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第6話

◆参謀

マンション、
「イスラフェルはどうするの?」
ふとシンジは尋ねてみた。
「初めからユニゾンで行くわよ、レイが先行して、分裂時に二人がとどめをさす」
「う〜ん、・・・・ん?レイが一番シンクロ率が高かったんだから自然か?」
「でも、私は格闘戦は苦手」
「どうするの?」
「どっちかの司令に命令させる」
「それが良いわね」


そして、イスラフェル襲来、
『いい!弐号機が先行!、初号機ならびに零号機が支援攻撃を行い、以後、波状攻撃!』
守秘回線を開いた。
(なんで、2人ともいないのかな?)
(さあ、)
(こまったわね)
(まあ、後で倒すか)
(仕方ないわね)
(そうするか)


ネルフ本部作戦部視聴覚室。
「午前11時11分をもってネルフは作戦指揮権を断念、国際連合第2方面軍に移行」
NN爆雷投下の映像が流された。
「同15分、新型NN爆雷により目標を攻撃」
「また地図を書き直さなきゃならんな」
第2新東京市から戻って来た冬月がぼやいた。
焦げた使徒の写真が映し出された。
「これにより目標の構成物質の28%の焼却に成功」
「どの位利いてますかね」
加持が呟いた。
「足止めに過ぎんよ、再度侵攻は時間の問題だな」
「パイロット3名、君達の仕事は何かね?」
「使徒の殲滅」
前回冬月にきつく言われたアスカが言った。
「人類の滅亡の回避」
サードインパクトの地獄を見たシンジが言った。
「碇君の望む世界を作る」
・・・まあ、ね・・・
「・・・・・まあいい、」
冬月は部屋を出て行った。
(わざと負けたのではないか?それとも何かを暗に示しているのか・・・・それともリリスの力が使える条件でもあるのか?・・・碇はあの日から妙な動きをしているし・・・・ここは、私が動くしかないか)
冬月は仕事を早く切り上げる事にした。


夜、マンション、
チャイムが鳴った。
「は〜い」
(ミサトさんかな)
シンジがドアの向こうに立つ人物を確認した時、驚いた。
「ふ、副司令」
以外も意外な人物の登場にシンジは驚いたが、直ぐに冬月を招き入れた。


リビング、
「で、副司令が何の用で来たんですか?」
「未来を知る3人を味方につけておいて損は無いと考えたからだよ」
「何か、あったんですか?」
「碇の様子がおかしい、何かを行っているようだ」
「何を?」
レイが尋ねた。
「分からん、ダミーシステムもレイの協力無しには、不可能、アダム計画も、ロンギヌスの槍はまだ届いていない、君達の活躍のおかげで予算も余っている。」
「父さんが何か企むとしたら何ですか?後、半年もすれば母さんに会えるのに」
「それが分からないから、少なくとも3人を味方につけておこうと考えたのだ」
「・・・そうね、使徒戦でも副司令が味方についてくれれば、言う事は無いしね」
「あ、これからの事を話します。」
「ああ、」
「使徒の番号が当てにならないので、名前で言います。イスラフェルは、問題ありません。ユニゾンは完璧でした。」
ツイスターゲームがおいてある。
「サンダルフォンは、通常兵器で破壊してください、低温冷媒を気化させてやれば内部圧力で死にます。」
「マトリエルは、本部が停電した時に襲来したため苦戦しましたが、普段なら敵じゃありません。その一方でネルフ本部内の電源管理を徹底してください」
「切られたのか」
「はい」
「分かった。」
「サハクィエルは、3体のエヴァで受け止めます。シンクロ率が、全員20以上上がっているので、敵じゃ有りません」
「イロウルは、マイクロマシーン型の使徒です。マギを狙ってきます。リツコさんに任せるしかないんですが、予め更新速度を遅くしておけば時間的に余裕が出来ます」
「うむ」
「バルディエルは、参号機に寄生していたんですが、パイロットのことを考えると・・・・」
「どうすれば良いのかな?」
「私がテストパイロットになります」
「綾波」
「大丈夫」
「頼む」
「レリエル、虚数空間を操る使徒、史実では碇君が初号機の暴走によって殲滅した。出来ればこれも私が受け持ちたい」
シンジが俯いている。
「ゼルエル、最強の使徒、エヴァで勝てないようなら私が直接殲滅する」
「そこで、ばれる可能性が大きいのか」
「はい」
「後は、アラエル、精神攻撃を仕掛けて来た。出来れば、最初からロンギヌスの槍で殲滅したい」
「それは、むりだろうな・・・」
「あの使徒だけはいや・・・」
「僕も遠慮したいな」
「私も・・・」
「又、ゆっくり考えればいい」
「はい」
「アルミサエル、エヴァに同化をはかってきます」
「私が自爆で倒しました。その際に3人目になりました」
「そうか・・・・」
「そして、タブリス、フィフスチルドレン渚カヲルとして、ゼーレが直接ネルフに送り込んで来ました」
「ゼーレがか・・・」
「はい」
「そして、最後に、戦略自衛隊と、エヴァ量産機が襲来しました」
「・・・・サードインパクトか・・・」
「はい」
「最後の結末を招かないために・・・日本政府には予め接触を図っておこう」
「すみません、」
「ああ、この程度ならば問題ない、多少の技術提供をすれば容易い」


