10月18日(日曜日)A.M.11:34、第3新東京市ショッピング街。 西武百貨店の正面前でアスカがシンジを待っていた。 シンジがやって来た。 「ごめん待たせちゃって・・・待った?」 「ん?ちょっとね」 「ごめん」 「そん代わり、昼おごんなさいよ」 「うん、わかったよ」 二人は百貨店の中に入った。 二人は6階の女性用水着のコーナーに来た。 アスカは赤と白のツートンカラーの水着を手に取った。 「見て見て、シンジ、こんなのどう?」 「ちょっと・・派手・・過ぎない?」 「も〜シンジったら、つまんないわね」 アスカはその後、様々な水着を試着したりシンジに見せたりしていたが、結局、最初の水着を買ったのだが、1万7200円の水着を8213円まで値切った。店員は泣いていた・・・。 屋上レストラン 「修学旅行は沖縄か〜」 「そうよ、思いっきり潜るわ。」 「スキューバーか、初めてなんだけど・・・」 「大丈夫よ、このアタシが手取り足取り教えてあげるわよ」 先ほどから周囲の視線が痛い。 「あ・・うん、ありがと」 10月19日(月曜日)第3新東京市市内、公園、 シンジは丁度買い物の帰りにレイと出くわして一緒に歩いていた。 「碇、明日はいよいよ、修学旅行だね」 「・・・修学旅行?行けないわよ」 「え?どうして?」 シンジは、レイに何か用事でもあるのかと思い尋ねた。 「本部待機、いつ使徒が来るか分からないもの」 「あ・・・・」 それはシンジにも、勿論当てはまる事である。 「葛城1尉から聞かなかったの?」 シンジは大きな溜め息をついた。 「くそっ、明日だよ・・・もう、とっくに用意しちゃったよ・・・・」 「何とかミサトさんをぐ〜っと言わしたいな」 「方法はあるけど、」 シンジはレイの顔を見た。 P.M.7:02、葛城ミサト宅台所 丁度アスカが夕飯を食べに来ていた。 そして、その場で、ミサトから、今、修学旅行に行けない事を聞かされた。 「え〜!!修学旅行に行くなですって!!」 「そう」 ミサトはビールを飲みながら平然と答えた。 「どうして!」 「緊急事態に備えての待機、まさかエヴァぁのパイロット3人ともがここを離れるわけには行かないでしょ」 「・・・まあ、確かに、でも、もう明日よ!一体どこの誰がこんな時に決めたのよ!」 「作戦部長の私」 シンジは落ちつた様子で目の前で起きている口論を無視して御飯を食べている。 「ちょっとシンジ、あんたもなんか言いなさいよ!」 シンジは味噌汁を飲んだ。 「・・一つ聞いて良いですか?」 「な、何かしら?」 シンジの極端に落ち着いた雰囲気にミサトは少し戸惑っている。 「・・今日、碇から聞いたんですけど・・・どうして作戦部長たるミサトさんとは、毎日顔を会わせているのに、今ごろになって言うんですか?」 箸を進めながらあまり抑揚を付けずに尋ねた。 「え?そ、それは、今朝決めて、レイには、ユイ博士の方から連絡、行ったんじゃないかしら?」 まさか、ずっと忘れてて今しがた思い出したとは言えないミサトは下手な誤魔化しをかけた。 「・・・碇がユイさんから聞いたのは、先週だそうですが・・・」 「そ、それは・・・」 シンジはコロッケを口に運んだ。 「ミサト、いったいどう言う事〜?」 「そんなのどうでも良いでしょうが、それに先週の中間テスト、あんた達成績落ちてるでしょ。勉強できる良いチャンスじゃない」 ミサトは話を誤魔化した。 「なっ」 アスカの表情が変わった。因みにどのくらいの落ち方かと言うと、シンジは、5番から7番に、アスカは、万年トップから2番になった。しかし、良く考えると、アスカはレイがいたせい、シンジもレイが割り込んだので実際は1番順位が落ちただけ。しかも、アスカの得点は491点で3位のヒカリとは70点以上の開きがある。 「私が知らないとでも思った?」 「ぐっ」 アスカが弱みを攻撃され劣勢になった。 シンジはレイから教わった攻撃方法を使った。 「・・・又、聞きますけど、アスカや碇はどうか知りませんけど、僕は正式に書類を持って契約を交わしたわけではありませんから、結局のところ、親の仕事の手伝いをする孝行息子と言う立場です。ヴォランティアで、私生活にまで制限くらいたくありませんね・・」 「うぐ〜〜」 シンジは細く笑んだ。 「で、でも、これは、ネルフの決定なのよ、司令だって認めたし」 ミサトは奥の手を使った。ネルフの権限は一般人にも有効である。 「・・そうですね、確かにそうなんですよね。でも、権力によって人を動かすには、それなりの力というものが要ります。それが、経済的な力なのか、論理的な力なのか、感情的な力なのか、思想的な力なのか、文字通りの力なのか、それは知りません。ネルフの持つ最大の力は、NN兵器ですらも通用しないATフィールドを展開できるエヴァンゲリオンです。