立場の違い2A

第13話

◆ゼーレ、魂の座

12月9日(水曜日)、国際連合人類補完委員会。
《時にA.S.15年》
《第3の使徒》
《サキエル、襲来》
サキエルの映像が流れた。
サキエルと国際連合軍との戦いの映像である。
《使徒に対する通常兵器の効果は認められず》
《国際連合軍は作戦の遂行を断念》
《全権を特務機関『ネルフ』へ委譲》
《同深夜、ネルフ本部直上へ到達》
《当日、接収された》
《3人目の適格者》
シンジの顔が映った。
《六分儀シンジ》
《搭乗を承諾》
《エヴァンゲリオン初号機初出撃》
初号機が射出される様子が映し出された。
《ネルフ、初の実戦を経験》
《第一次直上会戦》
使徒に初号機が攻撃される様子が映し出されている。
《エヴァ初号機、頭部破損、制御不能》
《完全に沈黙》
《後、》
初号機が再起動した様子が映し出された。
《暴走》
《第参使徒及び初号機における》
《A.T.フィールドの発生を確認》
サキエルのATフィールドを初号機が破る所が映し出された。
《初号機、目標のATフィールドを侵食》
サキエルが自爆する様子が映し出された。
《使徒、殲滅》
《迎撃施設、一部破損、エヴァ初号機、中破》
《同事件における被害者の有無は公表されず。》
《『第3新東京市街戦』 中間報告書 責任者 作戦課長 葛城ミサト一尉》
『その結果として我の損害が極めて大なりとは言え、未知の目標に対し経験ゼロの少年が初陣に挑みこれを完遂せしめた事実、六分儀シンジ君の功績は特筆に値する物である。』
『只、作戦部としては、更なる問題点を浮き彫りにし、多々の問題点を浮き彫りにする苦渋の戦闘であった。』
《第4の使徒》
《シャムシェル、襲来》
迎撃の様子が映し出された。
《当時、地対空迎撃システム稼動率48.2%》
《第3新東京市戦闘形態への移行率96.8%》
《使徒、第3新東京市上空へ到達》
《第二次直上会戦》
初号機との戦闘の様子が映し出された。
《外部電源断線のアクシデントに見舞われるも》
初号機がシャムシェルのコアにプログナイフを突き立てた映像が流れた。
《使徒、殲滅》
《ネルフ、原型を留めた使徒のサンプルを入手》
《だが、分析結果の最終報告は未だ提出されず》
《第5の使徒》
第伍使徒が映し出された。
《ラミエル、襲来》
《難攻不落の目標に対し、》
《葛城一尉、ヤシマ作戦を提唱、承認される》
《最初の適格者》
アスカが映し出された
《エヴァ弐号機専属操縦者》
《綾波アスカ》
《凍結解除されたエヴァ弐号機にて、初出撃》
《同深夜使徒の一部、ジオフロントへ進入》
《ネルフ、ヤシマ作戦を断行》
狙撃の様子が映し出された。
《ヤシマ作戦、完遂》
《エヴァ弐号機、大破》
《だが、パイロットは無事生還》
《第6の使徒》
《ガギエルに、遭遇》
《旧伊東沖遭遇戦》
「シナリオから少し離れた事件だな」
「しかし、結果は予測範囲内です。修正は利きます。」
《一人目の適格者》
レイが映し出された。
《エヴァ零号機専属操縦者》
《碇レイ》
《エヴァ零号機にて、初出撃》
《海上での近接戦闘》
一連の戦闘が映し出された。
《内部電源が切れる前に、使徒、殲滅》
「この遭遇戦で多くの艦艇を失った。」
「失ったのは君の国の船だろう。本来は取るに足らん出来事だよ。」
「左様、この程度の被害で済んだのは又しても幸運だよ。」
《第7の使徒》
《イスラフェル、襲来》
1度目の戦いの映像が流された。
《初の分離・合体能力を有す》
《しかし、エヴァ初号機、同弐号機の二点同時加重攻撃にて》
2度目の戦いの様子が流された。
《使徒、殲滅》
《第8の使徒》
浅間山が映し出された。
《サンダルフォン、浅間山火口内にて発見》
《零号機の潜行による作戦の発動によって》
《使徒、殲滅》
《第9の使徒》
《マトリエル、襲来》
《エヴァ3機による同時作戦展開により》
《使徒、殲滅》
《第10の使徒》
人工衛星から撮られた第拾使徒の映像が流された。
《サハクィエル、襲来》
《成層圏より飛来する目標に対し》
使徒戦が映し出された。
《エヴァ3機による直接邀撃にて》
《使徒、殲滅》
《第11の使徒》
《襲来事実は、現在未確認》
《ネルフ本部へ直接侵入との流説あり》
「いかんなぁこれは」
「早過ぎる」
「左様、使徒がネルフ本部に侵入するとは予想外だよ」
「まして、セントラルドグマへの侵入を許すとはな」
「もし、接触が起これば全ての計画が水泡と化した所だ。」
「委員会への報告は誤報、使徒侵入の事実は有りませんよ。」
「では、六分儀、第拾壱使徒侵入の事実はないというのだな」
「はい」
「気をつけて喋りたまえ、六分儀君、この席での偽証は死に値するぞ」
「マギのデコーダーを調べてもらっても結構です。その事実は記録されておりません。」
「笑わせるな!事実の隠蔽は君の十八番ではないか」
「タイムスケジュールは死海文書の記述どおりに進んでおります。」
「まあいい、今回の君の罪と責任は言及しない。だが、君が新たなシナリオを作る必要は無い。」
「分かっております。全てはゼーレのシナリオ通りに」


