第3新東京市立第壱中学校、2−A、 シンジ、レイ、アスカ、レナ、トウジ、ケンスケ、ヒカリが集まって話をしていた。 「放課後どっか行かない?」 「賛成!」 「行くんやったら、ゲーセンか?」 「ワンパターンねぇ〜」 アスカはどこか呆れ気味である。 「じゃあカラオケかな〜」 「もうちょっとましな発想ないの?」 ケンスケの眼鏡が光った。 「そうだ、サバイバルゲームやろうよ」 「サバイバルゲーム?」 「ほらこれだけ数もいるし」 「おもしろうそうね、何人か私が集めましょうか?」 「なんや惣流にゃ当てがあるんかいな」 「くふふ」 アスカは不気味に笑い続けている。 そしてススキの野原、 7人の前にネルフ保安2課チルドレン護衛班がいた。 「良い?あんた達、私たちに負けたら首覚悟しなさいよ」 保安部員達の表情が本気になる。 「おいおい、相手はプロだぞ」 「だ〜いじょうぶよ」 そして、ゲームが始まった。 そして、僅か20分ほどで少年少女チームが勝利してしまった。 理由は、超長距離からのレイの狙撃とアスカの突撃だった。 レイは高台に上がって、最大射程距離から狙撃を成功させた。 アスカの突撃の迫力と破壊力は言うまでも無く、 皆楽しかったが、特にヒカリは嬉しそうだった。 ヒカリはトウジと常にいっしょに走り回っていた。 アスカはこれでヒカリが笑い声でも零してくれればと思ったのだが、現実はなかなか厳しかったが、ヒカリが嬉しそうだったので、アスカも満足した。 ネルフ本部、保安部2課課長室、 「・・・君達・・・」 申し訳なさそうに整列している。 時間外の訓練が追加される事に成った。 翌朝、伊吹マヤのマンション、 レナが楽しそうに朝食を作っている。 マヤが起きて来た。 「マヤさんおはようございます」 「レナちゃんおはよう」 「お料理楽しい?」 「ええ、とっても、私たちの世界では、食料は、カロリー摂取と栄養素補給しか考えられていませんでしたし」 詳しくは想像できない。だが、セカンドインパクト後の地獄は端から見ている。 大企業の社長令嬢であるマヤはセカンドインパクトの時でも飢えた事などない、しかし、辺りには多くの人が飢え苦しんでいるのを見て心を痛めた。 しかし、未だ未来に希望が持てる世界だった。サードインパクト後は未来が閉ざされている。 どれほどの地獄であろうか・・・ 「・・・大変だったのね・・」 「ええ・・でも、毎年、私の誕生日、10月10日だけは、お母さんが料理を作ってくれたんです」 「そうなの」 「料理と言ってもこの世界だと普通の食事なんですけどね」 レナは出来あがった料理に目をやった。 「冷めてしまう前に食べましょ」 「はい」 二人は食卓に運び、朝食を食べ始めた。 「美味しい・・上手ね」 「へへへ」 レナは照れ笑いを浮かべた。 ネルフ本部、総司令執務室、 「日本包囲網が完成しつつある。」 「確かに今のままでは拙い」 「打開策は有るのか?」 「米国を日本政府統治下に置く」 とんでもない事を平然と言ってのけた。 「ちょっと待て!それはいくらなんでも無茶だろうが!」 「冬月、今はそれしかない」 「う、うむ・・・」 「既に動いている」 「す、既にか?」 「ああ」 「ユ、ユイ君は何と?」 「賛成だ」 米国大使館、 米国首脳陣の生き残りが会議を行っていた。 「日本政府は、米国の復興を引き換えに統治下に置く事を主張してきた」 「ふざけるな!」 「ネルフが後ろ盾にいるのか?」 「ああ、それと、大統領代理に親書が」 大統領代理は親書を受け取った。 大統領代理は親書を読んでいる。 「なるほど、裏の意味が分かった」 「どう言うことですか?」 「今世界が日本包囲網を敷いている。無論、合衆国もゼーレの指示で動いている。その時に、日本側に立てと言うことだ。ゼーレを潰し復興を遂げた場合、ネルフのオーバーテクノロジーの提供が受けられる。」 「何故このような形を?」 「名目上だ、もし戦争に勝てなかったらどうなるかだ、強制されたと言う事が一応の名目になる。」 「ゼーレに利きますか?」 