2月18日(木曜日)、ネルフ本部、シミュレーション司令室 今日は、先の精神攻撃を受けた二人のシンクロ関係のチェックがメインに行われていた。 「ふむ・・・」 リツコはデータをチェックしている。 「レイさんに若干の乱れがありますが、誤差修正範囲内です。」 「・・・少し微修正を行いましょう。この程度なら修正でなんとでもなるわ」 「分かりました。」 修正をしていくにつれて波形が更に完全なものへと近付いていく、 「良いわね・・・」 「ええ、」 ゼーレ、 「なぜ、槍を使用した?」 「この行為はゼーレへの反逆であるぞ」 「ロンギヌスの槍使用は私が提案しました。」 ユイの言葉に少しざわめきが起こった。 「あの状況では他に使徒を倒せる方法は有りませんでした・・・いえ、少なくともあの場では我々は思いつきませんでした。」 「使徒の殲滅は最優先のはずです。計画の遂行に固執し、使徒に負けてしまえば、本末転倒もいいところですよ」 「・・・我々が、それに代わる代案を出せなかった無能者であると言うことに関する処罰なら受けましょう。しかし、ロンギヌスの槍を使用した事に関する処罰を素直に受けると言う事はできません」 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ 「ロンギヌスの槍が失われた事で、計画は後退した。しかし、完全に絶たれたわけではない。」 「・・・計画の遂行に最善を尽くせ。処分に関しては検討し、後ほど伝える。」 ネルフ本部、総司令執務室、 「ユイ君、」 「・・・これくらいはしませんとね。」 「・・・」 「・・・今日のところはこれで帰ります。」 「ああ、」 「では、又な」 「ええ、」 ユイは帰っていった。 「・・・冬月、どう思う?」 「・・・やはり、良く分からんな。」 「・・そうだな・・・だが・・いや、良い」 「そうか」 2月19日(金曜日)、ネルフ本部、総司令執務室、 「ゼーレからの通告だ。」 「処分は、ロンギヌスの槍を使用するように提言し、それに代わる作戦の発案を封じ込めた碇ユイを降格処分とし、又、その案を受け入れ、計画の遂行を遅らせた六分儀ゲンドウと冬月コウゾウを減俸処分とするとある。」 「ふむ・・・」 「比較的軽い処分ですね」 「ああ、」 「我々の代わりはいないからな」 「もしもいたら、解任か?」 「死刑だろうな」 「・・・ところで、使徒は後2体となりましたが、裏で進められている計画の進度はどうなんですか?」 ・・・・ ・・・・ ・・・・ 「順調だ。実行はいつでも可能だ」 「後は、使徒を全て倒せば良い」 「・・・・・そうですか、私にも協力させてもらえますか?」 二人は驚いた。 「・・・調べたのかね?」 「ええ、色々と調べさせていただきました。はっきりとは分かりませんでしたが、後は推測で埋めました。」 「そうかね・・・」 「勿論、情報は漏らしていませんから、安心しください」 「・・・君の協力が得られるとすれば非常に嬉しい。」 「私もキョウコさんには又会いたいですしね・・・」 2月20日(土曜日)、ネルフ本部、総司令執務室、 「ユイ君、これが現在の状況だ。」 ユイは冬月からファイルを受け取り目を通す。 「・・・シミュレートがいまいち不十分ですね・・・」 「計画のシミュレートともなるとマギクラスのコンピューターがどうしても必要となる。ごまかしごまかし使ってきたが、それが限界だ。実際、もう少ししておきたいがな」 「・・シミュレートに関しては私の研究室のものを使いましょうか?