2月10日(水曜日)、第3新東京市、第3新東京市立第壱中学校、2−A 本格的に疎開が始り、ただでさえ人が少なかった教室は、更に少なくなっている。 アスカとヒカリが、近付きつきあるバレンタインデーに関する相談をしている。 「で、ヒカリはもうチョコ用意したの?」 「うん・・・手作りで作るつもりで、用意は揃えたし、昨日練習もしてみたわよ」 「どう?上手くできた?」 「う〜ん・・・まあそれなりに上手くはできたと思うけど、もうちょっとって感じかな?」 「あら、そうなの・・・ところで、上げる相手は、やっぱあいつ?」 ヒカリは軽くはにかみながら頷く。 「そうなの」 「・・・ところで、アスカはどうするの?」 「え・・・」 アスカは固まってしまった。 「くすくす、ひょっとして碇君かしら?」 「あ、いや、その・・・」 アスカは、ほんのり顔を赤くして軽く俯いた。 「図星のようね、」 コクリと頷く、 「くすくす、チョコはどうするの?」 「うん・・・一応、デパートで買ったんだけど」 「ふ〜ん、用意良いわね、」 その後暫く、バレンタインデーの企画に関して話をしていた。 放課後、シンジ、レイ、アスカの3人がいっしょに帰路についている。 そして、レイと別れる交差点までやってきた。 「私はここで、おやすみなさい」 「おやすみ〜」 「おやすみ、またね」 レイと別れ二人は、ミサトのマンションに足を向ける。 「そうそう、シンジ」 「何?」 「日曜日、予定空いてる?」 「日曜?ん〜訓練も無かったし、空いてるよ」 「そう、じゃあアタシの為に予定空けといてね」 「あ、うん、分かったよ」 そして、ミサトのマンションに到着する。 「じゃあ、御飯作るから、適当に待ってて」 「分かったわ」 アスカはリビングに寝転んでテレビを見始め、シンジはキッチンにたって夕食の支度を始めた。 夜、アスカのマンション、 アスカは、綺麗に包装された大きなチョコレートを手に取った。 「・・・シンジ、喜んでくれるかなぁ〜」 色々と想像し、妄想に入り始める。 2月13日(土曜日)、ネルフ本部、シミュレーション司令室、 今日も、訓練が行われている。 「ふむ、順調ですね」 「ええ・・・ところで、リツコちゃん」 「何ですか?」 「明日は、バレンタインデーね」 「は?・・・あ、そう言えばそうですね。」 リツコは言われて気づいたようである。 「リツコちゃんは誰か、上げるような人いるのかしら?」 「あ・・・いえ、特に」 「あら、そう」 とは言うものの、リツコは何かを考え始めた。 訓練終了後、女子更衣室、 「レイ、アンタ、明日どうするの?」 「明日?バレンタインデー?」 「ええ、」 「日本では、女性が男性にチョコレートを送るのよね」 「そうよ」 「一応、用意しているけど・・・」 「・・・シンジ?」 どこか緊張した空気が流れる。 「ええ・・・アスカも、六分儀君に上げるのね」 「あたりまえでしょ、本命よ本命」 「・・・そう、私は・・・義理になるのかしら?」 ちょっと雰囲気が落ち着く、 「かしら?」 「六分儀君にしか送らないから」 「そう言う意味ね・・・でも、明日は、シンジはアタシとデートよ」 「・・・そう、今から渡してくるわ」 「あ、そう」 「じゃあ、又」 レイは、鞄を持って更衣室を出て行った。 シンジが、男子更衣室を出るとレイが待っていた。 「あ、碇、」 「六分儀君、ちょっと良い?」 「あ、うん」 レイは、鞄から包装されたチョコレートを取り出してシンジに差し出した。 「?」 「日本では、バレンタインデーに、男の人にチョコレートを送るんでしょ」 「あ、うん・・・ひょっとして僕に?」 軽く頷く、 「ええ、」 「でも、今日は確か」 「明日は、アスカとデートでしょ、だから今日、受け取ってくれる?」 「あ・・う、うん・・・」 「じゃあ、又月曜日に学校で、」 チョコレートを渡したレイは微笑みながら去っていった。 一方、残されたシンジは、アスカとデートと言う言葉が頭の中で反響していた。 夜、ミサトのマンション、シンジの部屋、 未だに、アスカとデートと言う言葉が頭の中で反響し、寝付けないでいた。 