「・・・まあ、奴等に通用するともおもえんが、ないよりはましだろう。」 苦笑を浮かべた。 「それに、太平洋戦争以後、最大の盟国だ。偽りの正義の前に潰されるのを黙ってみているわけには行かない」 生き残った首脳陣の多くが親日派だった事が有利に働いているようだ。 そして、アメリカは、日本政府統治下に入った。 州は再編され13の州にされる。それぞれの州で独自の法令を敷く事ができ、大きな自治権限も認められている。自衛隊も実質日本政府下に戻りつつある事から、間も無く、世界最大の軍事国が誕生する。 最初に米国各州に送られる復興予算は、殆どネルフからのものであった。エヴァの運用はまさに一国を傾ける。裏を返せば、上手く運用し、予算が節約できれば、傾いていた国を建て直すことが可能なのだ。 ゼーレ、 「アメリカはゼーレを裏切った」 「愚かな、」 ・・・・ ・・・・ 「わ、私のせいではないぞ!」 ・・・・ ・・・・ ・・・・ ・・・・ 「まあ良い、今回の事に関して君の責任と罪は特には追求しない。」 「依然多くの軍が国連軍に所属している。反日感情もそれに拍車をかけている」 「約束の時は近い」 「今こそわれらの願い、神の誕生を」 「「「そして、我等を約束のかの地へ」」」 ・・・・ ・・・・ 「・・・私のせいではない・・・私のせいでは・・・ん?」 ネルフ本部発令所、 加賀タケル防衛省事務次官が発令所を訪れた。 「お待ちしておりました」 「早速だが、作戦部長は?」 「私ですが」 加賀はミサトをじっと見ている。 ミサトを見定め様としているのか、 「・・国家の非常事態だ。協力を頼む」 「はい」 「では、作戦会議室へ」 ミサトと加賀、そして、日向他作戦部のメンバーが同行した。 作戦会議室、 「ゼーレのエヴァは何体か分かりますか?」 「12を越える事は無いはずです」 「ふむ」 「ネルフのエヴァは3体・・・・エヴァ相手にも軍を割かなければいけませんか・・・」 「どうするおつもりで?」 「いきなりエヴァを出すと言う事はしないでしょう、先ずは、艦隊からのミサイル攻撃、そして、湾岸への艦砲射撃と航空部隊による対地攻撃及び爆撃、そして、上陸部隊による侵攻、ネルフ主要施設を破壊し、エヴァのサポート能力を激減させた後にエヴァを出してくるでしょう」 「そうね、その通りですね」 「先ず、地の利を生かしましょう」 「地の利?」 「こちらには、ネルフの施設を含め多数の光学サイト、レーダーサイトがあります。対して、向こうはその情報の多くを衛星からの情報に頼らざるを得ません」 「衛星を叩く?」 「ええ、そうすれば敵の情報収集能力は1970年代に戻ります。」 「なるほど」 「しかしどうやって?」 「家の長距離砲を使います。後は、早期警戒機や偵察機を各個撃破していけば、」 「そうですね・・・しかし、絶対数が、」 「それならば・・・」 暫く二人で色々と作戦を練っていた。 「米軍の方がお見えになりました。」 「3自衛隊の将がお見えです」 勝手に作戦会議を進めていたミサトと加賀は抗議を受けるものの、こうして、人類史上最強の軍隊が集まった。 米軍とは異なり、その単体で各自衛隊は国連軍に編入されたためその指揮系統等はそのまま残っていた上に、特に海上自衛隊はセカンドインパクト時に日本海に避難したためその殆どが無傷で残っていた。そして、海上、海中での使徒対策の為に更に強化されたが、戦闘を経験していない艦隊は、太平洋艦隊、大西洋艦隊と共に世界三大艦隊に数えられている。 陸上自衛隊は、この12年間小競り合いは常に世界中で起こっていたものの、全面的な大規模戦争が無かったため世界中の軍隊の練度が一様にいまいちなのに対し、使徒戦ではあるが、唯一の大規模な実戦を経験した陸上部隊である。 そして、航空自衛隊は、主に支援に徹していたため被害は比較的少なく実戦経験も十分である。 そして戦略自衛隊は、人類が自ら生み出した戦略兵器として最強の兵器を揃えている。恐らく自衛隊や米軍と比べても2世代近い技術力の差があるのではないだろうか? 