贖罪

◆第6話表

「お茶」
「・・・」
「お茶って言っているのよ」
「誰に向かって物を言っている」
「召使」
ピク
「なんだと」
「何?やるって言うの?」
・・・・
「私は、佐官だぞ」
「ここは、ネルフじゃないわよ、大体、大した戦力も無いくせに、ぐだぐだと・・・・」
・・・・
・・・・
ぐぅ・・・長い・・・
・・・・
・・・・
「これで分かったでしょ、もう、この惣流アスカラングレー様に逆らわない事ね」
くっ、屈辱だ・・・


何故、私が掃除、洗濯、料理、全てをやらねば成らんのだ、
大体貴様の染みのついたパンツを何故この私が洗わねば成らんのだ、その上、洗ってやったら、変態だと!
料理も料理、塩が足りないたら、濃いたら、脂っこいたら、味気ないたら、お前は料理評論家か!
風呂も風呂だ。熱いタラ温いたら、自分で勝手に温度調節くらいしろ!
と、言ったら・・・殺されるな。
・・・・・
・・・・・
はぁ・・・・
本気で、召使にされているぞ。
・・・・・
・・・・・
む、そうだ。この家にはもう一人いる事を思い出し、叩き起こしに行く、
部屋に入ると・・・・
むぅ・・・問題無い・・・
一瞬、ゴミ最終埋めたて処分場かとも思ったが・・・・まあ、問題無い。
・・・・まあ、掃除は諦めた方がよさそうだな・・・
「こら、起きろ!」
「うみゅ〜」
「起きんか!」
「む〜」
「どぶご!」
パンチが飛んできたぞ・・・
くそっ
・・・・・
・・・・・
・・・・・
・・・・・
かなり格闘した挙句、漸く起こす事に成功した。
「飯を作れ」
「は?」
「飯を作れと行ったのだ」
「何で私が」
なめているのか、葛城1尉、
「・・・チルドレンの保護管理は貴様の仕事では成ったのか?」
「・・ああ、そうだったわね」
葛城1尉はのろのろとキッチンの方に歩いて行った。
全く・・・
・・・・
・・・・
・・・・
30分後、食卓の上に、カレーが並んでいる。
「うむ」
良し、
「頂きます」
「うむ、頂こう」
・・・・・・・・
・・・・・・・・
「ぐおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
「な、なんじゃこりゃ!!!!」
「ま、まずうぅ〜〜〜!!!!」
「なっなによ!こんなに美味しいじゃない!」
なんだと!
「ざけんじゃないわよ!!」
「こんなもんがくえるかぁ!!!!」
ちゃぶ台返し!
「なっなにすんのよ!」
「ふざけるな!!こんな毒物を食わせやがって!!」
「そうよ!!この惣流アスカラングレー様を殺す気!!?」
おっ、セカンド気が合うな
・・・・・
・・・・・
・・・・・
くっ・・・結局私が作ることで決着がついてしまった。
・・・・何故だ?
・・・まあ、あんな物を食わされるよりはマシか・・・
取り敢えず、野菜でも炒めるか・・・・
「味薄いわね」
「文句あるのか?」
「もっとちゃんとしなさい」
「だったら、食うな、葛城1尉に作ってもらえ」
物凄く嫌そうな顔をしたな。
「・・・仕方ないわね・・」
しぶしぶ食べ始める。
「そ、そんなに食べたくないって言うの!?」
「当たり前だ!!」
「当然よ!!」
「・・・・いじいじ・・・・」
ふっ、食事を握ったな。
これで、セカンドへの強力なカードが1枚手に入った事になる。


まあ、そんな事で何日か経ったのだが・・・・
葛城1尉から、今、修学旅行に行けない事を聞かされた。
「え〜!!修学旅行に行くなですって!!」
「そう」
「どうして!」
「緊急事態に備えての待機、まさかエヴァぁのパイロット3人ともがここを離れるわけには行かないでしょ」
「そんなの聞いてないわよ!」
「今、言ったでしょ」
「誰が決めたのよ!」
「作戦部長の私」
まあ、どうでも良い事なので、無視して味噌汁を飲む。
「ちょっとサード、あんたもなんか言いなさいよ!」
「元々行く気など無い」
「ふん、飼い慣らされた男なんてさいってい!」
「馬鹿な餓鬼どもと騒いで何が面白い?」
「・・・・」


