第3新東京市市内レストラン、 アスカと加持が話をしていた。 「・・加持さん、何で、アイツ、アタシを、助けたのかな?」 加持は軽く考える素振りをした。 「そりゃ良き残る為だろ、2対1より3対1の方が楽だからな」 「でも・・アイツ、命を掛けたのよ・・」 「別に命掛けたわけじゃないだろ、火傷を覚悟すればな、」 「・・・」 「まあ、彼が本当は何を考えているのかは彼にしか分からないだろうがな・・」 アスカはストローに口を付けジュースを吸った。 「・・・そうだな、俺が見てやろうか?」 「加持さんが?」 「ああ、まあ、頭じゃアスカにゃ敵わないけど、人生経験と今まで見てきた人間の数じゃ俺の方が遥に上だ。」 「・・そうね」 「何か彼と近付きになれる切欠が要るな・・用意してくれるかい?」 「・・・うん、分かったわ、アイツが何を考えているのか見極めてね」 「ああ、任せろって」 翌日、第3新東京市立第壱中学校、2−A、 老教師が教室に入って来た。 「起立!」 「礼!」 「着席!」 「今日は皆さんに転校生を紹介します。」 転校生霧島マナが教室に入って来た。 「霧島・・マナです。宜しく御願いします。」 「宜しゅう」 トウジの反応にクラスから笑いがこぼれた。 「はい宜しく、霧島さんの席は・・・碇君の横の席に座って下さい。」 マナはユウキの横の席に座った。 「碇君、ね。」 「え?」 「ふふ、可愛い」 マナは笑ったが、ユウキはクラス中から向けられた殺意にも似た視線に泣きたくなった。 「あらら、早速、何か起きそうね、ユウキ君ってひょっとして疎まれてるの?」 (もう止めて・・・) 休み時間、 「担任の先生が優しそうな人で、私安心しちゃった」 マナは人懐っこい笑顔を浮かべてユウキに話しかけてきた。 (だからどうしたんだよ・・・もう僕に構わないでよ・・・) 「良かったら碇君の下の名前教えて」 「・・・ユウキ・・・碇、ユウキ・・」 「ユウキ君ね」 「本日、私、霧島マナはユウキ君の為に午前6時に起きて、この制服を着て参りました。」 本物の殺意が混じっている気がする。 「どう?似合うかしら?」 マナは1回転その場で回転し、尋ねた。 「・・うん・・」 「ねぇ、この学校って屋上出られるの?」 「・・まあ・・」 「私ユウキ君と眺めたいな〜」 明確な殺意のオーラを一番はなっている男、相田ケンスケが、近寄ってきた。 「な、何ケンスケ、なんか用?」 「綾波に、惣流、今度は転校生までもか・・・・このうらぎりものぉぉぉおおお!!!」 (誰か助けて) 結局マナに引っ張られて屋上にやって来た。 (・・妙だな・・この学校の構造を予め知っていたとしか・・) ユウキはマナの不審な行動を考えていた。 「・・・綺麗ね・・・」 マナは、景色を見ながら呟くように言った。 (僕への接触から考えて、チルドレンへの接触を図ったと考える。その目的は、誘拐或いは情報の引き出し・・・まあ、何にしても、真っ当な目的じゃないな) 「綺麗ね・・・見せ掛けだけの偽りの塊、その下には、殺戮と破壊活動の為に作り出された兵器の数々が置かれ、それを覆い隠す為だけの嘘なのに?」 マナは完全に沈黙した。 (普通ならこれで引くな) 「や、やあねぇ、偽りだって、何だって良いじゃない」 「戦場に身を置く者としては、そう言う気持ちには成れないな」 「そっか・・・ユウキ君エヴァのパイロットだもんね」 「・・・戦略自衛隊かな?」 「え!?」 マナは驚愕の表情を浮かべてユウキの顔を見た。 「僕に近付いて何を企んでいるのかな?」 「な、何を言っているのよ?」 ユウキはマナの目を真っ直ぐに見た。 「う・・・」 「まあ、ネルフは超法規組織だからね、スパイ容疑と言う事で、誤って民間人を拘束したところで問題は無い。念には念を入れろという言葉もある」 「わ、私をネルフに連行するつもり!?」 「さあてね、どちらでも良いさ・・・ん!?」 一瞬マナの髪の中に光る物が見えた。 ユウキはマナの髪を掴んだ。 「きゃ!」 「くっ」 毛髪に似せた盗聴機の一種、 「拙いな」 マナを開放して、周囲を見まわした。 「何をするのよ!」 「信用されていないようだな・・来るんだ!」 ユウキはマナの手を掴み校舎の中に逃げ込んだ。 丁度階段でレイとアスカと出会った。 「ほうほう、早速、お手手繋いで」 アスカの頭には角が見える・・幻覚だろうか? 「・・・碇君・・・どう言う事?」 ユウキは手を離した。 「彼女はどっかの組織のスパイだよ」 「何ですって!!」 レイも敵視の視線をマナに向けた。 「まあ、既に切られたと思うけどね、ネルフに連絡取れる?」 