朝、第3新東京市立第壱中学校、2−A シンジとレイが勉強をしていた。 「お〜、何やっとんや?」 「入試演習だよ」 「シンジも綾波も気が早いな・・来年の事じゃないか・・・ん?」 ケンスケはシンジの机に開かれている本を手に取った。 《15 京都大学 理工情農 過去10ヵ年》 ケンスケは固まった。 「なんやなんや?」 覗き込んだトウジも固まった。 「何やってんのあんたら?」 アスカが登校してきた。 「おはようアスカ」 「おはよ」 シンジはアスカに声を掛け、小さくレイが続いた。 「おはよ!・・・ん?」 アスカは固まっている二人の手元を見た。 「ふ〜ん、京大ね、受けるの?」 「うん、その予定」 「今度の模試勝負よ!」 「いいよ」 「私も」 そして、日曜日、模試が行われているのだが、3人は姿をあらわさない。 「やっぱ、ネルフでなんかあったんやろか」 「勝負楽しみにしてたみたいだからな」 その頃、某予備校、 高校3年生や浪人生に混じって、3人の中学生が問題を解いていた。 帰りに、3人は、ショッピングセンターで買い物をして帰った。 ネルフ本部発令所、 マヤは思いきり背伸びをした。 「ん〜〜〜〜!・・・なんか、最近、楽なんですけど・・・前は、もっとなんか張り詰めたような」 「ああ、司令がいないからよ」 データをファイルに書き込みながらリツコが答えた。 「そう言えば・・最近発令所にいませんね」 「そうね」 翌日、シンジは一人で司令席に座っていた。 レイとアスカは二人でどこかに出かけたようだ。 最近二人の仲がずいぶん良く成ってきた。 冬月は、第2新東京市、ナオコは、雑務を執務室で片付けている。 緊張感が漂う中、何か乾いた音がした。 マヤは音の方を振り返った。 シンジのサングラスが司令塔の下に落ちていた。 マヤは目線を上げた。 シンジは顔をコンソールにつけて眠っている。 暫くして日向、ミサト、青葉、リツコ、の順で気付いたが、誰も声をかけなかった。 更に暫くしてむくっとシンジが起き上がった。 シンジは目を擦っている。 「あれ?」 シンジは目をぱちくりさせている。 (妙に可愛い) マヤは人知れず笑った。 シンジは、サングラスを探している。 そして、見つけたシンジは、取ってきてもらう為にマヤに声を掛けた。 「あ、マヤさん、サングラス取ってもらえますか?」 なんか笑みまで浮かべている。 その瞬間、全員が硬直した。 「は、はい」 マヤは手と足が揃いながら歩き、サングラスを拾って、リフトで司令塔に上がり、シンジにサングラスを渡した。 「ど、どうぞ」 「有り難うございます」 思わずマヤが赤くなってしまうような笑みを浮かべてシンジはサングラスを受け取った。 シンジはサングラスを掛けた。 「伊吹2尉、下がっていいぞ」 「あ、は、はい」 マヤはリフトで降りた。 なんか威圧感が戻った。 シンジに電話が掛かって来た。 「ああ、私だ」 「そうか、」 「今から行く」 シンジは電話を切った。 「赤木博士、私はこれから出かける、後を頼む」 シンジが出て行った事を確認して全員がひとまずホッと一息をついた。 「な、何なのあれ?」 「司令、の素顔・・・ですか」 「普通・・・の子供に見えましたね」 「私に敬語使ってましたよ」 「今の映像残ってる?」 「あ、はい」 「国宝級よ、完全に保存しなさいよ」 「はい」 「・・・・ん?」 リツコは何か気付いた。 休憩室に保安部が撮影したチルドレンの監督写真が持ってこられた。 よくチェックすると、あちらこちらに素顔のシンジが写っている。 (可愛い) マヤが頬を赤く染めている。 「まさか、司令の素顔がこんなんだとは・・・・」 「じゃあ、極東の魔王とまで言われているのは、全て演技?」 全員が考え込んだ。 ただし、一名妄想の中に突撃していたが・・・ 警報が鳴った。 「何!何が起こったの!?」 