数日後、本部に呼び出された。
「・・サンダルフォンか・・・」
「シ、シンジ君!い、今、なんて言ったの!?」
赤木博士に聞こえたか・・むぅ・・拙いか?
「何か言ったか?」
「い、今・・・い、いえ、何でも無いわ・・・」
「・・・じゃあ、作戦を説明するわね。D型装備を使って、火口内に直接潜り、これを捕獲」
「反対する」
「あんでよ!」
「使徒は発見次第即時殲滅すべき存在だ。特に、今回はその費用を大幅に削減できるチャンスだ。」
「これを捕獲できれば、その後の使徒の研究に役立ち、使徒戦全体に大きく貢献する事になるわ」
「だいたい、高温高圧の中でD型装備・・・わざわざ無防備な姿を曝しているとしかおもえんな」
「なによ!けちつける気!?」
「そのつもりだ」
火花が散った。
「ほぉ〜良い根性してんじゃん」
「生活無能力者め」
「なっ!か、関係ないでしょそんな事は!!」
「頭もたりんと見える。」
「な、なんですってぇ!!」
「ふっ、愚か者」
「か、葛城さん、お、押さえて!」
飛びかかろうとして来た葛城1尉を日向2尉が何とか押さえている。
・・・・・
・・・・・
「だったら、良いわ、アスカが弐号機で担当!、レイが零号機でバックアップ、サード初号機はここで留守番よ!」
むぅ、それは拙い。
「ふざけるな、作戦を実行する場合は常に総力戦で無ければ成らない。私も行く」
「まあ、良いでしょう、シンジ君の言っている事にも一理あるんだから」
やっぱり、不満そうだな。


さて、浅間山にやって来た。
レイと零号機もちゃんと来ているな。
探すか・・・・
・・・・・
・・・・・
見つけた。
ベンチに座って缶コーヒーを飲んでいる。
「・・レイ、」
レイはちらりと視線だけ向ける。
「横良いか?」
レイが頷いたので横に座る。
「・・どうかしたの?」
「む・・・特にあるわけではないが、こうしていては駄目か?」
「・・いえ、問題無いわ・・・」
・・・・
・・・・
・・・・
「さて、時間だ、行くか」
二人はエヴァに向かった。


弐号機が火口に潜ってから随分経ったな・・・
別に、セカンドは構わんが、弐号機が使えなくなるのは問題だからな、
ん、予定通り事は進んでいる様だな。
・・・・・
・・・・・
『きゃあ!!』
「さてと、」
『プログナイフを投下して!』
プログナイフを落としてやる。
セカンドの悲鳴も止んだな・・・殲滅されるのか・・・
ここに、飛び込むのか・・・熱そうだな・・・・
まあ、シンジもやったことだ・・・
しかし・・・
うむぅ・・・・
・・・ふっ・・・問題無い。
「・・・・・なむさん!」
火口に飛び込む。
「あっちいいいい〜〜〜!!!!」
くっここまで来たんだ。
落ちかけている弐号機を掴んで、ホールドモードにする。
「ぐおおおおおお!!あついいいいいい!!!」
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
ここは?
天井・・・木目が見える。木造の建物か・・・
「・・気がついたのね」
「・・・レイか・・・ここは?」
「・・温泉旅館、」
「・・・そうか・・・」
助かったのか・・・
まあ、シンジよりはシンクロ率は低い・・・まあ、助かって当然と言えば、当然だが・・・
・・・うむ・・・
シンジはあれ以上だったわけか・・・
「・・どうしたの?」
「・・・いや・・・何でも無い・・・」
「・・そう・・・」
レイも去り、部屋は静寂に包まれた。
・・・・・・
・・しかし、何故、レイは、私の様子を見ていたのだ?
レイがシンジに好意を抱いていた事は間違い無い。
私にも好意を抱いているのか?
・・・・・・
・・・・・・
或いは、只、奴から逃れ様としているだけなのか・・・
何か・・・その可能性が高そうだな・・・
・・・・・・
・・・・・・
そうすると・・私はそこまでレイを追い詰めていたと言うのか・・・・


私はレイを探し回り、漸く見つけた。
「レイ、」
「・・何?」
「・・済まなかった」
深く頭を下げる。
まあ、当然と言えば当然だが、きょとんとしているな・・
「取り敢えず、一言詫びたかった。それだけだ。」
私はレイの前から去った。