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第13話

◆対立

第3新東京市立第壱中学校、2−A、
「今日は皆さんに転校生を紹介します。」
「入ってきなさい」
前の扉を開けてレナが入って来た。
レイにそっくりな容姿に教室中の雰囲気が驚きに変わる。
「伊勢レナです。宜しく御願いします」
伊吹の伊を使用した事にはやはりどこか拘りがあったのだろうか・・・まあ、単なる連想かもしれないが、
「伊勢さんの席は・・・あの窓際の席に座ってもらえますか?」
「はい」
レナは席についた。
当然、ミクはレナを睨んでいる。


数日後、人類補完委員会、
「キールさん、」
「は、はい」
「補完計画をしっかり調べさせてもらいました」
5人が汗を垂らした。
「因みに、必ず失敗しますよ」
「「「は?」」」
「補完計画の依代、候補がいません」
「「あう」」
「それに、私がさせませんよ」
「「はうっ」」
「じゃあ、ごきげんよう」
笑みを浮かべたままユイの姿が消えた。
「議長、流石ですな」
「君もな」
「練習した甲斐があったよ」
暫くしてミクの姿が現れた。
「天城君、君を依代とすることが正式に決まった」
ミクはにやりと笑みを浮かべた。
「そうですか、それは願っても無い事です」
「我々を導いてくれ」
「当然です。私はあんな世界を作りたくは有りません。父とは違います」
(たちが悪いのよね)
ミクは祖父にも似たにやり笑いをひそかに浮かべた


アメリカ第2支部、
突然光が周囲を包んだ。


ネルフ本部某所、
中央部が消え去った北アメリカ大陸が映し出されていた。
「被害者は1億人はくだらないかと」
マヤが報告した。
「何なのいったい・・・」
「この破壊力・・史実とは余りに違いすぎるわ」
「どう言うこと?」
レイの言葉にミサトが尋ねた。
「実際に第2支部が消滅しているんですよ。その時は支部と付属施設だけで済んだんですが・・」
「これじゃアメリカの常任理事国抹消は確実ね」
「原因は?」
マヤはファイルに目を通した。
「タイムコードからするとSS機関の搭載実験のようですが」
「事実はよく隠される。ドイツ支部ですら怪しい、他の支部は形式上従っているだけだ。」
碇はそう言ったが、冬月は顔を顰めた。
「・・碇、ドイツの第3支部も危ない、」
「どうした?」
「千代田司令が行方不明になった」
碇の片眉が跳ねた。
「ゼーレですか?」
「まだ分からないわね、」
「しかし、ゼーレだとすると、日本は孤立した事になる」
「あの人たち、まだ分かっていないのね」
ユイはむっとした表情を浮かべた。
「碇司令、」
「レイ、なんだ?」
「新たな依代を見つけた可能性があります」
「しかし、依代として成り立つのは、ここにいる3人だけだぞ」
冬月が反論した。
「あと2人います」
「まさか!」
「天城を使うつもりか」
「だとすれば納得が行く、ゼーレはエヴァシリーズを完成させるつもりだ」
「天城は!?」
直ぐに天城の居場所の確認が行われた。
「司令、天城少佐の消息が不明です」
「くっ」
警報が鳴った。
アラエルがモニターに写った。
「アラエル・・・どうする?」
「・・・」
「難しいですね・・・」
「暫くは様子を見ましょう、あそこにいられては手の打ちようが無いわ」


数時間後、ネルフ本部第1発令所、
「ポジトロンライフル準備完了、直結完了しました。」
「攻撃開始」
4基のポジトロンライフルが陽電子を放った。
陽電子は青白い光となり、一直線に使徒を目指し、着弾した。
「だめね、」
しかし、ATフィールドに阻まれダメージは皆無である。
「距離が遠過ぎるわ・・・かといっても、空中からではこれだけの出力は出せないわね」
「どうします?」
「動いてくれると良いのだけど・・・」
「リツコちゃん、どのくらいの距離なら行ける?」
リツコはマヤ達に計算を指示した。
・・・・
・・・・
「およそ・・23キロが限界です。」
「殆ど直上ね・・・」
「困ったわねぇ〜」
「槍は、ゼーレ戦の為にとって置きたいのに・・・」
「どうします?」
「ミサトちゃん、リツコちゃん、技術部と作戦部を総動員して今から言う3つの事を考えさせて、1つ目は、今のあの位置にいる使徒を攻撃する方法、2つ目は使徒をおびき出す方法、3つ目は、おびき出された或いは自発的に移動した使徒との戦闘方法よ」
「「分かりました」」


