9月20日(日曜日)、太平洋上空大型輸送ヘリ、 シンジはミサトに連れられて零号機の引き取りに向かっていた。 ファーストチルドレンとの初顔合わせともなる。 「どしたのシンちゃん?」 「・・・いえ、ファーストチルドレンってどんな人かと思って・・」 「殆どの誉め言葉が当てはまるそうよ、嬉しいでしょ、可愛い女の子が仲間に増えたら」 「え?女の子なんですか?」 「嬉しいでしょ」 「・・・・・・」 シンジは問いに答えず、窓の外遠くに見える太平洋艦隊を見た。 国際連合海軍太平洋艦隊旗艦オーバーザレインボーの飛行甲板に着陸した。 強い風が吹く中、二人はヘリを降りた。 「あっ、貴女がファーストチルドレンね」 シンジはミサトの視線の先に視線を移した。 其処には淡い水色がかった白いワンピースに身を包つんだ、蒼銀に輝く髪に深い紅の瞳を持つ透き通るような白い肌の美少女が立っていた。 神秘的な美を持つ美少女にシンジは目を奪われた。 「ええ、貴女が、葛城1尉・・そして、六分儀シンジ君ね」 「ええ」 少女はシンジに近付いて来た。 「碇レイです。宜しく」 レイは軽く微笑みを浮かべた。 ・・・ シンジは暫くその微笑みに魅入っていたがハッと気付いた。 「あ、あ、ぼ、僕は、六分儀シンジ、あの、その、宜しく」 「くすっ、ええ・・案内するわ」 「あ・・うん」 レイはシンジを連れて歩き出した。 「はっ、ちょっとおいてかないでよ!」 ミサトは慌てて二人を追った。 そして、ブリッジにやって来た。 ブリッジではレイに良く似た女性が提督や艦長達と共に紅茶を飲んでいた。 女性は3人の姿を確認すると椅子を立った。 「六分儀シンジ君と、葛城1尉ね」 「「はい」」 「碇ユイ、レイの母親です。娘共々宜しくお願いします」 ユイは軽く頭を下げた。 「あ、はい」 挨拶が済んだ後、ミサトは提督との事務手続きに入った。 「零号機とファーストチルドレンの引き渡しに関する書類です。ここにサインを」 「我々太平洋艦隊は只の輸送屋だ。零号機と碇1佐を如何こうする権限は我々にはない」 「・・はあ、いえ、ファーストチルドレンの方は?」 「だから言ったであろう。」 「はい?」 「一応、零号機とレイは私の管轄下と言う事に成っていますので」 ユイが話に入って来た。 「はあ・・・」 「ところで博士、何か会話が少し噛み合っていないような気がするのですが」 何か、ミサトもそんな気がする。 「あっ、成るほど、じゃあ、こう言えば分かるわね。零号機と、ファーストチルドレン碇レイ1佐は、私、ネルフ特別顧問碇ユイ元帥の管轄下にあります。」 「はい?・・・・・ええ!!」 ユイが最高階級所持者で、レイが1佐!? 「それと、レイと零号機は本部所属では無く私の直轄となるよう、委員会を通じて六分儀さんに言っておいたはずですが」 「し、失礼しました・・」 ミサトは頭を下げた。 食堂、 シンジはスパゲティー、レイはカレー、ユイはサンドイッチセット、ミサトはビール・・と行きたかったが、ユイと同じサンドイッチセットにした。 「シンジ君、お父さんは元気?」 「え?」 元気かと聞かれても会っていない。 「いえ、保安上の問題で司令とは別居をしていますので」 「あら・・ごめんなさいね」 「・・いえ」 その時、ミサトの後ろから男性がそっと近付きミサトの頭を抱き込んだ。 「やッ、なッ、誰よ、止めて!」 「・・加持1尉・・」 「なっ!」 「おや、ビールじゃないのか」 ミサトは加持を振りほどいた。 「なななんであんたがここにいんのよ!?」 「御挨拶だなあ、久しぶりに会ったのに。っと、理由だったな、お二人の護衛だな。」 「六分儀シンジ君て、君かい?」 「あっ、はい、どうして僕の名前を?」 「そりゃ知ってるさ、この世界じゃ君は有名だからね。」 「何の訓練も無しにいきなり実戦でエヴァを動かしたサードチルドレンってね。」 「そんな・・・偶然です。」 「偶然も実力のうちさ。才能なんだよ君の」 「偶然なんて物は存在しないわ・・全ては定められた法則に従っただけよ」 ユイの言葉が沈黙を引き起こした。 「処で、君は葛城と同居してるんだって」 「ええ」 「こいつ寝相悪いだろ?」 「ええ、毎朝僕が起こしに」 「なななにいってんのよーー子供の前で!!」 ミサトは慌てて叫び、ユイは面白そうな顔をした。 「あら?そう言う関係だったの」 「え?どうして子供の前だといけないんですか?」 「もう、あっちいきやがれ」 「ははは、またな」 加持は笑いながら去っていった。 