レイは頷き、携帯で連絡し、直ぐに保安部が迎えに来た。 4人が本部に到着して間も無く、使徒が現れた。 『今度の使徒は、これ、』 モニターに使徒が映った。 『中華なべに目と足をつけたような使徒ね、自衛隊はさっさと退散したから敵戦力は不明』 「調査は?」 『一応ね』 無人戦闘機が攻撃を掛けた。 ミサイルは直撃した。 使徒は目の一つから溶解液を放って戦闘機を溶かした。 「武器は溶解液ですか・・・しかし・・・随分防御がお粗末じゃありませんか?」 『ああ、ありがたいわね、早速攻撃、』 使徒戦に楽な戦いは無かった、ならば必ず何かある。 地上、使徒が射程距離に入るのを待っている。 「・・・遅いな・・・」 警報が鳴った。 「何ご・・・」 戦場にロボット兵器が割り込んで来た。 『『何よあれ!!』』 「こっちに来るよ」 ロボット兵器はエヴァを目標にしている。 「嘘だろ!」 初号機は体当たりを食らい吹っ飛んだ。 「いつつ、敵の同時侵攻か、どこの誰かは知らないけど今は邪魔だ」 初号機はパレットライフルを、零号機は陽電子砲を、弐号機はスマッシュホークで一斉攻撃。ものの3秒で沈黙させた。 「良し、次は、使徒だ」 『射程に入ったわ』 そして、支援兵器も併せた総攻撃で一瞬にして撃破した。 初号機だけはそれでも構えを解かなかったが、今回ばかりは必要無かった。 6時間後、ネルフ本部総司令執務室、 マナは碇の前に突き出された。 「霧島マナ、君が証言した事に嘘偽りは無いな」 「・・・はい・・・」 「良かろう、では、君は被害者だ。ネルフが保護し、通常の中学生としての生活を保証しよう」 「「え!?」」 冬月も声を上げた。 「では、詳しくは追って伝える」 ・・・ ・・・ ・・・ 「碇、何を考えている?」 「日本政府へのカードを一枚増やした」 「それはわかる。だが、」 「冬月、ダイアモンドは、如何なる宝石の中にあっても一番の輝きを放つ」 「うむ」 「周りにサファイアやアメジストなどがあろうともな」 「だが・・・・成るほど、レイを選ぶ事には変わりは無いか・・」 「更に、楔を何本か打ち込んで置けば問題無い、いよいよ面白くなる」 「そうか・・・だが、補完計画はどうする?」 「知らん。嘘の中間報告をすれば良い」 「だが、あの男はどうする?」 「問題無い。」 ユウキの家、 「あ〜あ、結局なんだったんだろ・・・」 「・・・碇君、寝ましょう」 「あ・・もう、そんな時間か・・」 二人はリビングを離れた。 ユウキの部屋の前で二人は止まった。 「何でここで止まるの?」 レイはユウキの腕を掴んだまま離そうとしない。 「・・碇君が霧島さんと手を繋いでいた時・・・堪らなく不安だった・・」 「う・・・」 「私・・・碇君との確かな絆が欲しい」 (こ、これは、・・プ、プロポーズなのか?) レイは顔を真っ赤に染めてユウキの胸に顔を埋めた。 「あ、綾波・・・」 ユウキはそっとレイを抱きしめ様として手が止まった。 ユウキの背後には、深紅のオーラを放つ鬼神が仁王立ちしていた。 「あ、あのさ・・・」 「この不埒者が!!!」 ユウキが目を覚ますと、自分の部屋のベッドだった。 「・・・何が・・・つ」 後頭部に鈍痛が・・・大きなたんこぶが出来ていた。 ユウキは布団の中に誰かいることに気付いた。 「・・・母さんか・・・」 ユウキは布団を捲った。 そこには裸のレイが ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・ 「ま、まさか・・・僕・・・」 しかし、ユウキはちゃんとパジャマを着ている。 それから推測するに、昨日アスカに殴られたか蹴られたかで気絶した後に、レイによってベッドに運ばれ、その後、レイはいっしょに寝ようとしたのだが、裸の方が暖かさが強く感じられると言う理由で裸に成ったと・・・ 「・・碇君・・・」 レイは体を摺り寄せて来た。 「う、」 「ぼ・・・僕は・・・」 遂にユウキはレイを抱き寄せ様と手を伸ばしたところで、扉が開けられた。 「このアタシを飢え死・・・・・・」 「・・・・」 ユウキはそのまま硬直化 第3新東京市立第壱中学校2−A、 アスカにやられた場所が痛い。 まあ、でも、ある意味助かった。 最近歯止めが利かなくなりつつある。 自分の理性が弱いのではなくレイの魅力があり過ぎると解釈したい。 「ユウキ君、おはよう」 「おはよう、霧・・・え!?」 マナが横で微笑んでいる。 「私ユウキ君のおかげで、戦自と縁を切る事が出来たの。で、これからは普通の女の子、宜しくね♪」 斜め後ろの席から赤いオーラが立ち昇っている。 碇ユウキ、彼の受難は続く・・・