昼過ぎ、ネルフ本部実験棟、初号機
『どうアスカ?初めて乗った初号機は?』
「ん〜どうかしら?零号機よりちょっと暖かいって言うか・・・ん〜良くわかんないわ」
・・・・
・・・・
『では、テスト終了、アスカ、上がって良いわよ』
「え?」
アスカの頭の中に映像が流れ込んで来た。


どこかの大学、
若い冬月が横を歩いている。
「先生、彼の事ですが、」
「ああ、彼か・・・どうかしたのかね」
「彼はゼーレの一員です。」
「そうか、まあ予想できた事だがな」
「私もゼーレに入る事にしました。」
「ちょっと待ってくれ!」
冬月は声を荒たてた。
「ゼーレは、悪魔の計画を進めようとしています。しかし、近いうちに、人類の存亡に関わる災厄が訪れます。」
「何?」
「ゼーレは、それを回避する為に全力をつくしています。」
「なるほどな・・例え支配する事ができる力があっても支配するものが無くては意味が無いという事か」
「私も、人類が滅亡しては困りますから、そこまでは協力します」
「しかし、それならば、国際組織や国の力を借りればいいのではないのか?」
「出きる事ならばやっています」
「・・・そうか」


どこかの部屋、
目の前に幼いアスカがいる。
「アスカちゃん」
「なに?」
「明日、芦ノ湖に行きましょうか?」
「あしのこ・・・ん〜、いく」
「それじゃ用意はしておくから、アスカちゃんは早く寝るようにね」
「うん」
アスカはベッドに潜り込んだ。
「ママ、おやすみなさい☆」
「ええ、お休み」
 

初号機、
『アスカ、どうしたの?』
「・・・何でも、無いわ・・・」


30分後、弐号機、
シンジが乗り込んでいた。
シンジは少し緊張気味である。
『エントリースタートしました。』
『LCL電化、第1次接続開始』
『どう、シンジ君?弐号機のエントリープラグは?』
「何だか変な気分です」
『違和感があるのかしら?』
「いえ・・・なんか、初号機よりも冷たいって言うかなんて言うか・・・」
・・・
・・・
『では、相互間テスト、セカンドステージに移行』
『弐号機、第2次コンタクトに入ります。』
・・・
『第3次接続を開始』
・・・
・・・
『A10神経接続開始』