チルドレン待機室、
「未だ作戦決まらないのかしら」
「・・アラエル相手には、攻撃方法が限られているわ、有効と成ると・・・」
「あの位置では攻撃できませんね」


結局、有効な攻撃方法は提示されず、ロンギヌスの槍による攻撃しかのこらなかった。
しかし、どうやって攻撃するか・・・、まさか、1機を囮にするわけにも行くまい。


総司令執務室に4人は召集された。
「・・・残念だけれど、1機を囮にする以外方法は無さそうなの・・」
「私が志願します」
レイが志願した。
「綾波」
「レイ」
「お母さん」
「私なら、精神攻撃の耐性も高いし、ATフィールドで、防御できるわ」
「でも・・・」
シンジはレイにそんな事はさせたくない、だから反論しようとしたが、他に有効の方法が思いつかない以上、その言葉を続ける事もできなかった。
「お願い、」


第3新東京市、レイは初号機に乗って待機していた。
そして、スナイパーライフルで、アラエルを狙う。
やがてアラエルが光を発した。
「ATフィールド全開!!」
強力なATフィールドがその光を遮る。
余りに強力過ぎるATフィールドが周囲の建物を破壊する。
しかし、存在次元がうまくあわない為、一部の光は通ってしまう。
レイの心が侵食される
「くっ」
レイの精神攻撃への耐性は他のチルドレンに比べれば桁外れに高いだろう。
だが、その曝け出される、見せ付けられるレイの深層心理も、桁外れに凄まじいものである。
「ううう」
ATフィールドを展開するのが辛い、だが、弱めるわけには行かない。
「あうう」
心が痛む。


弐号機がロンギヌスの槍を持って射出された。
「レイ!、今助けるわ!」
アスカはアラエルに狙いを定め、一気に弐号機を加速させた。
そして、ロンギヌスの槍をアラエルに向かって投射する。
赤い光となり天を裂き、ロンギヌスの槍は一直線にアラエルを目指す。
そして、一瞬で貫き、初号機とレイを襲っていた光は消え、開放された。


ネルフ本部、ケージ、
エントリープラグにシンジ、ユイ、レナが駆け寄った。
蓋が開けられ、ぐったりとしたレイが現れた。
「綾波!」
真っ先にシンジがエントリープラグに飛び込んでレイを抱き起こした。
「・・・碇君・・・」
「精神衰弱が激しいわね・・直ぐに病院へ」
ユイは待機していた医師に指示を出した。
そして、弐号機から降りてきたアスカが駆けて来た。


ゼーレ、
12枚のモノリスに囲まれ、碇、冬月、ユイの3名が座っていた。
「何故槍を使用した?」
「我等を裏切ったのか?」
「元々貴方達が道を離れただけですよ」
ユイはキールに当たる01のモノリスを睨み付けた。
「もはや、君達と我々の進む道は完全に分かれてしまった様だ」
「我々と共に、神への道を進め」
「それが、お前達に残された唯一の道だ」
「君達の歩む道に先は無い」
「そうですか、残念です。もはや、会う事は無いでしょう」
そして、3人が消えて暫くして、ミクが現れた。
「決戦を選んだか・・・」
「そちらの準備は進んでいるのか?」
「こっちは大丈夫ですよ」
「世界中の軍隊を日本に向ける準備は済んだ。ネルフは日本政府を取り込んだ。自衛隊も元は日本政府のものだが、何よりも構成員が日本人ばかりだ。」
「あのナショナリズムの強い国民だ」
「敵に回ると見て良い」
「戦力比は、1対4、勝負は見えている」
「エヴァは?」
「加わっている。エヴァシリーズは既に完成した。」
「完成ね・・・欠番になったとは言わないの?」
「われらの手にはエヴァ9体、奴らには3体だ」
「SS機関搭載型9体か・・・・」
「君には期待している」
「分かってるわよ」
ミクが消えた。
「どうですかな?」
中央にモノリスが現れた。
「上々だよ」
「はい」
「後残る使徒はアルミサエルとバルディエルのみ、計画を急がねば」
「あ、バルディエルなら第2支部の爆発の巻き添えで消えたよ」
「「「・・・・・」」」
「ど、どうすれば?」
「心配要らない、そろそろ僕が動くよ」
「「「「はっ」」」」
周りのモノリスが消えた。
中央のモノリスは姿を変え、カヲルに成った。
「ふう、・・・・4人も戻って来ているとは・・・なかなか上手く行かないはずだよ、でも、碇ユイ・・・彼女何者なんだろう?」