マギにはかないませんがそれでも並みのスーパーコンピューターは凌駕しますし、委員会、いえゼーレに使用状況が流れることはそうそうありませんし、仮に流れたとしても、何かダミーを用意させられますが」 「そうしてくれると非常にありがたいな、」 「では、この後で全力でシミュレートさせますね」 「すまんな」 「いえ、この程度の事なら」 2月22日(月曜日)、昼休み、第3新東京市立第壱中学校、 シンジは弁当をアスカに渡した。 「はい、アスカ」 「ありがと、今日は一緒に食べよっか?」 「うん、良いわよ」 アスカは近くの机をシンジの机にくっ付けてその席に座った。 「さ、食べましょ」 「うん」 「私もいっしょに良いかしら?」 レイが弁当を片手にやってきた。 「うん、良いよ」 レイも近くの机をくっ付けてそれに座る。 「さ、今度こそ食べるわよ」 「ええ、」 「じゃあ、頂きます」 3人はそれぞれの弁当を食べ始めた。 「う〜ん・・・レイの弁当美味しそうね」 「そう?少し食べる?」 「ええ、頂戴、これ上げるから」 アスカはレイの弁当箱から一口オムレツを取り、代わりに卵焼きを自分の弁当箱から取ってレイの弁当箱に入れて、一口オムレツを食べた。 「このオムレツおいしいわね」 「そう言って貰えると嬉しいわ」 レイも卵焼きを食べる。 「うん、甘くておいしいわね」 レイの言葉でシンジは笑みを浮かべた。 2月23日(火曜日)、ネルフ本部、碇特別研究室、 冬月が尋ねて来た。 「お邪魔するよ」 「どうぞ、」 ユイはパソコンから冬月に方に体を向けた。 「シミュレーションの方をやっていてくれたようだね」 「ええ、順調と言えば順調ですが・・・残されている時間は少なそうですし、少し難しいかもしれませんね。」 「それは困ったな・・・まあ、元々想定外のことだ、構わんよ」 「そうですか・・・マギが使えれば、簡単なのですが、仕方有りませんね」 「・・・ところで、ユイ君、少し聞きたい事があってきたんだが、」 「・・なんでしょう?」 「・・・君の目的だよ、」 「・・・・目的、と言いますと?」 「そもそもなぜここに来たのかと言う事も含めてね」 「それは、生き残るためですわ、」 「・・・」 「・・そして、」 「そして?」 「・・・いえ、忘れてください。まだ始ったわけではありませんから、」 「・・・・」 冬月はじっとユイの目を見た。 「・・・・」 「・・・レイ君のことかな?」 ユイは軽く苦笑いを浮かべながら息を吐いた。 「その通りです。」 「・・そうか、」 「・・・私たちの都合である意味不自然な存在として生み出されてしまいましたからね・・・」 「・・・人の罪だな。」 「・・・ええ、」 重い雰囲気が、研究室を包んだが、それを警報のけたたましい音が破った。 第1発令所、 メインモニターにはリング状の使徒が映し出されている。 「目標は、外輪山を突破、強羅絶対防衛線に向かっています。」 「来たわね・・・3人は!?」 「現在ケージに向かっています。」 「発進可能まで800秒!」 「・・市街戦になるわね、各兵装ビルを展開、」 「了解」 ケージに3人が到着し、それぞれ搭乗する。 『現時点では、敵の能力は何もわかっていないわ、詳細が判明するまでは踏み込まないで』 「はい」 『良いわよ、』 『分かりました。』 『では、各機発進!』 Gが掛かり、射出される。 やがて、地上に出る。 『攻撃開始!』 ミサトの指示とともに、町のあちらこちらから様々な攻撃が、使徒に向けて行われる。 しかし、そのいずれもがATフィールドに阻まれ有効なダメージは与えられない。 初号機もスナイパーライフルを取り使徒に向けて放つ。 しかし、これも有効なダメージは与えられない。 『・・・ふむ・・・レイさん、ATフィールドを中和してくれる?』 『はい、』 『二人はサポートを』 「分かりました。」 