そして、そのエヴァは、僕達パイロットの意志の元で動くと言う事を忘れていないでしょうね・・」 「そ、それは、」 まさかシンジがそんな事を言うとは思わなかったと言うよりも、シンジに教えられる事になるとは思ってもいなかったミサトは汗を流した。 「僕達を、エヴァに乗せるために監禁する事も、無理やりエントリープラグに入れることも出来るでしょう。でも、使徒と戦う事を強制する事は出来ないんですよ。むしろ、余り、無茶をすると、使徒以上に厄介なものになるでしょうね」 「ぐ〜〜〜〜」 「そして、それを無くす為に薬を使ったり、洗脳や催眠を使用した場合、エヴァとのシンクロに重大に支障が発生し、大幅な戦力低下、場合によっては、暴走によって本部施設の崩壊も想定される。」 ミサトは頭を抱えて、反撃の手を考え込んだ。 「シンジ、アンタが本当にそれ考えたの?」 「いや、碇に教えてもらったんだ。ミサトさんのせいでしなくても良い用意をしちゃったからね、」 「でも、いい気味ね」 二人は悩みこんでいるミサトを放って、夕食を済ませた。 10月22日(木曜日)A.M.10:00、ネルフ本部保養施設室内プール、 レイは水着に着替えてプールサイドに来た。シンジは着替えずに、プールサイドで勉強をしている様だ。 レイが1番コースの飛び込み台に乗った時に、アスカが水着に着替えて更衣室から出てきた。 飛び込み背泳ぎを始めた。 (水の中は気持ち良い・・・) シンジとアスカが何かを話している。 「何?こんな問題も解けないわけ?」 「・・・しょうがないだろ、」 「ふ〜ん、三角錐台の体積か、簡単じゃんこんなの」 アスカは直ぐに計算式を書いた。 「流石だね」 レイは50メートルを泳ぎ切ると折り返した。 数回往復して水から上がる事にした。 その時、丁度アスカが1.4メートルしかないプールに酸素ボンベなどをつけて飛び込んだ。 レイはプールサイドに置かれている椅子を倒してそれに寝そべって目を閉じた。 その頃、浅間山火山活動調査所。 浅間山の火口の中に不審な影があるという報告を受けて、ミサトは日向を連れてここに来ていた。 「観測機降下開始」 ・・・ ・・・ 「深度650」 「深度700」 「依然反応無し」 ・・・ 「深度1800」 「もう限界ですよ。」 「壊れたらウチで弁償します。後500お願いします。」 主任が小さくガッツポーズをした。 「深度1850」 「反応がありました、分析開始!」 日向が叫んだ。 ・・・ 反応が消えた。 「大破しました」 「どう?」 「ぎりぎりですが間に合いました。パターン青です。」 ミサトは所長の方を振り返った。 「以後、この件に関する一切の指揮権はネルフが取ります。尚、過去24時間の一切の情報を封鎖します。」 一般職員を退室させると日向は直ぐに映像などの分析に掛かった。 「・・・葛城さん、これを」 モニターには使徒の幼体らしきものが映っていた。 「・・・日向君、使徒捕獲の最優先の特令何だっけ?」 「え?確か、A−17だったと思いますが・・・あれは、」 「そっ、ありがとね」 笑顔で礼を言いミサトは電話を掛ける為に部屋を出て行った。 ミサトに恋心を寄せている日向は、それだけで舞い上がり、とてつもなく重要な事を知らせ損ねた。 廊下、 ミサトは本部に電話を掛けた。 「六分儀司令に、A−17の発令を要請して」 『気をつけてください、これは通常回線です』 「分かってるわよ、さっさと特別回線に切り替えなさい」 『しかし、本気ですか?A−17は、』 「分かってるわよ、早くしなさい」 『は、はい』 ネルフ本部、総司令執務室、 「青葉2尉、用件は?」 「あっ、はい、浅間山の葛城1尉から、A−17の発令要請が」 「A−17!?」 冬月が叫んだ。 「・・こちらから打って出るか・・」 「六分儀、まさか、」 「生きた使徒、最高のサンプルだ」 A.M.11:24、人類補完委員会。 「A−17?こちらから打って出るつもりか」 「使徒を捕獲するつもりか」 「しかし、その危険は大き過ぎるのではないか?」 「左様、セカンドインパクトの二の舞とも成りかねない。」 「生きた使徒のサンプル、これがいかに重大な物であるかは自明の理です。」 「・・・博士は、どう思うかね?」 ユイの姿が現れた。 2人は沈黙した。 目が笑っていない。 「A−17が、発令された場合、現有資産の凍結を含む様々な命令が出される。その際の被害推定は、日本のGDP1日分、約1兆円、そして、世界中で日本企業の株、円、国債、社債が売られる。そして、関連する主要先進国の企業が大打撃を受ける。被害は最低でも10兆に達するでしょう。そして、その影響は、先進国では失業、経済不安、後復興国では、難民、避難民の発生・・・多くの人命が失われる事に成る。」 