しかし、警報が鳴り響くだけで、館内放送が入らない。 全員が発令所に向かって走っている時に館内放送が入った。 『任務放棄者、減棒3ヶ月』 シンジの無常な声が全館に響いていた。 「え、えびちゅが〜〜」 後で、なぜかマヤだけ免除される事になる。 海岸に3体のエヴァが配置についた。 零号機、 『目標は、巨大な魚型の使徒よ、呼吸器はえら呼吸のようだから、陸上に上げれば弱るはず、頼むわよ』 「了解」 『弐号機が先攻、零号機が補佐、初号機は援護よ』 零号機はプラズマビーム砲を構えた。 「来るっ」 使徒が海面に姿を表したと同時に、零号機がプラズマビームで使徒の体に穴をあけ、そこへ弐号機がプログソードで一刀両断にした。 初号機は何もしなかった・・・と言うよりも、出来なかった。 碇邸、風呂、 シンジがゆっくりと湯船に浸かっていた。 レイが入って来た。 レイはシンジの横に入った。 「レイ、アスカのことどう思う?」 「面白い人」 「そうだね」 シンジは軽く笑みを浮かべた。 ネルフ本部副司令執務室、 六分儀は差し出された湯飲みを口に運んだ。 「・・良い茶ですね」 「ああ、御手洗君の御歳暮だ」 御手洗オトネ、冬月の教え子の一人で現在野党第3党の党首をしている。 「先生は良い御子弟をお持ちだ」 「それは皮肉かね?」 六分儀は軽く笑った。 「いえ、そのままの意味ですよ」 「そうかね」 冬月も茶に口をつけた。 「ふぅ・・・ところで、ナオコ君とはどうかね?」 「・・一度会っただけだが、蔑まれたよ」 「そうか、」 「まあ、当然と言えば当然だがな」 「そうだな」 翌々日、第3新東京市立第壱中学校、 授業中に3人の携帯が同時になった。 「早退します」 3人は教室を出て、シンジの車に乗った。 「現状は?」 『後2時間で上陸します。地点は前回と同じです。』 「同じ作戦で行くか」 上陸地点に3体のエヴァが待ち構えている。 そして、初号機と零号機の支援攻撃の中、弐号機がプログソードで一刀両断にしたが、使徒が2体に分裂した。 「なんていんちき!!」 1時間後、ネルフ本部作戦部視聴覚室。 「本日午前11時7分、目標甲の攻撃により弐号機沈黙」 マヤが説明を続けている。 弐号機が海中にさかさに沈んでいる写真が映し出された。 「同8分、目標乙の攻撃により零号機沈黙」 地面にめり込んでいる零号機の写真が映し出された。 「同9分、目標2体の攻撃により、初号機大破」 ぼろぼろになった初号機が映し出された。 「午前11時11分をもってネルフは作戦指揮権を断念、国際連合第2方面軍に移行」 NN爆雷投下の映像が流された。 「同15分、新型NN爆雷により目標を攻撃」 「また地図を書き直さなきゃならんな」 冬月がぼやいた。 焦げた使徒の写真が映し出された。 「これにより目標の構成物質の28%の焼却に成功」 「死んでるんですかこれ?」 アスカがスライドを指差しながら聞いた。 「足止めに過ぎんよ、再度侵攻は時間の問題だな」 「君達の仕事は何かね?」 シンジが聞いた。 「エヴァの操縦?」 アスカが言った。 「使徒の殲滅」 六分儀が言った。 「違う、人類を滅亡から救う事だ、使徒の殲滅はその方法でしかない、もし、人であったとしても、人類を滅亡させようとしている場合にはこれを全力を持って潰さなければ成らない。以上だ。」 シンジは冬月とナオコを連れて立ち去った。 レイが追いかけた。 総司令執務室、 加持が待っていた。 「御苦労だったな、加持君」 「ええ、」 加持はトランクを机の上に置いた。 シンジは暗証番号を入力しロックを外した。 「これが、アダムですか」 「ああ、全ての始まりだよ」 (もっとも、これが、本物かどうかは別だけれどね) シンジはにやりと笑った。 「処で、君は家事は出来るかね?」 「は?はあ、まあ一応は」 加持は何故そのような質問が出たのか思い当たらなかった。 