米軍、セカンドインパクトによって世界中に展開していた艦隊は地中海や北極海に展開していた艦隊や在日米軍関係以外ではその大半を失った。バレンタイン休戦臨時条約によって米軍は分割され各地の国連軍に編入された。しかし、使徒戦に備える意味も含め新たに米軍も再編成され、内陸部に主要都市が多かった事と、首都ワシントンが曲がりなりにも壊滅を避けられた事で経済力も回復し、かなりの戦力を保有していた。 ところが、第2支部爆発によるアメリカ本土の大打撃は、陸軍と空軍に壊滅的なまでの被害を与えており、現状では海軍のみと言ってよい。 そしてネルフ、第3新東京市の防衛機能とネルフ直属の軍事力が対人戦でまともに役に立つとは考え難いので、実質ネルフの戦力はエヴァのみと言ってよい。しかし、予想される量産型エヴァとの戦いの為に極力第3新東京市のエヴァ支援設備は無傷又はそれに近い状態で量産型エヴァに当たりたい。 最後に、レイの存在である。いくらリリスの力を持っていると言っても、所詮は一人の人間。正攻法では無理でも、実際実行可能かどうかを考えなければ、色々と方法はある。 そして、東シナ海、 世界中の艦隊が集結していた。 しかし、その中に、最新武装で固めた見た事も無い大艦隊の姿が有った。 ゼーレがネルフ、いや碇の裏切りに備えて用意した艦隊である。 ネルフの運用資金がずいぶん浮いたために編成できた艦隊である。 空母を12も含む単独艦隊としては信じられない規模である。 そして、旗艦、 各艦隊の提督が集まっていた。 ここでは、日本側を遥かに上回る大勢力が誕生していた。 数日後、ネルフ本部、第1発令所、 メインモニターにリング状のアルミサエルが映っていた。 「現れたわね」 「・・ああ」 「各部隊配置完了しました。」 罠を張っている。 アルミサエルの能力から、極力エヴァは出したくない。 全軍を挙げての全火力を集中してATフィールドを打ち破る。 NN兵器を使ったとしてもその極大の破壊力や衝撃は一瞬の事である。 持続的に行えば貫ける筈である。 「作戦開始まで60秒です」 作戦マップではほぼ完全にアルミサエルを取り囲もうとしている。 「・・・」 「行けるか・・・」 そして、時間が来た。 「総攻撃開始!」 加賀の声と共に全軍の兵器を一斉に火を吹いた。 アルミサエルはATフィールドを展開して攻撃を防いでいる。 「続けて!」 ミサトは続行を指示する。 「フィールド境界面歪み始めました!」 アルミサエルは完全に爆煙に包まれている。 特殊なセンサーによってATフィールドを観測しているのだ。 ミサトは舌舐め擦りをした。 「・・行けそうね」 「ああ」 「・・ATフィールドを通常兵器で破るとはなぁ・・」 「絶対数が足りなかっただけですわ、ATフィールドは絶対ではないのですから、」 「フィールド展開半径縮小しています!」 発令所中の者がじっとモニターを見詰めている。 「反撃する余裕も無く、現状維持が不可能ならば、その結果は見えている。」 暫く攻撃が続いた時、遂に赤い光が飛び散った。 「ATフィールド突破!!」 マヤの報告の声が響き、画面上の爆発が今までとは異なる様子を見せた。 「勝ったわね」 「パターンブルー消滅!!」 青葉の声に発令所中が沸いた。 攻撃が止み、煙が晴れると、アルミサエルであった残骸が地面に落ちていた。 数時間後、日本重化学工業、研究所、 「博士、遂に使徒が全て倒されました」 「そう、時田さんを呼んでくれる?」 「はい」 しばらくして時田がやって来た。 「遂に始まりましたね」 「ええ、あの子たちが作り上げた技術、無駄にはしないわ」 「しかし、人の敵が結局人というのは納得が行きませんね」 「そんな事は無いわよ、共通の敵がいる時は、人は協力し合う。しかし、その利害が相反する時、共通の敵の消滅は、即、人と人との争いに変わるわ」 「未来の子供達には残したくない慣習ですな」 「ええ・・・でも、私は娘に同じ道を辿らせてしまった愚かな女ね」 「博士?どちらに」 「ネルフよ、」