輸送船、仮設ケージ、 冷却液に零号機が浸されていた。 零号機は白を基調とし、いくつかのパーツがレイの髪と同じ蒼銀に塗装され、レイをイメージに使った事が明らかに分かる。 「・・碇みたいだね」 「ええ、お母さんが私の為に変えてくれたの、センサーアイも最初はモノアイだったし」 赤い双眼のセンサーアイが見える。 その時船体を振動が襲った。 「・・・来たわ」 「何が?」 「第六使徒・・・乗って」 「え?」 「エヴァの中が一番安全なのよ」 レイはタラップを使って零号機に登った。 シンジもそれを追った。 二人は零号機に乗り込んだ。 「・・エヴァンゲリオン零号機シンクロスタート」 プラグ内壁に様々な幾何学模様が映し出された。 「起動」 「・・出来れば余計な事は考えないで、」 「あ、うん」 零号機は立ち上がった。 遠くでイージス艦が破壊された。 『レイ、ガギエルは水中を60ノット以上で泳いでいるわ、大きさも300mはある。行ける?』 「ええ・・・今からそちらに行くわ」 零号機は水面に立った。 「み、水の上に!」 「ATフィールドの反作用の応用よ」 輸送船からプログソードを取り海面を駆けた。 兵達は、余りの出来事に呆然と零号機を眺めている。 零号機は使徒に接近すると、プログナイフを取り出して水中の使徒に投げ付け、オーバーザレインボーに向かった。 狙い通り使徒は零号機に目標を定めたようで一直線に追ってくる。 零号機はオーバーザレインボーに着くと外部電源をすばやく接続し、プログソードを構えた。 『後10秒よ』 そして、使徒が海面から飛び出し襲い掛かってきた瞬間、ATフィールドを消失させ、更に反作用を利用して空中に静止させて一刀両断にした。 片方は海中に沈んだが、もう一方は飛行甲板に乗り上げた。 コアが真っ二つになっていることを確認してから戦闘態勢を解いた。 シンジは只、呆然と見ているだけであった。 戦闘終了後、沸き上がる歓声の中二人は零号機を降りた。 「おめでとう、はい、着替え」 ユイは二人分の着替えを差し出した。 「あ、有り難う御座います」 ミサトの方は、指揮が出来なかった事で不満もあったが、それ以前に、あんな無茶な事を・・・これからどんな指揮をすれば良いの?と考えていた。 二人は空母内を散歩していた。 「碇って、凄いんだね」 「・・何が?」 「いや、エヴァの操縦とか・・」 「・・・そう、」 どうも反応が嬉しそうではない。 「?」 「・・女の子が、兵器の操縦が上手いと言われてもね・・」 軽い苦笑をしながら口にしたその言葉に、はっと気付いた。 「あっあの、その、ご、ごめん」 「気にしないで、」 シンジは他に誉める事を探した。 直ぐに神聖なる域にまで達しているその美しさに行き着いた。 シンジは赤くなった。 「あ、あの・・・碇って、き、綺麗だね・・す、凄く・・」 やはりそんな事を言うのは恥ずかしいのか、シンジは頬を赤くしながら言ったが、一方それを聞いたレイも頬を赤くした。 「・・・ありがと・・・」 その後、暫く二人は黙って歩いた。 9月21日(月曜日)ネルフ本部総司令執務室、 「お久しぶりです。先生、六分儀さん」 「ああ、ひさしぶりだね」 「ああ」 ユイはトランクを机の上に置き開けた。トランクの中にはケースに入った胎児状の物が入っていた。 「既にここまで復元されています。硬化ベークライトで固めてありますが・・・間違い無く生きています。」 ・・・・ ・・・・ 「六分儀、彼女、どう見る?」 「・・・分からん」 ・・・・ ・・・・ 「ろ、六分儀!これを見ろ!」 「むぅ・・・」 第3新東京市立第壱中学校、2−A、 ホームルームが始まった。 「今日は転校生を紹介します。入って来なさい」 前の扉を開けてレイが入って来た。 その容姿にクラス中の者が言葉を失った。 「・・碇レイです。宜しくお願いします」 レイは軽く頭を下げた。
あとがき レイ 「ふふふ、遂にこの物語が始まったの」 YUKI「よかったですな」 レイ 「ええ、次はイスラフェル、碇君と私のユニゾン、期待しているわよ」 YUKI「はいな、2Rでは、シンジ・レイのユニゾンです」(多分) レイ 「ふふふ、弐号機パイロットも出てないし、やはり死んだのね」 YUKI「いえ、●人目が・・・」 レイ 「そう・・・そう言う事なのね」 YUKI「そういうことですね・・・」 レイ 「次に期待しているわ」 YUKI「はいな」