「・・・デート・・・そう言えば・・・」 今までアスカとしてきたことを色々と思い出す。 色々と一緒に買いに行ったりしてきた・・・・ 更に、止めに、何度もキスを・・・・ 「・・・・・・」 意識してしまい、シンジはぽっと顔を赤くした。 2月14日(日曜日)、朝、 アスカがやってきた。 「おはよ」 「あ・・・う、うん、おはよう」 顔が赤くなる。 その反応に、アスカは軽く首を傾げた。 「どしたの?」 「あ・・いや、その・・」 視線を逸らせるシンジの頭を両の掌ではさみこちらを向かせる。 「・・・どうしたの?」 「あ・・あいや、その・・」 「・・・・」 じっと見据えてくる。 「あの・・今日デートだって、碇から聞いてさ・・その、ね」 アスカは又首をかしげる。 「あ、いやさ、僕たちってさ」 アスカはふっと微笑み、顔を近づけてきて唇を奪った。 「・・・・・」 ・・・・ ・・・・ ・・・・ 長い長い口付け・・・それが終わりアスカがそっと離れる。 「アタシはシンジの事恋人だと思ってる。シンジの事が好き、シンジはアタシのことが嫌い?」 「そ、そんな事無いよ」 「だったら良いじゃない、それで十分じゃない」 「・・そうだね、」 アスカは鞄から綺麗に包装された大きなチョコレートを取り出した。 「受け取ってくれる?」 「・・あ・・ありがとう」 シンジは笑みを浮かべてチョコを受け取った。 「さっ、どっかデートにつれてってよ」 「そうだね・・・えっと・・・と、とりあえず、買い物にでも、」 そして、二人はショッピング街に買い物にやってきた。 ちらほらカップルの姿も見える。 「シンジ、腕くもっか?」 「え?・・・あ、うん」 二人は腕を組んで歩き始める。 (・・皆こっちを見てる・・・) その視線は、羨望と嫉妬を伴ったものである。 (・・なんか・・・恥ずかしいけど・・・なんか、得意な気分にもなるな・・・) 「いい気分でしょ」 「・・そうかもしれないね」 シンジは少し胸を張った。 夕方、たっぷりとデートを楽しんだ二人はミサトのマンションに戻ってきた。 「ふぃ〜楽しかったわね」 「そうだね」 「あんら、お帰りなさい」 ミサトが二人を出迎えた。 「シンちゃ〜ん、デートどうだった?」 「えっと・・その、楽しかったです。」 「そ、良かったわね」 「はい・・・じゃあ、御飯作りますね」 シンジは荷物を置いて、台所に歩いていった。 2月16日(火曜日)、ネルフ本部、第1発令所、 「目標を補足、」 メインモニターに衛星軌道上の使徒が映し出されている。 「・・・厄介ね・・・」 「・・・先ずは地上からの超長距離射撃から、零号機にポジトロンライフル、初号機と弐号機にスナイパーライフルを装備させて地上に射出、狙撃を仕掛け、有効なダメージが与えられるのならそれで良し、だめなら、次の手を考えましょう。」 「それで宜しいですか?」 「ああ、問題ない」 「ええ、」 『問題ありません。』 地上零号機、 (・・・アラエル・・・) 零号機はポジトロンライフルを構えた。 スナイパーバイサー越しにアラエルを捕らえる。 陽電子砲に次々にエネルギーが流れ込んでくる。 弐号機と初号機が放った弾が空へと飛んでいく、 『射程外です!届きません!』 『レイさん、お願いするわよ』 レイはコクリと頷いた。 『第5時最終接続完了』 『誤差修正±0.00002』 マークが重なると同時に引き金を引き、陽電子が発射される。 「・・どう?」 『弾かれました!!』 『出力が足りません!!』 「・・くる」 零号機は直ぐにその場を飛び離れ、その直後、使徒が放った光が辺りを包んだ。 『何!!?』 『詳細は不明です!!』 追尾してくる光を次々に避ける。 しかし、ついに捕まってしまう。 「くっ」 心に侵食される。 『直ぐに撤退させなさい!!』 『は、はい!!回収して!!』 何とか射出口に辿り着き、本部に回収される。 回収されるあいだ、レイは心を侵食された気持ち悪さに身を震わせていた。 第1発令所、 「・・どうする・・」 「ロンギヌスの槍を使う、」 「・・槍をですか?」 「しかし、委員会の許可も無く・・・」 「他に手段があるか?」 