
 ウィンナーが炒め終わったら、御皿に盛り、軽く温めなおしたスクランブルエッグも盛り付ける。
 使い終わったフライパンに御湯を入れて油を浮き上がらせておく。
 御飯と味噌汁が、温まった所で、さくらを起こしにいく。


 さくらを起こしにベッドに戻ると、さくらはもうベッドの上で上半身を起こしていた。
「おはよう、さくら」
「おはようございます、先輩」
「朝御飯できたよ、さあ、起きて」
「いや」
 そう言うとさくらは、ベッドに倒れこんで目を閉じた。
 一瞬、何がなんだかわからなかったが、さくらが目を開けて、何かをおねだりするような表情をした後再度目を閉じた
時に気がついた。
 だから、俺は黙ってさくらの可愛らしい唇に、俺の唇を合わせた。


 俺の作った朝御飯は今回も好評だった。
 綺麗に全部食べ終わった、ご飯の後片付けを俺がしている間にさくらはシャワーを浴びて出かけるための準備を始
める。
 今日はさくらが少し買いたいものがあると言うので、デートも兼ねて買い物に行くことになっているからだ。
 一通り後片付けが終わったら俺も出かけるために着替える。
 インディゴブルーのシャツと黒いスラックス、ベルトはこの前さくらに選んでもらった金色のバックルのついた黒皮のも
のを使う。
 俺が着替え終わる頃にはさくらも戻って来ている。さくらは家でシャワーを浴びた後はいつも下着姿で部屋の中に入っ
てくる。
 今日も、上下御揃いのブルーの下着(昨日は同じく上下揃いの黒い下着だった)で鏡の前に陣取っている。
「先輩、髪乾かすの手伝ってください」
「いいよ」
 まだ濡れているさくらの髪をタオルで充分に水分をとってから(人狼の耳の中も)、軽くドライヤーをあてる。
 髪を乾かし終えたら、さくらが着替えるのを待っている間部屋を見渡す。
 この数ヶ月の内にさくらの物が随分増えた。
 まず、さくらの衣装ダンス。それから鏡台、小さ目の化粧箱(さくらはあまりメイクはしないけど、リップ位することはあ
る)、さくらが持ち込んだワインとワイングラス、さくら用のカップに歯ブラシ、タオル等の日用品も一揃い揃っている。さ
すが週の半分を家で過ごしているだけの事はある。
 ちなみに、さくらがいない日に青少年の好奇心でさくらの衣装ダンスに入っていた下着を見たことがあったが、後でば
れて随分と血を吸われた事があったのはここだけの秘密だ。


 やがてさくらの準備も整い、出かける事にする。
 俺としては最近乗り始めたバイク(最近免許を取った、その話を聞いたさくらの御父さんがなぜかバイクを買ってくれ
た)で行きたいのだが、バイクに乗っていると先輩の顔が見えないし、話し辛いといってさくらが嫌がるので歩いて海鳴
駅前に行く。
 今日のさくらの服装は、俺との対比を意識したのか白いロングスカートに、レモン色のブラウスと明るい色使いだ。普
段落ち着いた色の服を着ることが多いさくらの今日の服装はなんだか新鮮だった。


 駅前のALCOで、さくらが何を買うのかと思ったら下着だった。
 具体的にどれだけ増えたのかはわからないが、サイズが大きくなったらしい。
 普段ゆったりとしたものを着る事が多いさくらは、服の方はまだ少し余裕があるが、下着だけはどうにもならないみた
いで今回買いにくる事になったらしい。
「さ、さくら」
「なんですか、先輩?」
 ランジェリー売り場にいるのはさすがに居た堪れなくなった俺が、本屋にでも行っていると告げようとさくらを呼ぶが、
さくらは真剣な表情で下着を選んでいてこちらにこない。
 仕方なく、さくらの隣まで行くと、早口で要件を告げる。
「さ、さくら、俺はちょっと欲しい本があるから本屋に行くよ。そこで待ってるから」
「だめです」
「えっ!」
 しかし、さくらからは無常なお言葉が放たれる。
「だめです、先輩」
「な、何で?」
 俺が質問すると、さくらは小悪魔のような笑みを浮かべながら俺の頬にキスをする。
「だって、先輩が大きくしたんですよ。責任とってちゃんと選んでくださいね」
 先程から、こちらをちらちら見ていた視線が、一気に増える。
「……あんなに可愛い子でもする事はしてるのねぇ」
「…クスクス、可愛い真っ赤になっちゃって、彼女の尻に敷かれてるのね」
などという言葉がそこかしこから聞こえる。
 さくらも少し赤くなった顔をしてるが、平静を保つような振りをして言葉を続ける。
「それに、先輩に見せる物ですから先輩の好みに合った物にしたいんです」
 俺は、その言葉を聞いた嬉しさのあまり、思わず状況を考えずにさくらにキスをしてしまった。
 すると回りからは黄色い悲鳴が聞こえてくる。し、しまった……いいや、減るもんじゃないし、もうやっちゃったからには
無しにできないから……。