司令室
「でも、先輩、シンジ君とアスカのパーソナルパターン良く似ていますね」
「だからこそシンクロ可能なのよ、多少の緊張があるのかしら?初号機ほどの数字は出ないけど、良い数字だわ」
「先輩、これを」
パーソナルパターンの線が1本にも見える。
「凄いわね」
「ええ、そうですね。」


何かが直接シンジの頭の中に流れ込んで来た。
「な、なんだこれ」
シンジは頭を押さえた。
アスカの映像が次々に見えた。
(アスカ?アスカだよなこれ)
突然、アスカが無気味な笑みを浮かべて近づいてくる映像が見えた。
シンジは意識を失った。


起動実験室、
弐号機が暴走を始め、拘束具を引き千切った。
「実験中止!電源を落として!」
リツコの指示で、直ぐにアンビリカルケーブルが切断された。
「完全停止まで30秒!」
弐号機は拳を振り上げ、司令室のガラスを殴りつけた。
超強化ガラスに無数の罅が入った。
ミサトはアスカがガラスの前に立って弐号機を見詰めている事に気付いた。
「アスカ!!」
アスカははっと気付き慌てて避難した。
再び殴りつけられガラスが飛び散った。
弐号機は動きを変え、頭を抱え、そして、壁に頭をぶつけ始めた。
やがて、内部電源が切れ、動きが止まった。
(まさか、弐号機がアスカを殴ろうとしたの?)
(・・・弐号機が殴りたかったのは私ね・・間違い無く・・)
両部長は全く異なる結果を導き出した。


総司令執務室、
「・・弐号機の暴走か・・・ダミーシステムの開発に心配を残すな・・」
「問題無い、その後の、アスカとのシンクロには成功している」
「・・そうか・・だがな・・・」


夕方、ネルフ中央病院、
アスカがシンジの見舞いに来た。
シンジは未だ眠ったままである。
「・・シンジ・・・」
アスカは、お見舞いの果物を棚に置き、ベッドの横の椅子に座ってシンジが目を覚ますのを待つ事にした。
どれだけ経ったのか、シンジがゆっくりと目を開いた。
「シンジ、」
アスカの声に、シンジはアスカの方に視線を向けた。
「大丈夫だった?」
「・・・何が・・あったの?」
アスカはシンジに一通りの事を説明したが、シンジはそれらの事は何も覚えてはいなかった。
シンジが軽く俯いていると、アスカはそっと近付いて、強烈なデコピンを食らわせた。
「いつっ!な、何するんだよ!」
「ほら、元気出た、」
「いや、元気って・・・」
「もっとしっかりしなさいよね、」
「あ、うん・・・」
「体の方は何とも無いらしいから、直ぐにでも退院できるって・・・どうする?」


その後、アスカはリツコに連絡を入れて、二人で帰る事に成った。
テレビ番組の事など取り留めの無いような話をしながら歩き、やがて、二人が別れる交差点までやって来た。
「じゃ、又、明日学校で」
「あ、うん、又明日、」
二人は、別れ、それぞれの家の向かう道を歩んだ。

あとがき
アスカ「む・・・」
YUKI「どうなされた?」
アスカ「まあ、及第点をあげるわ」
YUKI「で、ですか・・・」
レイ 「・・・私、出てない・・・」
アスカ「ふ〜んだ、ヒロイン落ちたんだから当然でしょ!」
YUKI「まあ、元の話が話ですからねぇ」
レイ 「・・・」
YUKI「つ、次は出番ありますから」
レイ 「・・そう、良かったわね」
アスカ「次は、アタシとシンジのキスシーンね!!」
レイ (にや)
アスカ「あ・・YUKI!!どうなるのよ!!」
YUKI「まだ秘密!」(逃亡)
アスカ「待ちなさい!!」