P.M.2:01、ネルフ本部作戦部作戦立案室 ミサトや日向その他、数人の作戦部の人間が集まっていた。 「始めて」 1/1エヴァンゲリオン初号機バルーンダミーが、湖上の船の上に浮かんでいる。 バルーンダミーが使徒に接近したと同時に加粒子砲によって消滅させられた。 「ダミー蒸発!」 「次」 線路上を独12式自走臼砲が走って来た。 因みに未だUNのマークがついている。 独12式自走臼砲が誘導火砲を発射したが、肉眼ではっきりと確認できるほどのATフィールドに弾かれ、カウンターで消滅した。 「12式自走臼砲消滅!」 P.M.2:16 「これまでに採取したデーターによりますと目標は一定距離内の外敵を自動排除するものと思われます。」 日向が事務的に報告した。 「エリア進入と同時に加粒子砲で100%狙い撃ち・・・エヴァぁによる近接戦闘は危険過ぎるわね。」 ミサトは相当不利な状況にいる事が分かり額に汗を浮かべた。 「ATフィールドは?」 「健在です。相転移空間が肉眼で確認できるほど強力なものが展開されています。」 独12式自走臼砲が誘導火砲を発射したビデオが再生された。 「爆撃、誘導火砲のような生半可な攻撃では、痛い目を見るだけですね。こりゃ。」 「攻守ほぼパーペキ、まさに空中要塞ねぇ・・・で、問題のシールドは?」 「直系17.5メートルのシールドがネルフ本部に向かい穿孔中、明日0時6分54秒には22層全ての装甲隔壁を貫通しネルフ本部に到達するものと思われます。」 「後10時間足らずか・・・初号機の状況は?」 ミサトはケージに回線を繋いだ。 『胸部第3装甲まで見事に融解、でも機能中枢をやられなかったのは不幸中の幸いね。』 『後3秒照射されていたらアウトでした。』 リツコの解説に続けてマヤが付け足す。この2人のフォームのようだ。 『3時間後には換装作業終了予定よ。』 「弐号機は?」 『再起動自体には問題は有りませんが、フィードバックにまだ若干の誤差が残っています。』 『実戦は、』 「まだ無理か・・・」 ミサトは大きく息を吐いた。 「初号機パイロットの容態は?」 「体には問題ありませんが、まだ眠っています。強制覚醒は心理パルスを不安定にするため、余り薦められません」 「・・・状況は芳しくないわねぇ〜」 ミサトはボールペンを額に当てた。 「如何します?白旗でも揚げますか?」 日向が冗談を言った。 無論、白旗を揚げることは許されていないし、揚げたところで人外の物が敵では変わりは無いだろう。 「ナイス・アイデア!・・でもその前にチョッチやってみたい事があるの。」 「やってみたい事ですか・・・」 ミサトの顔には少し笑みが浮かんでいた。一方日向は少し戸惑っているようだ。 P.M.2:26、ネルフ本部総司令執務室 ミサトが作戦の許可を取りに来ていた。 「目標のレンジ外からの長距離射撃かね。」 冬月は報告書を机の上に戻した。 「はい、高エネルギー収束体による1点突破しかありません。」 「マギは?」 「賛成が2、条件付賛成が1でした。」 「作戦成功率は4.3%か・・・他に案はなかったのか?」 「カスパーから、勝率99%以上の案が2つ出されましたが、いずれもメルキオール、バルタザール両機の大反対により否決されています」 「因みに、どのような案だったんだ?」 「一つは、エヴァぁの零距離自爆です」 「当然却下だな」 「もう一つは、核弾頭を殲滅するまで打ち込むことです」 「却下だな」 「後は?」 「初号機弐号機を同時に使い、攪乱させながらATフィールドを中和、同時に、全火力を持って攻撃ですが、勝率は0.9%でした。」 「反対する理由は何も無い。存分にやりたまえ。」 「はい」 P.M.2:31、ネルフ本部技術部第3格納庫 リツコは計画書を捲った。 「これがねえぇ」 「時間内に実現可能、且、最も勝算が高い方法よ。」 「4.3%がねぇ・・・あの使徒のATフィールドを撃ち抜くのに要する出力は最低1億8000万キロワット・・でも、そんな出力、うちのこれじゃ持たないわよ。いったいどうする気?」 リツコはロールアウトしたばかりの陽電子砲を見ながら言った。 「決まってるジャン、借りるのよ。」 「借りるってまさか」 リツコは嫌な予感に顔を顰めた。 「そう、戦自研のプロトタイプ。」 P.M.3:26、筑波、戦略自衛隊付属研究所、第2格納庫、 ミサトが書類を出した。 「以上の理由により、只今より、自走陽電子砲は、特務機関ネルフが徴発いたします。」 