「まさか、そんな事が分からない貴方達じゃないわよね♪」 2人は汗をかいた。 「と、言う事だ。六分儀、A−17の発令は許さん」 キールはにやりと嫌な笑みを浮かべた。 2時間後、浅間山に零号機と初号機、弐号機、が到着した。 この周辺のみ厳戒体制が敷かれている。 零号機にはD型装備を取り付けている。 「レイ、頼んだわ」 「うん」 レイは零号機に乗りこんだ。 ユイは司令室に向かった。 火口、 零号機は、ケーブルにつるされ、残る2機が火口で待機している。 零号機は、低温冷媒が入ったタンクを背中に背負っている。 冷却用のものではなく、使徒を内圧で倒す、若しくは、温度差で構成組織を破壊するためである。 ケーブルはクレーンに繋がれているもの以外に、両機がその端を持っている物がある。 これは、いざと言う時、零号機を引っ張り上げる為のものである。 作戦が開始され、零号機が火口に向かって下ろされていった。 零号機、 「・・・少し暑い・・・」 レイは軽く汗を掻き始めている。 『冷却装置の出力を上げて』 『了解』 少し振動音がし始め、早速温度が下がり始めた。 が、プラグだけではなく、シンクロしているエヴァも冷やさないと暑い。 極論、プラグ内が冷たく、エヴァの外が熱ければ、本当に訳の分からない感覚になるだろう。 『深度、800』 『レイ、大丈夫?』 「問題無いわ」 それは、作戦の遂行には問題ないという意味であって、嫌な事には変わりは無いだろう。 浅間山、司令室、 「深度、1800」 「レイ、大丈夫?」 『・・やっぱり暑い・・』 「冷却速度を上げて」 「了解」 「冷却速度限界です。」 先ほどからユイが取り仕切っている為、ミサトはやることが無く椅子にドカッと座って、モニターに目をやっている。 ・・・・ ・・・・ ・・・・ 「深度、2000、予想敵出現地です。」 『・・・・目標、確認できません。』 「予想よりも対流の流れが速いみたいですね。」 「後、どの位行ける?」 「安全深度まで200、限界深度まで700です。」 「後・・600行くわね。」 ・・・・ ・・・・ ・・・・ ・・・・ ・・・・ 「深度、2700、限界深度です。」 「む〜」 ユイの眉間に皺が寄った。 玉のような汗を大量に浮かべ、レイはかなり暑そうだ。 『まだ・・まだ行けます』 「・・・初号機、弐号機スタンバイ、作戦続行して」 サブモニターに映る両機はいつでも引き上げられる準備をしている。 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ユイは、モニターをじっと見詰めた。 「深度、3100、敵予想出現位置です」 『・・・目標、確認・・』 「接触のチャンスは一度です」 「レイ、頼んだわよ」 レイは頷いた。 零号機は、使徒に接近し、繭状の薄いATフィールドを中和し、低温冷媒を一気に噴き掛けた。 一瞬で、気化し、使徒の体が内部で膨らむ圧力に耐え切れずに崩壊した。 「パターンブルー、消滅を確認」 「レイ、御苦労様」 レイは笑みを浮かべた。 温泉宿、 「「「「「かんぱ〜い」」」」」 5人は勝利を祝い乾杯した。 「おめでとう」 「ありがとう」 そして、次第に宴会化していく。 アルコール類が大量に投入され、何時しか、ユイも含めた4人は酔いつぶれてしまった。 「ん〜、しょ〜がないわね〜、もっと飲も、どうせネルフの払いだし」 10月23日(金曜日)、ネルフ本部技術棟、 ユイは二日酔いの頭を抱えている。 「大丈夫ですか?」 リツコが心配そうに声をかけた。 「昨日、羽目を外し過ぎちゃって・・子供達には申し訳無い事をしたわ」 3人は自宅療養中である。 総司令執務室、 「・・葛城1尉・・・、チルドレンに酒を飲ませたそうだな」 「あ・・・は、はい・・・」 「そのせいで、現在、ネルフの戦力は、実質ゼロとなっている。」 ミサトは汗をだらだら流した。 「3階級降格と70%減俸2年間」 「はうっ!」 「・・六分儀、葛城准尉はシンジ君と同居しているのだぞ、減俸はチルドレンの生活に影響が出るぞ」 「・・・残業1000時間」 ミサトを苛める事でストレスを発散していた。
あとがき YUKI「ふむ・・・」 アスカ「シンジとデート♪シンジとデート♪」 YUKI「・・・」 アスカ「むふふ」 YUKI「・・・ところでさ、」 アスカ「あによ?」 YUKI「そんなに嬉しい?」 アスカ「当たり前でしょ」 YUKI「・・使徒は良いの?」 アスカ「アタシはシンジとの愛に生きるのよ!」 YUKI「・・はあ」 アスカ「さ〜てと、次は、静止した闇でか、う〜ん、真っ暗闇で、むふふ」 YUKI(大汗) アスカ「期待してるわよゥ」 YUKI(滝汗) YUKI(触らぬ神にたたり無し)