翌日、マンション
「で、完璧なユニゾンを目指すために・・・・・なんだ、いいもんがあるじゃないの!」
「あ、これですか?」
「これで遊んでるの?」
「ま〜ね〜、私達凄いわよ」
「じゃあ、この音楽に合わせて早速やってくれる?」
・・・・
いきなりパーフェクト
「凄い!これなら行けるわ」
「綾波かわる?」
レイは頷いた。
「ほら、始めるわよ!」
そして、2人もパーフェクト、
「じゃ、次僕ね」
そいて、又パーフェクト
「あんたら凄すぎ」


そして、決戦の日、
零号機が使徒を作戦ポイントに誘導している。
そして、初号機と弐号機が大空に射出され使徒のコアに、同時に蹴りを叩き込んだ。
爆煙が晴れ、初号機と弐号機は回収された。


発令所、
「ふむ、流石だな」
冬月は呟いた。


翌日、昼休み、第3新東京市立第壱中学校屋上、
いつものメンバーで昼食を食べていた。
「おう、碇の弁当はいつも美味そうやな」
「碇君の作る料理は美味しい」
「綾波さんとアスカの弁当、碇君が作ってるのよね」
「うん」
「綾波さんだけ、1/3中身が違うみたいだけど」
「あ、綾波は肉が嫌いだから」
「そうなんだ、」
「ま、レイ、肉料理も食べれるようになりなさいよ」
アスカがレイに言った。
「何故?」
「栄養きちんと取らないと、十分に成長しないわよ」
「成長?」
「そうよ、成長してもっとスタイルが良くなったらシンジがあんたにべたぼれになるかもね」
「アスカ!」
(成長・・・スタイルの向上・・・・シンジ君が私を求める・・・・)
(くふふ、なんかミサトの気持ちがわかる、うぷぷ)
ぶつぶつ考え込んでいるレイと、真っ赤になって反論しようとしているシンジを見て、アスカは笑いを堪えている。


