PLACES IN THE HEART

「あるべき姿」
1984年(アメリカ)

監督 : ロバート・ベントン
脚本 : ロバート・ベントン
製作総指揮 : マイケル・ハウスマン
製作 : アーレン・ドノヴァン
撮影 : ネストール・アルメンドロス
美術 : ジーン・キャラハン
音楽 : ジョン・カンダー
編集 : キャロル・リトルトン
衣装デザイン : アン・ロス
編曲 : ジョン・カンダー
字幕 : 戸田奈津子

コロムビア映画配給
1時間51分
第57回 アカデミー賞(1985年)
作品賞ノミネート
主演女優賞 サリー・フィールド
脚本賞 ロバート・ベントン
監督賞 ロバート・ベントン
助演男優賞 ジョン・マルコビッチ
助演女優賞リンゼイ・クローズ
衣装デザイン賞アン・ロス

第35回 ベルリン国際映画祭(1985年)
銀熊賞(最優秀監督賞)ロバート・ベントン

第42回 ゴールデングローブ賞(1985年)
最優秀主演女優賞(ドラマ)サリー・フィールド
最優秀作品賞(ドラマ)ノミネート
最優秀脚本賞ロバート・ベントン
キャスト
サリー・フィールド
(突然夫に先立たれた主人公)
ジョン・マルコビッチ(盲目の下宿人)
ダニー・グローバー(黒人の流れ者)
リンゼイ・クローズ(美容師の姉)
エド・ハリス(浮気をしている姉の夫)
エイミー・マディガン
(浮気相手の小学校教師)
ヤンクトン・ハットン(小学生の息子)
ジェニー・ジェームズ
(お人形が好きな年頃の娘)
テリー・オクィン
レイ・ベイカー


思いもよらずこの映画に出会ってしまいました。
というか、以前にも見た覚えがかすかにあります。でも、その当時は響いてこなかった・・・。
ラストシーンが圧巻です。
「夢」なのでしょうか・・・。
あるべき姿は、やがて現実となって欲しい。そう願うばかり・・・。
「夢」なのでしょうか・・・。


あらすじ
1935年、大恐慌時代。テキサス州ワクサハチの朝。
エドナ・スポルディング(サリー・フィールド)は、先ほど送り出した保安官の夫ロイス(レイ・ベイカー)が
死体となって戻って来たのを知って、あまりのショックに口がきけなかった。
銀行の預金残高は116ドル、借金3681ドル、とりあえず数カ月後に銀行に返さなければならない返済分が240ドル、
エドナにできることといえば子供の世話と家事だけだ。
美容院を経営している姉のマーガレット(リンゼイ・クルーズ)も親身に心配してくれるが、金銭面では無力だった。
葬儀が済むと銀行は、この家を売り借金をゼロにして、子供を親戚に預けて働いたらと勧める。
しかし、夫のにおいが染みたこの家と2人の子供フランク(ヤンクトン・ハットン)と
ポッサン(ジェニー・ジェームズ)なしに生きていくことはできない。
数日後、流れ者の黒人モーゼス(ダニー・グローヴァー)がやってきて仕事をくれと申し出たが、断わった。
その夜、保安官に連れられたモーゼスが再びエレナの家にやってきた。
スポルディング家の銀器を盗んだので逮捕されたのだ。エレナはウソの口実でモーゼスを助けてやつた。
その日から、彼は一家には欠かせぬ働き手として綿畑を耕した。
同じ頃、銀行員は厄介払いするように眼の不自由な彼の弟ウイル(ジョン・マルコヴィッチ)を下宿人として押しつけてきた。
エドナとモーゼスは綿作りに励んだ。一家を守るにはそれしか方法がないのだ。
しかし、テキサス特有の大竜巻は小さな町の建物をあらかた破壊しスポルディング家にも甚大な被害をもたらした。
姉の夫ウエイン(エド・ハリス)と親友の妻ビオラ(エイミー・マディガン)との情事も、この大竜巻によって終りを告げた。
10月が近づき綿の収穫の時期になった。
収穫一番のりに対する100ドルの賞金を得るために、エドナとモーゼスはもとより、フランク、ポッサム、
マーガレットまで畑に出て綿つみに精出した。賞金がもらえなければ一家は離散してしまうのだ。
盲目のウイルが料理を受けもった。皆、綿の木の針で指を刺され、曲げっきりの腰がのばせないほど働いた。
出荷の日の朝が明けた。エドナが一番のりだった。
綿つみの後のダンスパーティの夜、フランクは一人前の男として母エドナにダンスを申し込み、
マーガレットも夫の情事を許す気になった。
が、モーゼスはK・K・Kの一団に襲われて町を出ていくよう脅迫される。
エドナに危害の及ぶことを恐れたモーゼスは、翌朝町を離れた。
「あなたが最高の綿つみだってことを忘れないで」モーゼスを送るエドナの言葉には愛する家族を失う悲しみが充ち充ちていた。