「では下がりたまえ」 そして辞令が出た。 《惣流アスカ1尉、作戦準備のため、綾波レイ2尉との同居を命ずる》 《加持リョウジ1尉、作戦部長の生活水準の維持のため、葛城ミサト1尉との同居を命ずる》 一番騒ぎまくったのはミサト、アスカも文句を言ったが、作戦の為と言う事で、引き下がった。 碇邸、 アスカの荷物の搬入が終わった。 「なんで、アタシがシンジといっしょに住まなきゃいけないのよ」 「まだ言ってるの?」 「レイとじゃなくて、シンジとよ」 「そんな事言ったって」 「ふん、まあ良いわ、で、レイは?」 「もう準備をしてるよ」 リビングにダンシングマシーンが2台セットされている。 「さて、今回の作戦には、相手に併せる事が重要だよ。頑張ってね」 「では、スタート」 音楽が流れた。 アスカのトップスピードにレイは付いて行けずエラーが続出した。 2時間後、レイが荒い息を付きしゃがみ込んだ。 「・・・アスカ、」 「何?」 「弐号機を降りるか?」 「え?」 「私は、相手に併せる事が重要だと言った。私を侮辱しているのか?」 シンジはアスカを睨んだ。 ・・怖い・・ アスカは目の前の少年が極東の魔王である事を思い出した。 「・・・今晩は反省していろ・・レイ、立てる?」 レイは立ち上がろうと力を入れたが出来なかった。 「運ぶよ、」 シンジはレイを抱き抱え、寝室まで運んだ、少し足元が危なかったが・・・レイの体重は軽いので単にシンジの力不足だろう。 アスカは俯き考えた。 翌日、昼前、 起きてきたレイに先ずアスカは頭を下げた。 「レイ、昨日はごめん!」 「・・いい、気付いてくれれば」 レイは軽く微笑みアスカを許した。 翌日、ネルフ本部シュミレーションルーム、 六分儀は数時間連続でシュミレーションの訓練を受けていた。 アクティブソードの二刀流での訓練である。 作戦が失敗した場合、修復が不完全な初号機で出撃し、勝利しなければならない。 攻撃を交わし、両方を同時に間合いに捕らえ、同時にコアを破壊しなければならない、 未だに一度も成功しない、それどころか、コアに攻撃できたのはたった1度だけである。 『未だ続けますか?』 「・・ああ、問題無い・・」 リセットされ、再び最初から始まった。 司令室、 「やはり、このシンクロ率では不可能に近いのでは?」 マヤの表情は重い。 「・・そうね・・・二人の方がうまく行ってくれると良いのだけれど・・・」 電話が鳴った。 「はい」 「本当ですか♪」 「はい♪」 マヤは電話を切った。 「先輩、ユニゾン成功したそうです」 「そう、」 「明日からシュミレーターによる訓練を行うとの事です」 「そう、じゃあ、今夜セットアップしましょう」 「はい♪」 夕方、リツコが休憩室によると丁度、六分儀が休んでいた。 「あら?」 「・・君か・・」 「未だ、続けるおつもりで?」 「ああ」 「どうしてです?レイとアスカのユニゾンは完成し、もはや心配は殆ど無いと言うのに、」 六分儀は軽く目を伏せた。 「・・そうしないと私の気が済まないからだ・・・」 「・・・済まないな、勝手につき合わせて」 「いえ、ついでですし、それに、私が直接するような事は殆どありませんから」 「・・そうか・・」 決戦前夜、副司令執務室、 「二人の勝率は98%だそうだ」 「・・そうか・・」 「そこまで拘る理由はやはり、再びやり直したいからか?」 「・・・かもしれん」 六分儀は湯のみのお茶を啜った。 そして、決戦の日、大空に青と赤の巨人が舞い、使徒を殲滅した。 その直後、冬月とナオコが南極に向かった。
あとがき 碇 「・・問題無い・・」 YUKI「何が?」 碇 「全てはシナリオ通りだ」 YUKI「・・だからさ・・」 碇 「・・ふっ・・ユイさえいれば何もいらん」 YUKI「そうかい」 碇 (にやり) YUKI(ぶるぶる) 碇 「ふっ・・問題無い」