夕方、マンション、
(肉料理・・・アスカが好きなハンバーグ・・・作り方は・・・・)
レイはひき肉を捏ねている。
・・・
着々とハンバーグが出来ていく。
「いい臭いね〜、シンジ、今日の夕飯ハンバーグ?」
「あれ?」
アスカはキッチンに立っている人物を見た。
「レイ?」
レイは皿にハンバーグをのせた。
「アスカ?」
「あんた実行してるの」
レイは頷いた。
そして、ダイニングに移動、
半分に割って、片方はアスカが頂いた。
「ん!!!」
アスカは食べた瞬間絶句した。
「な、ななんでこんなに美味しいのよ!!」
シンジのハンバーグよりも上手だった。
「そうなの?」
「早く食べなさいよ」
レイはゆっくりとハンバーグのかけらを口にした。
「・・・・美味しい」
「どう?肉食べれる?」
「・・・・うん」
「じゃ、食べましょうか」
レイは頷いた。
「ただいま〜」
シンジが帰ってきた。
「お帰り!早く来なさい!」
「うん」
シンジはダイニングに来た。
「シンジ、これ食べてみて」
「うん?ハンバーグ?」
シンジはハンバーグのかけらを口にした。
「美味しい」
「でしょ」
「アスカも、こんなに美味しいハンバーグ作れるんだったら、自分で作れば良いのに」
「そう思うでしょうけど、」
「へ?」
「このハンバーグ作ったのは、レイよ」
「え?ええ〜〜!!」
この日以来、食事当番のメインがレイに変化し始めた。


そんな中、浅間山にて、使徒発見の報が届いた。


作戦会議室、
「これが使徒ですか」
(サンダルフォンか・・・)
「これは、まだ蛹のような状態なの、今回の作戦は、捕獲作戦、作戦担当は、レイよ」
「「「へ?」」」
3人が同時に声を上げた。
「D型装備は零号機は規格外じゃないの?」
アスカが尋ねた。
「そうよ、でも、新開発したD2型装備なら零号機も使えるわ」
「・・・そう」
「極地に於いては、冷静な判断能力が最も勝敗を左右する。捕獲失敗の際もレイならば迅速に作戦行動に移れるとの判断からよ」
「了解」
(冬月副司令の進言では作戦に変更はなしか・・・)


そして、耐熱プラグスーツにレイは身を包んだ。
「くふふ、そのボタンを押せば」
レイはボタンを押した。
変化が無い。
「は?」
「説明するわね、それは新型の耐熱プラグスーツ、電源の保持時間が短いけどスーツの冷却機能は抜群よ」
「はい」
(なんでよ〜〜!!)
そして、ケージ、
D2型装備は、D型装備と余り変わらなかった。
「こっちは変わらないわね」


そして、浅間山、
零号機が火口に潜った。
弐号機、
「シンジ、どう思う?」
『分からないよ』
「副司令が言ってた碇司令の怪しい行動って、新型装備の配備なのかな?」
『だと良いんだけどね』
・・・・
・・・・
発令室、
『使徒捕獲しました。』
「何か変です!」
日向が叫んだ。
次の瞬間、膨大な熱、光と共に衝撃波が広がり、浅間山が大噴火を起こした。


翌日、ネルフ本部、某所、
「初号機は中破、修復には3日、弐号機も中破、修復には4日、零号機は大破、修復には2週間を要する。更に、パイロットは、全治1週間の怪我を負いました。」
「いったいなんだったの?」
「火口の中で、NN爆雷級の爆発が起こっています。」
「妨害工作?」
「恐らくは」
「だとすればよっぽどのバカね」


ネルフ中央病院、特別病室、
シンジとアスカが見舞いに来ていた。
「全く、突然の大噴火、冗談じゃないわよ」
「ほんと、でも無事でよかった。」
「・・・・」
「綾波、どうしたの?」
「あの時、零号機は、人工物を見つけたわ」
「人工物?」
「恐らくは、NN爆雷」
「何でよ」
「妨害工作と考えるべきね」
「そんなことで!」
「大丈夫、私はこの程度では死なない」
「レイ、いくらなんでも自分を大切にしなきゃだめよ」
「私は碇君の願いをかなえるだけ」
「じゃあ、御願いするよ。」
「何?」
「綾波は、危険なまねをしないで」
「・・・分かったわ」
レイは少し顔を赤らめながら答えた。
「そして、自分をもっと大切にして」
シンジはレイを抱き締めて言った。
「うん」