「し、しかし、そんな無茶な」 「可能な限り原形をとどめて返却いたしますので、では、ご協力感謝致します。」 「アスカ、持っていって」 弐号機が格納庫の天井を開けて覗き込んだ。 研究者達がびびっている。 簡単に開くような天井で良いのだろうか・・・ P.M.3:51、双子山、仮司令部、 戦略自衛隊の技術部門の幹部がやって来た。 「今回の協力の条件に関してですが」 「・・・分かっています。協力お願いします」 リツコは頭を下げた。 「ところで、赤木博士」 「なんでしょうか?」 「今回の我々の協力は、あくまで、国防のためである事はお忘れなく」 「・・分かっています」 今回日本政府が出した条件は、費用はネルフ持ち、陽電子砲改造、整備等には、戦略自衛隊の者が当たり、ネルフは細部までは関与しないであった。 ????年?月??日????? 「シンジ君」 先生である。 「シンちゃん」 おばさんである。実の叔父叔母ではない。 「シンジ君のお勉強部屋を作ってあげたよ。今日からここで勉強するといい。」 「シンちゃんも来年から中学生だからねぇ」 「自分の部屋が欲しいと思ってね、庭に作ってあげたんだよ。」 「ありがとう、先生、おばさん。」 シンジは作り笑いを浮かべた。 翌日の夕方、雨の中、シンジは一人で傘もささずに歩いていた。 シンジは川原に大人用の自転車が捨ててあるのを見つけてそれにのって走り出した。 そして、普段は通りもしない道を走り派出所の前をわざと通った。 「其処の君止まりなさい。」 シンジは警官に呼び止められて止まった。 「その自転車は君のかな?」 「いえ・・・でも橋の下に捨ててあったから」 「嘘をついちゃいけないよ」 警官はシンジを初めから疑ってかかっている。ならば、シンジの物かどうか聞く必要は無いだろうに・・・ 「本当です嘘じゃない」 「話は中で聞こうか」 シンジは交番で尋問された。 「名前は?」 「六分儀シンジです。」 「住所は?」 「・・・・・・・」 「保護者の名前は?」 「六分儀、ゲンドウです。」 1時間半後、 おばさんが駆け込んできた。 「シンちゃん!」 「何て事をしたの!?自転車が欲しいなら言ってくれれば良かったのに」 「・・・ちが・・・」 (違うんだ、おばさん・・・・父さん、こんな時でも迎えに来てくれないんだね。母さん、もし母さんが生きていたら、迎えに来てくれた・・・・・・・?) 2015年8月1日(土曜日)P.M.5:01、ネルフ中央病院第2特別病室 シンジは目を開けた。 「・・・・母さん・・・・」 暫くして青葉がやって来た。 「やあ、シンジ君、もう気がついたかい?」 青葉は食事を持って来たようだ。 「あの・・・お兄さんは?」 ・・・・ 「そうなんだよ・・・オレ陰薄いんだよ・・・」 「この前だってさ・・・」 青葉は部屋の隅でいじけ始めた。 「あ、あの・・・」 「食事勝手に食べててくれ・・1時間後には出撃だ。」 「ぶつぶつぶつ・・・」 言う事だけ言った青葉は再びいじけ始めた。 凄く食べにくい・・・ ・・・・ ・・・・ 何か自分よりも酷い状況に置かれているらしい者を見て、誰にも相手にされなくなると言う事の辛さを思い出した。 (・・・僕にはエヴァに乗るしかないんだ・・・) P.M.10:45、双子山山頂仮設基地 ミサトとリツコに向き合ってシンジとアスカが立っている。 シンジはポジトロンスナイパーライフルを見た。 急造だけに様々なパーツが剥き出しになっており、素人目にもとても野戦に向くとは思えない。 「こんな野戦向きじゃない兵器使えるんですか?」 「仕方ないわよ、間に合わせなんだから、理論上は、これだけの大出力にも耐えられるわ、ただし、実際に撃って見ない限り、銃身や加速器が持つかどうかは分からないわ、こんな大出力で試射できるはず無いもの」 「・・そうですね」 「本作戦における担当を通告します。」 ミサトがライトの前に立って言った。 演出のつもりかあるいは顔を見られたくないのか、逆光でミサトの姿が見難い。 「シンジ君は初号機で砲手を担当、アスカは弐号機で防御を担当」 「なんでよ!!」 アスカが開口一番に叫んだ。 「これはシンジ君と初号機とのシンクロ率の方が高いからよ。今回はより精度の高いオペレーションが必要なの。」 リツコが理由を付け加える。 「納得がいかないわ!」 「これは作戦部の決定よ、従いなさいアスカ」 「嫌よ!!」 「命令よ、アスカ!」 「断るわ!!何でこんなずぶの素人に任せなきゃなんないのよ!!アタシの方が射撃訓練も受けているし、あたしが砲手をするべきよ!!」 