間も無く、サハクィエルが来る。 ・・・・あの使徒相手に何か打つ手はあるのか? 詳細なデータを見たわけではないが、難しい・・・いや、かなり難しいと言えるだろう。 しかも、前回と比較して明らかに、私のシンクロ率はシンジよりも低い。 レイのシンクロ率が高いと言うのが、レイが高い事に依存するのかセカンドが低い事に依存するのかは分からんが・・・ この使徒が厄介である事には変わり無い。 「うむぅ・・・」 「何柄でもなく悩んでんのよ?」 セカンドか・・・ 「・・・悩むと言う言葉を知らないお前には言われたく、」 ギロッと効果音がつきそうな勢いで睨まれた。 ・・・・うむ・・・・・ 翌々日、学校で、テストの結果が張り出されていた。 おお・・・第1位、綾波レイ500点満点。 流石だ。 流石はレイだ。 第2位、洞木ヒカリ?何?431点? ちょっと待て・・・私は? 第3・・7・・・11・・・16・・・22・・・31・・・35、 第35位・・碇シンジ・・・0点!!!!??? ば!馬鹿な!何故この私が0点などと!! むぅ・・・衆目の目が気に成る。 こ、こいつ等・・・この私の事を馬鹿だと思っているな! 「・・碇君、ちょっと来なさい、」 むぅ、教師か、どう言う事なのか問い詰めてやる! ・・・・ 「君の解答用紙なんだが・・・全部出席番号が間違っているから0点だよ」 「なに!!!??」 「碇君の出席番号は3番、2番は綾波さんだね」 ぐはあああ〜〜〜〜!!!! 「因みに、解答自体は497点だったよ」 うむぅ・・・全然嬉しくない・・・・ ・・・・ ・・・・ 「はははは!!ばっかじゃないの!!?」 「そう言う貴様はどうなんだ、大卒の癖に324点しかなかったが、」 「あ〜、漢字が読めなかったのよ、でもね、ぷふふふ、あんたにゃまけるわ!あはは!」 ぐぅう、屈辱だ・・・ 何故こんなセカンドのような小娘に馬鹿にされねばならんのだ。 翌日、遂にサハクィエルが現れた。 ネルフ本部の作戦会議室に呼び出された。 赤木博士からサハクィエルに関して色々と説明されている。 むぅ・・・かなり状況は拙いな・・・・ 「作戦を通告します。」 「貴方達の仕事は、落下してくる使徒をエヴァ3体によって受け止め、コアを破壊する事です。」 ・・・・ 「え〜!!・・・受け止める!?」 セカンドが叫んで手を見た。 「そう、それしかないの、」 「作戦といえるの?それが?」 「・・・そうね、言えないわね。だから拒否することもできるわ。」 因みに、私は元々作戦の拒否権があるぞ・・・最近それだけでなく階級やその他の契約の方も給金を除けばいい加減になっているぞ・・・まあ、この場合は他に手は無いから仕方が無いと言えるが・・・ 暫く4人とも黙っていた。 「一応、規定では遺書を書くことになっているけど、どうする?」 「別にいいわ」 「私もいいわ」 「そんなもの必要無い」 この世界に、私が遺書を残す相手はいない。 しいて言えば・・ユイなのだろうがな・・・ 「・・・・そう、作戦、成功したらこ〜んな分厚いステーキ奢ってあげるから。」 葛城1尉は親指と中指で肉の厚さを示した。 「本当!?」 「神戸牛か?」 葛城1尉の動きが止まった。 「・・・え?」 「神戸牛の最上級品だと、一人で10万はするぞ」 「・・・・・・」 「どうなの?」 「・・・・・・」 「・・私お肉嫌い、」 むっ、しまった・・・それを忘れていた・・・ 「そ、そうね、レイも一緒に行けないんじゃあ駄目ね、別のものにしましょ!」 滅茶苦茶嬉しいそうだな・・・ まあ、仕方ないか・・・ 「じゃ、じゃあ・・・その・・・か、考えておくわ、」 逃げおった。 「ふん、まあ良いわ、たっぷりとおごってもらうわ」 セカンドは、雑誌を捲り始めた・・・普段からそんなもの持ち歩いているのか・・・ まあ、そんな事はどうでも良いが、 さて・・・作戦の開始までは、未だ時間があるな。 待機中にレイの所に行った。 「・・レイ、」 「・・何?」 「ちょっと良いか?」 「・・構わないわ」 レイの横に座る。 暫く沈黙が流れた。 「・・・レイ・・・」 「・・・・」 「・・・私がお前を護る・・・どんな事があってもな・・・」 そう・・・今の私には、せめて護る事くらいしか出来ないからな・・・ 「・・・そう・・・」 「・・ああ・・・先に行く、」 私は一足先にケージに向かった。 搭乗を済ませ、今は、地上で待機している。 サハクィエルか・・・果たして・・・・ 私は、天空を見上げた。 この上にいる。 『目標、第3新東京市直上に確認しました!』 モニターに望遠映像が映し出された。 未だ、不鮮明だな・・・ 『目標落下を開始!』 『マギ演算開始します!』 モニターに地図が表示され、予想落下範囲が表示される。 私は初号機を全力で走らせた。 予想範囲が狭まり中心が修正される度に、方向に微修正を加えていく。 遥か上空にはサハクィエルが見えている。 ・・・でかい・・・・ 桁外れのでかさだ・・・ 障害物を飛び越え突き破り、中心を目指す。 受け止められるのか・・・? いや、受け止めなくては成らないのだ。 力を振り絞って走らせる。 雲を突き破った。 全空がサハクィエルの巨体に覆われている。 「ここだ!」 落下の中心点に辿りついた。 「ATフィールド全開!!」 強靭なATフィールドを展開する。 「ぐおおおお!!!」 凄まじい圧力だ。 ぜ、全身が破壊されそうだ。 「あああああああああ!!!!!」 激痛が、し、死にそうだ・・・ 「ぎゃあああああ!!!!!」 だが・・・逃げるわけには・・・ 突然圧力が一気に軽減した。 周囲を見ると零号機がサハクィエルを支えていた。 「・・・レイ・・・」 弐号機が突進してくる。 「・・・遅すぎる」 支えるのレイに任せ、私はATフィールドの中和に専念する。 漸く到着した弐号機はそのまま跳び上がり、プログナイフでコアを破壊した。 瞬間、全てが光に飲まれた。 私は病院で目を覚ました。 どうやら、あのまま意識を失ったらしい。 「・・・目、覚めたのね・・」 レイが横の椅子に座っている。 ずっと看ていてくれたのか、 「・・・看ていてくれたのか?」 軽く頷く・・ 「・・今度は最後まで、貫き通したわね・・・ありがと・・」 そう言い残しレイは去って行った。 ・・・今度は? ・・・ヤシマ作戦の時の事か・・・ 確かに、あの時は意識を手放したからな・・・ ・・・・ふぅ・・・ しかし、いや・・まあ良い・・・問題無い・・・