『分かったわ』 零号機がビルなどの陰に隠れながら使徒に接近していく、その後ろを初号機と弐号機がついて行く。 そして零号機が中和距離に入ろうとした時、初号機は弐号機とぶつかってしまった。 「つっ、」 『いったいわねぇ、もっとしっかり気をつけなさいよ!』 「ご、ごめん」 『たくもぉ〜』 「ごめん、気をつけるよ」 シンジとアスカがそんな話をしていた時、警告音が鳴り響いた。 『「え?」』 『きゃああ!!!』 レイの悲鳴が響く。 見ると、リング状だった使徒が紐状になって零号機に突き刺さっていた。 「え?」 『シンジ君!アスカ!レイさんの救援急いで!』 ミサトの声で気づき慌てて零号機に向かう。 零号機の生体パーツが犯されているのか、零号機に葉脈か何かのような妙なラインが次々に浮かび上がる。 「碇!」 その時、使徒の、零号機に突き刺さっている部分とは反対の部分が、初号機に向かって襲い掛かってきた。 「うわっ」 何とか交わす。 使徒はそのまま横の弐号機に襲い掛かる。 弐号機はポジトロンライフルで使徒を撃ち、発生する爆発で使徒を弾いた。 零号機の侵蝕がどんどん広がっていく、 モニターにレイの姿が映し出される。 零号機にシンクロしているレイの体にも無数の葉脈のようなものが浮き出ている。 「碇!」 『レイ!』 零号機は第3新東京市の郊外に向けて走り始めた。 『レイ!!何をするつもりなの!!?』 ユイの叫びが響く、 『う・・、来ては駄目、』 追いかけようとした初号機と弐号機を制止する。 『大変です!!零号機の自爆装置が作動しました!!』 マヤの悲鳴のような声が聞こえる。 『レイ!!!』 『・・・これで倒せるわ、』 強靭なATフィールドを展開し、逃げようとする使徒を封じ込める。 初号機と弐号機は追いかけているが、速度が違う・・・ 「碇、駄目だ!」 『さっさと脱出しなさい!!』 『・・だめ、私がいなくなったらATフィールドが消えてしまう・・・』 『レイ!!逃げてお願い!!』 零号機の姿が山陰に隠れる。 次の瞬間、凄まじい光が周囲一体を包み、直ぐに凄まじい衝撃が広がる。 「くっ・・・」 本部第1発令所、 「レ・・・レイ・・・レイ〜〜!!」 ユイは、レイの名を叫びながら泣き始めた。 「・・・生存者の救出を急げ、」 「はい、」 碇の指示で、各部隊に指示が下される。 「・・ユイ君、」 冬月はユイを発令所の外に誘導した。 「・・はい・・」 「・・どうだ?」 「映像回復します。」 モニターには、山と山の間に大きなクレーターが出来ているのが映った。 「・・これは・・」 「・・絶望的・・かもしれないわね・・・」 地上、初号機、 「・・・アスカ・・碇・・・大丈夫かな・・?」 『・・・・』 アスカは目を伏せ答える事が出来なかった。 涙が溢れてくる。 六分儀の指示で直ぐに出動したネルフのヘリやVTOL機が爆心地の方に向かって飛んでいった。
あとがき アスカ「・・・・」 レイ 「・・・・」 アスカ「・・こんな結果になっちゃったわけ」 レイ 「・・・YUKIは?」 アスカ「ん〜・・見当たんないわね」 レイ 「・・・見つけ出して殲滅してくるわ・・」 アスカ「いってらっしゃ〜い」 ・・・・ ・・・・ アスカ「まあ、これで敵はいなくなったわね、後はシンジと結ばれるだけ♪ もう、アタシ達の道を阻むものはいないわ♪」 アスカ「・・・それにしてもYUKIの奴本気で逃げたようね。」 アスカ「しょうがないから、次回予告でもしてあげるわ」 アスカ「次回、友人であり仲間を失った二人はまるでお互いの、 そして自分の存在を確かめるかのように求め合う・・・ そうよそう、そんな感じでいいのよ、そして、指定作品へ・・・」 アスカ「・・・くすくすくすくす・・・」