 結局、ALCOのランジェリーショップで散々さくらにからかわれた後、青、白、黒、ベージュ等色とりどりの下着を10数
組購入した後、外に出る。
「さくら、まだお昼までには時間があるけどどうする?」
 俺がさくらに質問すると、さくらは少し首をかしげた後、再度無常な台詞を放った。
「何言ってるんですか?日用品ですよ。もう少し買わないといざという時困ります、……特に例の時期とか」
 その言葉に俺は納得したが、それなら何で、あそこで買ってこないのかとも思った。
「ああいう所のは高いんですよ。だから例の時期とかに使い潰しちゃうような下着は安いので充分なんですよ」
 なんか、だんだん経済観念もついてきたみたいだな……。
 そういう訳で、俺達は商店街にある医療品などを安売りしているスーパーに入る。さくらもさすがに安物まで俺に選ぶ
ようには言わなかったので、俺は一旦店の前に出る事にする。
 しばらく回りを見まわしていると、見知った顔が見えたので呼び止める。
「おーい、リスティ!!」
 銀髪の少女リスティが振り返る。
「HI、真一郎、久しぶり」
 彼女の今日の服装は、黒い綿のパンツに、青の半そでシャツを着ている。
 そう、男物のシャツを着ているが、彼女には妙にそれが似合っていた。
「ああ、久しぶりだな、今日は誰かと一緒なのか?」
「いや、ボク1人だよ、今病院の帰りなんだ」
「それって、例の?」
「ああ、そうだよ」
 なんでもないような顔をして話しているが、彼女にとってその事を言うのは気分のいい事ではないだろう、HGSの検査
という事を話すのは……。
「真一郎は?」
 話をそらすように今度はリスティが俺に聞いてくる。
「俺は、さくらと一緒、今さくらが買い物しているから待ってるんだよ」
 そう言うと、悪戯をする子供みたいな表情をしてニヤニヤと笑いながら質問を投げかけてくる。
「デートかい?」
「そうだよ」
「やれやれ、真一郎達はこんなに積極的なのに耕介ときたら」
 溜息を吐きながら、お手上げというようなジェスチャーをしてから、腕時計を見る。
「おっと、こんな時間だ。早く帰らないと昼飯を食いそこねる。じゃあ、またね真一郎」
「ああ、またな」
 そう言うと彼女はバス停の方に歩いていった。


 リスティが立ち去ってからしばらくしてさくらが出てくる。
「先輩、お待たせしました」
「いやそうでもないよ」
 時間はもうお昼を食べてもいい時間だな。
「さくら、何か食べたいものある?」
「ハイ。先輩、今日のお昼と夜は私が作りますから、買い物して帰りましょ」
 そう言ってさくらが俺の手を取る。
「おいおい、まだデートらしいデートをしてないだろ」
「いいんですよ、そんな事。それに……」
 さくらはそう言いかけてから周囲を見まわし、近くに人がいないのを確認すると、俺の耳元に口を寄せ、こう言った。
「さっき買った下着を付けたところ見たくありませんか?」



 そうして、俺達は家に帰った。さくらの作った料理はまだ少し慣れていない所があるけど充分に美味しかったし、それ
にさくらのランジェリーファッションショーも堪能した。
 その夜の俺は、後で考えるとまさしく絶倫超人のようだったと思う。
 どうやら、さくらが一族秘伝の勢力料理を作った所為らしい。
 なんだか俺はこの先一生さくらの掌の中にいるような気がするけど、それもまたいいかもしれないと思う俺がいるのを
否定できない。
 まぁ、なんにしても俺達が愛し合っている事実は変わらない。ずっと、永遠に愛しているよさくら。

END






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あとがき

こんにちは、小島です。

管理人様、海鳴堂書房HPの5000HITおめでとうございます。
記念としてこのSSを贈ります。

真一郎&さくらのショッピングデートいかがでしたか?
なんだか、甘い甘い話なんだか、エッチな話なんだかわからない中途半端な話になってしまいちょっと失敗したかなと思
っています。
タイトルにある通り、この話しは「たまには休日を……」シリーズの外伝という位置付けにあります。
つまり、この話しの最中耕介と薫が近くにいたことになります。
なんだか対称的な2組になりましたね。

本編の方も後、リスティ編、真雪編、愛編の3本となりました。
このSSと同時進行で書いていたリスティ編も後少しで完成です。
この外伝のさくら編は海鳴堂書房が1万HITを迎えたときにお送りするつもりです。
残り少しとなりましたこのシリーズをこれからもよろしくお願いします。

それでは最後に、いつも私の駄文を掲載してくださる管理人様に深い感謝の念を捧げつつ終わりたいと思います。
それではまた、アディオス!!

メールアドレス:mk_kojima2@yahoo.co.jp



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