「弐号機は起動したばかりで未だ調整が済んでいないからフィードバックに誤差が残っているの、今回は諦めなさい」 リツコが理由を付け加える。 「嫌よ!!」 一方のアスカは只我侭を言って駄駄を捏ねているだけである。 「・・・そう・・・プラントに行きたいの?」 リツコの言葉にアスカは恐怖し、体を振るわせた。 それを、ミサトは、赤木博士秘密研究室か何かだと思い納得した。 シンジもリツコがマッドだとミサトから聞かされていたので、アスカの反応で本当だったんだと、青ざめた。 「シンジ君、陽電子は地球の自転・磁場・重力の影響を受け直進しません。その誤差を修正するのを忘れないでね。」 「で、でも、そんな事まだ練習してないですよ。」 少し怯えも入っている。 「それは大丈夫、貴方はテキスト通りにやって、真ん中にマークが揃ったら撃てば良いのよ。後は機械がやってくれるわ。」 (相変わらずね) 「でも・・・・もし・・1発目が外れたら・・・?」 「2発目を撃つには冷却や再充填等に合計20秒以上掛かるわ。最終的にはアスカの盾に守ってもらう事になるわ。」 (2発目は考えるなって事か。) 「・・もし、途中で逃げ出そうなんてしたら、分かっているわね」 アスカは恐怖で唇まで紫にして震えている。 「時間よ、二人とも準備して」 「はい」 「・・・・・は、い・・・・」 12式大型発令車 中央に、ミサトとリツコが立ち、2人の脇にマヤ、前に、日向と碧南が座っている。 《東京標準時 23:59:57》 《東京標準時 23:59:58》 《東京標準時 23:59:59》 《東京標準時 00:00:00》 「作戦スタートです。」 日向がミサトに告げた。 「シンジ君、日本中のエネルギー貴方に預けるわ。」 『はい』 「第1次接続開始。第1から第6520区まで送電開始」 日向がレバーを起こすと、付近一帯を地鳴りのような音が包んだ。 「ヤシマ作戦スタート!!」 ミサトが作戦の開始を告げた。 「電圧上昇中、加圧水系へ。」 「全冷却機出力最大へ」 「陽電子流入順調なり」 「温度安定依然問題無し」 「第2次接続!」 「全加速器運転開始、強制収束機作動!」 エネルギーを示すメーターが順調に上がっている。 ネルフ本部第1発令所 「全電力双子山増設変電所へ」 発令所の明かりが落ちた。 「順調だな」 「ああ、全てシナリオ通りだ。」 双子山山頂エヴァンゲリオン初号機 『最終安全装置解除!』 『撃鉄起こせ』 初号機は撃鉄を起こした。 『第6次接続』 マークが真ん中に集まり始めた。 『誤差修正プラス0.0009』 『第7次最終接続、全エネルギーポジトロンライフルへ』 『カウントダウン開始10、9、!、目標内部に高エネルギー反応!!』 『まだ、先に撃てれば勝機はある』 マークが中心に集まった。 『撃てぇ!』 ミサトの叫びと同時にシンジはスイッチを押した。 初号機が引き金を引き、陽電子が打ち出されると同時に使徒の加粒子砲も発射され両方が交差し合い方向が反れた。 かなりの衝撃が走った。陽電子は使徒の少し横のビル街に着弾しエネルギーの柱が出来ていた。 加粒子砲は山の中腹に激突し、爆風が周囲の木々を薙ぎ倒した。 (ミスった!!) 『第2射急いで!!』 初号機は再度弾を込めた。 『ヒューズ交換』 『再充填開始!!』 『目標内部に再び高エネルギー反応!!』 『銃身冷却開始』 『使徒加粒子砲を発射!!』 正面が光り初号機が光に包まれた。 「!!、うわああああ!!!!」 シンジが思わず閉じた目を開けると、弐号機がシールドで加粒子砲を遮っていた。 「綾波!」 「早く」 マークが真ん中に集まりかけた。 シールドが溶け切り弐号機のボディに加粒子砲が着弾した。 「早く!」 弐号機が溶けていく。 マークが揃った。 シンジはスイッチを押し陽電子砲を発射させた。使徒を貫き陽電子が上空へと上がっていった。 弐号機が崩れ落ちた。 シンジはゆっくりと目を閉じた。
あとがき レイ 「ふふふ」 アスカ「こらあああ〜〜〜!!!」 YUKI「はべしっ!」 アスカ「なんじゃこりゃああ!!!」 YUKI「あがが!」 レイ 「高温のエントリープラグ内に閉じ込められた。生存は絶望的ね。」 アスカ「このアタシを殺しやがってぇええ〜〜〜〜〜!!!!!!」 アスカ「今まで黙ってみてたけども〜我慢ならん!!!」 YUKI「うきゅ〜」 レイ 「・・いよいよ、次は私の登場なの」 アスカ「うがあああ!!!」 YUKI「・・・・・」(気絶)