「・・そうですね、槍の使用は私も賛成です。ただ・・・・いえ、」 ユイは何かを言おうとして言葉をつぐんだ。 「・・・赤木博士、ファーストチルドレンの状態は?」 「・・・神経パルスに乱れが見られ、シンクロ率ハーモニクスも低下していますが、戦闘には問題ないかと、」 「それは、通常の戦闘においての話だ、先ほどの精神攻撃を再び受ければどうなるか分かったものではない、」 「零号機は待機、初号機と弐号機を使う」 「分かりました」 六分儀の指示を聞きユイは複雑な表情をしていた。 セントラルドグマのメインシャフトを弐号機が降下されている。 やがて、ターミナルドグマが見えてきた。 (・・・ターミナルドグマ・・・) リフトから降り、最深部へと向かう。 最深部にリリスが磔にされている。 リリスの胸に突き刺さっているロンギヌスの槍に手をかけ、力をこめて引き抜く、その瞬間リリスに下半身が生えた。 「・・・行くわ、」 弐号機は直ぐにリフトに戻った。 3機はケージに待機して、その中でミサトの説明を聞いている。 『良い、レイさんは、先ほどの攻撃でダメージを受けたわ、戦闘は確かに可能、でも、次ぎあの攻撃を受けたらどうなるか分からない、だから、ケージで待機して万が一に備えてもらうわ、』 シンジはゆっくりと頷いた。 モニターに映るレイは辛そうな表情を浮かべながらも、何か反論したそうだったが、暫く考えた結果結局素直に待機する事にしたようだ。 『そこで、先ず、ダミーを用意するわ、バルーンダミーをデコイとして用意して攻撃を受ける確率を下げる。その上で、更にどちらか一方が囮、もう一方が攻撃に回ってもらうわ』 「囮は」 『囮はアタシがやるわ』 「・・アスカ、」 『分かったわ、囮はアスカ弐号機ね、シンジ君頼んだわよ、アスカを守ってね』 「頼んだわよ」 シンジは力強く頷いた。 そして、作戦が開始された。 ダミーが次々に射出され、使徒が光を放ってくる。 その中、弐号機が射出され市内を走り回る。 そして、初号機が射出され、ロンギヌスの槍を構えた。 『きゃっ!』 『きゃああ!!!』 「アスカ!!」 『シンジ君!!貴方のする事をしなさい!!それでしかアスカは助けられないのよ!!』 シンジはきっと使徒をにらみつけ、そして加速しロンギヌスの槍を使徒に投げつけた。 ロンギヌスの槍が光の弾となって飛んでいく、 『いやっ!いやっやめてぇ〜〜!!』 「アスカ!!」 空で光が迸り、解放された弐号機が崩れ落ちた。 初号機は弐号機に掛けより抱き起こした。 「アスカ!アスカ!」 『ん・・・シンジ・・・』 「アスカ!」 シンジは喜びで涙を零し、その表情を見たアスカは微笑を浮かべた。 夜、ネルフ中央病院、 検査を終えたアスカは今、ベッドに寝ている。 その脇の椅子に座ってシンジがアスカの目覚めを待っている。 「・・・アスカ、」 そっと手を取る。 「・・ん・・」 アスカはゆっくりとまぶたを開き、その蒼い瞳が現れた。 「アスカ、」 「・・シンジ、」 「ありがとう」 二人は微笑を浮かべあった。
あとがき アスカ「よっしゃああああ〜〜〜!!!!」 YUKI「・・・・」(耳を押さえている) アスカ「自他共に認める恋人になったのよ〜〜〜!!!!」 YUKI「・・・・」(耳を押さえている) アスカ「・・・まあ、自他の自の方が後に来ると言うのが何ともいえないけど、」 YUKI「ご苦労様です」 アスカ「さて、YUKI」 YUKI「はい?」 アスカ「もう直ぐ2Aも完結ね♪」 YUKI「・・後は、アルミサエルとタブリスとゼーレの3つか」 アスカ「後3話か4話で完結、即ち、もう直ぐアタシとシンジのハッピーな日常が来る!」 レイ 「・・そう、アルミサエルがいるのね、」 アスカ「・・何が言いたいのよ」 レイ 「貴女が死んでも替わりはいるもの」 アスカ「それはアンタでしょうが!」 レイ 「だめ、この話では私は死んでも代わりはいないから」 YUKI「まあまあ」 アスカ「・・YUKI・・・」 YUKI「は、はい・・」(汗) アスカ「アタシを殺したら殺すわよ」 YUKI「りょ、りょうかいしました・・」(滝汗) レイ 「ふふふ、どうなるのか楽しみね」