何気ない日常の食事のシーンからこの映画は始まった。
夫が祈りを捧げて一家の食事が始まる。
そこへ酔った少年が線路に立ちはだかっているというので、保安官の夫は食事もそこそこに出かけていった。
まだ、ほんの子供だ。
酔って銃を発砲している。ふざけてるだけだった。
弾が切れたと思ったそのとたん、発砲された。不運な事故だった。
黒人の少年は見せしめに吊るされた。
仇討ちとばかりに自宅前に車に引きずられて来た少年。
「見ちゃダメよ」
駆けつけた姉も「早く行って」と男どもを追い払う。
怒りはない。
途方にくれていた。
外で働いたことなどなかった。夫の給与すら知らなかった。これからどうしたら・・・。

葬儀が済むと、すぐに銀行がやってきた。
預金はほとんどなく、負債を抱えていた。
銀行は家を売って、一時的には家族離散もやむを得ないと諭す。
だが、エドナは頑としてそれだけは飲めなかった。
そんな時、流れ者の黒人労働者がやってきた。
人を雇う余裕などないエドナだったが、雇うことはできないが食事だけ用意した。
翌朝、黒人モーゼスは食事のお礼なのだろう、薪割りをしていた。
「納屋も直して、馬の世話も鶏の世話もしなきゃ。土地に綿花を植えたら楽に暮らせますよ」と助言。
エドナに考えは及ばなかったし、綿花の知識もない。第一、人を雇う余裕はない。返済のことで頭がいっぱいだった。
モーゼスは銀のスプーンを盗んで出て行ったが、その晩に保安官に捕まって連れて来られた。
エドナの機転で助けられたモーゼスは綿花栽培を始める。
子供たちにも慕われ一家には欠かせぬ存在となる。

そんな時、銀行から義理の弟という盲目の下宿人を置くよう押し付けられたエドナ。
施設に行きたくないウイルは初め、ひねくれて意固地な態度をとっていたが、やがて心を許すようになり、
一家と打ち解けるようになる。
綿花の収穫の時は料理を買って出たり、竜巻の時も、モーゼスが襲われた時も懸命に助けた。
エドナの一途な愛が一家を守り、その愛が周囲の心を変えていった・・・。


左から、息子のフランク、娘ポッサム、エドナ、モーゼス

モーゼスは執拗な黒人狩りにあい、また一家の迷惑を考えて出て行った・・・。
大事なお守り、うさぎの足はフランクに、ポッサムには手作りの人形を作っていた。
お母さんの唯一の形見の品、ハンカチをエドナに託して・・・。

教会のラストシーン。
牧師の説教。
「どんなに大金を寄付しようとも、そこに愛が無ければ無意味である」
「どんな大業を成そうとも、そこに愛が無ければ無意味である」
パンと葡萄酒が回される・・・。
ウイルがいる。
モーゼスがいる!帰ってきたの?
あれ?竜巻で犠牲になったはずの近所のおばあちゃんが・・・。
エドナ・・・フランク、ポッサム・・・亡くなったはずの夫が。
そのすぐ横には、撃った黒人の少年。
みんないる。
みんな穏やかな顔して教会に集っている。
肌の色も、障害も、死さえも隔たりがない。
そこは、すべてを受け入れ許しあう愛に満ちていた。


(2017年9月記)